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TOP50第2戦遠賀川結果報告
悔しさと次戦への闘志を繋いだ第2戦遠賀川。となりの小池がおもしろすぎ・・・。



TOP50第2戦遠賀川が閉幕した。
開幕戦を47位とTOP50シリーズでは記憶にない程最悪なスタートとなり、この第2戦で再び賞金圏外の15位以下に沈んだ場合、過去の例をからどう転んでも年間5位以内は完全に絶望、シングル入りすらほぼ不可能、クラシックの出場権(今季は年間10位以内)すら失う自分にとって早くも断崖絶壁の試合となった。
この試合での絶対条件はどんなに最低最悪でもシングル入賞、それ以外の結果では第3戦以降の自分の緊張感を繋ぎとめる術すら失ってしまっただろう。しかし、プリプラクティスの段階からここ数年のゲリラ豪雨と洪水でバスの絶対数が激減した遠賀川の難しさは、上位入賞の鍵すら掴めない厳しい結果だった。


今回で黒帯RF4の撮影も終了になるかもしれないと思っていた第2戦。それほど状況は厳しかった。


だが、この状況は自分にとって見方を変えればチャンスであった事も確かだった。いる魚を確実に喰わせていくライトリグテクニックに長けた若手が多い今のTOP50では、バスが多く居場所の解り易いレイクでは上位陣に波乱が起きる事自体が極めて少ない。それだけにバスの個体数が少なく、「喰わせる」より「見つける」、それも全員が熟知した場所で「バスが現れるタイミングにアジャストする」能力が今大会では鍵にある可能性が高かったからだ。
実際、その傾向を顕著に表すかのように、大会会場付近のリリースフィッシュ狙いのプロが初日から非常に多くいた事が現状を物語っていた。これが一番手堅い戦略、結果が全てとは言え、観客の見る目はもちろん、メディアの評価も当然冷ややかになる。


毎日3本を裂いて目標にしていたが、初日は7本キャッチの5位スタート。
しかし、2日目以降、自分のスポットを2度3度と叩く結果に…。


そして本戦、自分の今回の戦略はどんなに厳しくても「絶対外さない」事を珍しく肝に銘じ、巻き物系や強い攻めを初日から完全に封印した地味な展開を選んだ。
ただ、今の若手に比べると戦闘力に大きく及ばないスピニングを使う事より、自分の最も得意とするフィネス「ベイトフィネスタックル」によるイールクローラー5.5インチ&4.8インチ0・9gネコリグとアベラバ3.5&オマタの2本立てでほぼ全ての時間をそれに費やす覚悟で臨んだ。今回だけは勝ちを狙うのではなく、とにかく毎日最も確実に最も数が釣れる確率の高さを積み重ねることで可能な限り確実に上位に入る事だけを念頭に置いた。その中で自分が最も「確実に釣る」事に自信がある戦略がベイトフィネスなのだ。


ベイトフィネスは今や自分の守りの要になった。
信頼できるタックルの存在が全てのストレスを軽減し、集中力を維持させてくれた。


ここでカバーの少ない全域護岸ばかりの遠賀川で、ベイトフィネスでカバーを狙い撃つ利点がないのではと思う人も多いかもしれないが、実際には水中の見えないシャローハンプや大岩、テトラの隙間などをローランスの3Dソナーで正確にGPSに記憶し、近距離から精度高くアプローチし、かつ、強引に岩や枕木から引きはがす事が必要になるのがその大きな理由である。浅いが故の精度と着水音の消去、そして強引なやり取り、これがベイトフィネスの最大の利点なのだ。しかし、それ以上に、自分にとってベイトフィネスタックルがスピニング以上に遥かに体に馴染んでいる事、一番安定した精神状態で釣りを展開できる事を最も重視した。


水深は1〜2m。ブレイクに点在する大岩一つをするほぼバーチカルにベイトフィネスで直撃する展開。
それほどの精度が必要になる。


本当にキッカーを狙う時間を全て捨ててでも、確実に1尾釣る事を優先した地味な試合だった。勝ちに結び付くパターンが確立できていない状態で、自分が生き残る唯一の手段を、最大の集中力で最長の時間使いきる。勝つのではなく絶対に負けない戦略…開幕戦では目の前に見えていた勝ちに渇望しすぎ、深追いし過ぎたが故、真逆に裏返った最悪の結果になった。今回はその真逆、ひたすら我慢の展開だった。本来、この「負けない展開」に長けていたのが自分の強さの基礎だった事を、何時しか忘れてしまっている自分に気が付いた気がする。


連日、驚くほど多くの観客が観戦に訪れてくれた遠賀川戦。九州のバスファンは激アツだった。


そして結果は予選5位通過、決勝はノーフィッシュだけは絶対に喰わない事だけを目標にしたためウェイトは大きく落とした。しかし、表彰台には立てなかったが7位入賞。結果的にこの7位には大きな価値が残った。


2日目は3本、それでも予選5位通過。
表彰台は目前だったが、それ以上に10位以下に沈む事を防ぐ事が絶対条件だった。


ある程度の予想はしていたが、開幕戦ダッシュを切ったTOP50四天王、小森、福島、青木、馬淵、4人を含む開幕戦上位陣の多くが予選落ちする大波乱。2戦目にして年間ランキングは早くも大きなシャッフルに掛けられた。
一方、ほぼ絶望かと思えた自分は47位から一気に25位(同点26位)までランクアップした。残り3戦を残して5位との差は25ポイント、1位渡辺プロとの差こそ45ポイントあるが2戦目でのこの差はさほど大きな問題ではない。
それ以上に、微かだがまだ1位を狙える一筋の光が見えたと言う点で今回の我慢の7位は「狙って確実に獲得した価値のある7位」と受け止めたいと思う。


今年もTOP50が昨年以上に盛り上がってきた。開幕戦の出遅れを少しは取り戻した。
次戦が霞北浦戦が生き残りを賭けた勝負になる。


そして同時に、私より3つ年配の永遠のライバル?沢村さんが驚異的ウェイトで断トツ優勝した事実は、自分の限界がまだまだもっと先にある事、そして同時にまだ自分の常識、経験では測れない未知の可能性がバスフィッシングにはまだ存在する現実(夢)をまざまざと見せつけられた気持ちがする。
この勝ち方こそが、観客をそして選手をも魅了する、往年の修羅場をくぐったプロの中のプロの勝ち方だ。


自分の気持ちが折れかけるとこの人が必ずやってくれる。
そして自分の闘志に火が入る。そんな関係を何年続けているだろう。


トーナメントは自分が絶対に釣れないと思っている状況でも、自分の常識(才能)を遥かに超えた結果(才能)を他人が事実として証明してしまう場所である。その事実を目をそらさず受け入れ、称賛し、自らを研鑽する糧とした時、まだまだ自分の知らない「正解」がある事を学べるのがトーナメントの素晴らしさだ。

次の第3戦、依然、断崖絶壁の戦いが続く。しかし、消えかけていたモチベーションは完全に戻った。同時に30年間、共に鎬を削り続け、今もバリバリの現役として最前線に身を置く沢村さんは、やはり稀代の名選手だと改めて心から感謝と敬意を表したい。


今回のTOP50で大流行していた日焼け防止用「サンバンディッド」。
沢村さんが「今江も歳だし日焼けに気をつけろよ」と送ってくれた。まだ若いつもりですが、有難うございます…。
見た目はかなり怪しいが、想像以上に涼しい優れモノ。キャリルで販売中。

 

 

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