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ZPI潜入極秘?ミッション遂行中…。
今年1年、ZPIと一緒に色々と試して来たリールチューニングの総決算的ロケ。
芳醇濃厚な収録が出来ました。



某来季向け特別企画のため、ここ最近、イマカツスタッフはロケ三昧…。かなり厳しい状況にもかかわらずいい仕事をしてくれ一安心。
そう言う自分もここの所はTSR7の編集作業と、某特別企画のためインドア撮影が続いている。まあこんな激厳しいターンオーバー真っ盛りの中は若者に任せて、オサーンは既に来季に向け一味違った仕事に没頭中。


今回はZPI社内でのロケ。チューニングメーカー社内は男心をくすぐる秘密基地の様な所だ。


と言う事で、今回は三重県は鈴鹿のZPIに極秘任務を遂行すべく潜入してきた。
今回の目的の一つは、おかげ様で今期、ピュアの単一機種としては記録的販売台数となったベイトフィネスリールLTZのチューニング取材と色々な内緒事。
ただ今回のLTZのチューニングは、従来のベイトフィネスとは少し趣向の事なったチューニングについてだ。
さて、今年の3月にリリースされたLTZだが、予想以上に非常に多くのユーザーに手にしてもらったおかげで、自分的にも色々と「確かにな…」と考えさせられる評価も多かった。


予想を遥かに超える出荷台数を記録したLTZ。ベイトフィネスへの注目度の高さは依然、とても高いが・・・。


それはベイトフィネスに対するユーザーのスタイル、フィールドの違いによって、ベイトフィネスリールに対する要求内容に大きなギャップがあると言う事だ。
端的に言えばボートが絶対条件となるトーナメントで、超軽量なジグをより高精度精にカバー内部を狙うための近接戦闘用として生まれたベイトフィネスは、オカッパリでスピニングの代わりに軽量ルアーを扱いたいためのベイトフィネスとは根本的な要求条件からして全く違うと言う事である。


真冬のオカッパリ取材でワイルドフィネスはもはや必要不可欠な最終兵器。
しかし、ボートとの勝手の違いに不便を感じる事も多い。


キャストポジションを自由に決められ喰わせた後にカバーにボートで限界まで接近し、ネットで強引に取り込める事が前提のベイトフィネスと、足場が悪くカバーに接近はほぼ不可能、ごぼう抜きが前提となるオカッパリでは使えるラインの太さ、ロッドの強さは当たり前だが根本的に違う。
トーナメントのベイトフィネスなら大概L〜MLアクションロッド、太くても8ポンドが常識だが、野池等のオカッパリならよほど足場が良い場所でもない限り最低45cmクラスが抜きあげられるM〜MHアクションロッド、ラインはギリギリ限界で11ポンドが下限だろう。しかも糸巻き量はマックスが基本だ。最低限の糸巻き量で行うボートのベイトフィネスとのスプール重量差は致命的なほど差がでてくる。超軽量スプールのメリットが損なわれる上、スプール総重量の増加は回転慣性を増しマグブレーキの効き具合に致命的影響を与える。


超軽量ルアーを投げられるベイトフィネスの命はスプールの軽さ。
その軽さを損なうと、全てが狂ってしまう。1g差でも劇的な差なのだ。


こうなるとオカッパリでは本来の意味での「ベイトフィネス」と呼べるのか疑問になる。もうこれは自分がトーナメントで言う所の「ワイルドフィネス」だ。
確かにワイルドフィネスはトーナメントにおいては既に2年以上前から常識であり、キャスティングテクニックの上手いプロは何ら問題なく通常のベイトフィネスリールのブレーキノブ調整だけでこのテクニックはこなしてしまう。
しかし、足場に様々な制限の多いオカッパリではボートのトーナメントプロ達とは決定的に「ベイトフィネスでやりたい事の根本」が違ってくる。それはオカッパリアングラーの本能、「より遠くへ投げたい」と言う抑えきれない欲求があるからだ。「より軽いモノをより精度高く、静かに」を旨とするボートでのベイトフィネスに対し、オカッパリは「より軽いモノをより遠くへ」となる。

社内で調整法を収録し、そのまま社外でキャストをロケ。
オカッパリでは「あそこに届かせたい」という思いがめいっぱいのフルキャストになる。


この要求の違いは決定的にキャスティングに現れる。トーナメントでのベイトフィネスは7割が接近戦でのピッチングであり、フルキャストの比重は臨機に対応し同一ブレーキセッティングで「同時にできるに越した事はない程度」になる。
一方、オカッパリではフルキャストが7割、足元のブッシュやカバーをに撃つには「抜きあげ」が前提になる以上、今度はピッチングが「同時にできるに越した事はない」となる。実際にやってみれば解るが、オカッパリでピッチングをする場所は意外に少ない。カバーをメインにやるならワイルドフィネスでの高度なキャスト技術を磨くか、普通のハードタックルの方が理にかなっているのだ。


ZPIでチューニングを担当している武本君。
若いが今期JB2四国でも優勝している凄腕のプロである。
最前線の現場を知らなければ、ベイトフィネスのリールはチューニング出来ない。


そしてもう一つ決定的なボートとオカッパリのベイトフィネスにおける感覚の違いが「フルキャストの定義」である。
ボートからのベイトフィネスでのフルキャストとは、軽量ルアーを十分に柔らかいロッドの腹に載せ、フル幅の大きなゆったりとしたスイングで運ぶように「シューッ」っとルアーを置きに行く感じで行うのが基本だ。
BF専用の超軽量高回転スプールは「過激な鋭い立ち上がり」が最大のウリな訳で、フルキャストでは逆に「スプールの立ち上げ初速を過激に上げない柔らかくスムーズなスイング」が基本になる。


ベイトフィネスの基本キャストはあくまでソフト&スムース。
ビシッと振り抜くインパクトキャストをしてもトラブルが増え、意外と飛距離も伸びない。


これをMクラスのロッドで、「ビシッ!!」と空気を切るような音を立て、鋭い初速で振り切れば結果は火を見るより明らかだ。しかも、オカッパリでは背後に十分なテイクバックが取れる場所は少なく、只でさえロッドに重量を乗せにくい軽量ルアーを狭い振り幅で「ビシッ!!」と振り切れば、幾ら高性能なベイトフィネスリールでもたまったものではない。
ところが実際にこういたキャストをオカッパリで行うアングラーは現実には想像以上に多い事が、皮肉にもベイトフィネスの一般普及と共にトラブルとして表れ始めてきている。


ZPI社内にはまさに出荷を待つLTZの究極930PRO IK−COMBIがずらりと並んでいた。
コイツのゼロポジションは自分的には過去最高レベルだ。


確かに自分はLTZをボート前提、試合前提のベイトフィネス専用リールとして開発した以上、LTZのベイトフィネス専用ベストブレーキポジションである「ゼロポジション」でオカッパリアングラーの使用環境を完璧に満足させるセッティングには仕上げていない。
「ゼロポジション」とはあくまでボートでの本来のベイトフィネススタイル(総重量5g前後のリグをピッチ7:フル3程度で使用)が前提のセッティングであり、フルキャストをメインに使うならブレーキダイヤルをキャスティングモードへ2〜3ノッチを上げる事が適切になる。あくまでLTZゼロポジはピッチングメインの「本来の意味でのベイトフィネス専用セッティング」である事を覚えておいて欲しい。


ピッチングとキャスティングの同時並立基準であるLTZのゼロポジション。
しかし、ラインの量や太さ、ユーザーのスタイルや使用環境に応じてブレーキの増減は必要である。
何でもできる訳でなないので注意して欲しい。


もし、自分がオカッパリ中心のアングラーなら、また違ったLTZブレーキの最適な味付けがある。そして必ずキャスト能力にも個人差がある。自分は「ゼロ」が最適だが、馬淵は「ゼロ」でも全然、強すぎると言い、ネオジムを2個も外して使用している。


自分的に煮詰めて見たオカッパリ専用のネオジムセッティング。
ネオジムには磁極があり、並べ方、厚みの組み合わせに法則がある。
ネオジムの追加だけで可能だが、簡単そうで組み合わせは複雑で無限なのだ。


もうここまで書けば、自分がZPIで次の何を企画していたかは想像が付くだろう。ABU/LTZの凄い所?は、最初から(他機種にもその後勝手に採用されたが…)ネオジムマグネットのセッティングを大幅に変えられるマージンを取って、LTやLTXとは違う新規のマグユニット金型を作った事にある。最初からユーザーの好みや癖に応じて、様々なチューニングをノーマルでも簡単に楽しめる前提で設計してあるのだ。
そして、その究極が同じ930シリーズでもLTZ専用セッティングのLTZ930PRO・IK/Combiである。


ZPIでは様々なLTZ専用チューニングパーツが完成していた。
さりげないが個性溢れ美しい。


ベイトフィネスのチューニングは本当に僅かな違いで劇的変化を体感できる。ひとたびハマると、誰もが自分だけのベストセッティングを出したくなるものだ。
今回のZPIロケは、「もし自分がオカッパリでLTZを100%活かすならコレ」と言う、誰でもできる今江式オカッパリ専用チューニングを初〜上級編の3段階で解説収録してきた。同時にLTZを「ギア比1:7」の「巻きフィネス」にチューンするギア交換法等、様々なチューニング入門もZPIの協力を得て完全収録している。


スウェーデンのABU本社も超楽しかったがZPIもワクワクするものが一杯。
リールと車はなんか通じる所がありますね。


詳しくは11月25日発売号のバスワールドにて公開する予定なので、お楽しみに!

…でもね、結局つまるところ最後は、アングラーのキャストの腕、日々の練習が一番重要です。


 

 

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