HOME < K.IMAE Top Secret

2011年最終戦を終えて想う事 序破急「破」完結。
怒りの炎を力に変えて。
来期の年間発表を5倍の喜びにしてみせる。
久々に本気の闘志に火が付いた。



本当に針の穴を通す程の、奇跡に近い確率だったと思う。開幕戦を優勝で飾り、賞金全額の義援金寄付と、公約の一つである今季一勝をいきなり達成した充実感に満足していたのか。期待に満ちた第2戦、その勝利を無にしてなお遥かマイナスとなる、完封ゼロスコア、順位なしと言う自分でもその理由が未だ解らない大失態を犯してしまった。
現実的に全5戦のシリーズを、4戦のみの結果で争わなければならなくなったこの時、本心では年間1位は完全に絶望、公約のベスト5はおろか、シングルすらも事実上奇跡に近い確率だと言う事は解っていた。そして何より、震災直後の開幕戦優勝に沸いたファンの期待をこれ以上ない程裏切った辛さは、過去記憶にない程の自己嫌悪に陥らせた。もはや選手間でも自分は年間レース脱落者と見なされていただろう。

震災で開催が危ぶまれた開幕戦でいきなり公約達成の優勝。
賞金全額を被災地に寄付し、その達成感に満たされてしまった。

癌との闘病から復帰し3年目の昨年、年間ベスト5復帰を公約とし辛くもそれを達成した。そして今年年頭、復帰後初となる優勝の獲得、そして人気投票式ではなくシリーズ年間上位5名が出場権を得る事実上のクライマックスシリーズとなったエリート5への参加資格獲得、そしてそれに伴う獲得賞金全額の震災寄付を公約とした。
だが、第2戦が終了した時、この公約は限りなく不可能に思えた。この公約を果たすには例年の年間5位の獲得ポイント数から推測し、最低でも全戦5以内、すなわち残り全試合の表彰台獲得が最低条件にすら思えたからだ。

天国から地獄へ。
予選2日間、ノーバイトノーフィッシュの完全試合。
全てを台無してしまった自己嫌悪に暫く立ち直れなかった。

一昨年までの自分なら、もうここで心折れていたかもしれない。しかし、3年間続けた地道な筋力トレーニングによる明らかな体調の復調と体力の復活は、以前の強い精神力も徐々に蘇らせていた。そして、自分にとって大きな心の支えとなったのは、癌手術でリタイアする前年、予期せぬ不幸から開幕戦を棄権し4試合のみの参加しかできなかったにもかかわらず、最終的に年間3位まで捲り上げた経験があった事だった。その時棄権した試合は奇しくも今年ゼロスコアを記録した試合と同じ旭川ダム、まるで天があの時まで時間を巻き戻し、もう一度、自分を試す機会を与えたのだと思う事にした。

地獄を見た旭川戦だったが、闘志は衰えなかった。
それ以上に、もう1戦も絶対に外せない緊張感が逆に集中力を研ぎ澄まさせた。

そして、第4戦、まさに奇跡のチャターの再現となった旧吉野川戦を5位入賞、続く被災地開催の檜原湖戦では九死に一生を得る決勝トップウエイトで7位入賞、最終戦を残し遂に年間暫定8位まで順位を上げ、全く見えなかった年間5位の背中を視界にとらえた。

台風が直撃した旧吉野川戦。
奇跡のモグチャのおかげで表彰台確保、望みをつないだ。

予選19位でほぼ絶望かと思われた檜原湖戦決勝、ブッチギリトップウエイトを叩き出し起死回生の7位入賞。

その差8点。上位7人をオーバーテイクし年間5位に滑り込むには、この7人から3人が最終戦で失速したうえで、自分は絶対に優勝、最悪でもそれに準ずる結果しか望みはなかった。まさにそんな針の穴を通す程の可能性、出来る自信などある訳はなかったが、ひたすら上しか見なかった精神力は全盛期に近い集中力を練習から発揮させていた。


予選2日目、大会最高ウエイトとなる唯一の4キロオーバーをウエイイン。
決勝次第でベスト5の可能性が残った。


そして最後の最後、本当の最後まで諦めなかった結果、不可能は可能となった。最終戦、初日15位、出遅れたが2日目に大会MAXウエイトとなる4360gを記録、続く決勝も連続TOPウエイトとなる3780gを、ほぼジンクスミニ3/8ozスーパーブレード一本で叩きだした。


この瞬間に1年間の苦労が報われた。
最後の最後まで諦めなかった執念が、不可能を可能にした瞬間だった。


優勝こそ僅差で逃したが、3日間総重量では優勝を実に1kg以上も上回る会心の結果だった。


最終戦最終日決勝、最後のトリを飾るトレーラーウェイイン。
再びブッチギリのTOPウェイトをマークした。


この結果は奇跡のモグチャと同じ特殊素材ブレードを搭載したスーパーブレードでなければ実現出来なかった確かな理由がある。敢えてこの機会まで触れずに隠してきたが、スーパーブレードには奇跡のモグチャに並ぶ秘密がある。その核心とチューンは次回公開しよう。

このスーパーブレードなくして今回の結果は絶対になかった。
秋まで完全に隠して来たスーパーブレードの秘密がここに来て驚異の破壊力を見せた。
そのポテンシャルは時としてモグチャをも凌ぐ。

振り返ってみれば、ゼロスコアを記録した旭川ダム戦、それ以外の4戦平均順位は実に3.75位。これは5戦から最低順位を除外したNO.1の福島選手の3.00位に次ぐハイスコアだった。ただ、これは逆に自分が旭川戦をゼロで落とした事で発揮された、異常な集中力の結果だったのかもしれない。5戦で見れば上位4人に今年は完敗以外のなに物でもない。


事実上のプレーオフ、本当の実力勝負のクライマックスエリート5となった今回、
相手にとって誰ひとり不足はない。まさに真の最強決定戦だ。


しかし、今季の公約に3度目のTOP50チャンピオン奪還はない。雅楽、能楽における形式上の三部章、加速理念と呼ばれる「序破急」。昨年、「序」としての公約は果たした。そして今年、急展開を呼ぶ「破」が完結した。来期最終章「急」、その公約はもはや言うまでもない。はからずしも本部集計ミスで素直に喜べる事なく終えた今季年間表彰、その本当の喜びは来季、5倍にして本部から返してもらおう。


Catch the impossible,and make your dreams happen.......
Katsutaka Imae

 

 

TOP OF THIS PAGE