HOME < K.IMAE Top Secret

ルアニュースクラブ掲載記事ディレクターズカットの巻

メキシコではZINXと並ぶ大活躍を見せたSG-PLUS。
10ポンドが連発し、テストは一発で完了した。

今回は2回に亘ってルアーニュース掲載記事をディレクターズカットにてお届けします。

…ブームも去って久しいS字系の一種であるSGプラスを、今更、最後発で出すのも勇気のいる事なのだが、このSGプラスは自分的に試合、取材、ロケを問わずビッグフィッシュ攻略アイテムの一つとして絶対に必要なものだったからに他ならない。50アップを狙って釣る一つの駒として、S字系ハードベイトは非常に戦闘能力が高い兵士なのである。ただ、このジャンルには私自身、終点の形と称したジョインテッドクローが存在する。このルアーと同じ能力をもつものを作っても、同じ所までは近付けても、それは結局コピーにすぎない。イマカツでもS字ブームの折、同様のモノは何度も試作テストしているし、ハードを諦めた後、2005年夏には「ジャバロンS」と言うジャバロンのソフトS字系もルアマガ巻頭でスクープ発表している。しかし結局、製品化は見送った経緯がある。この時の理由はジャバSとジャバロンとを贔屓目なしで実釣比較した結果が、ジャバSが絶対に必要な理由がセールス的な見地以外からは見当たらなかったからである。そしてジャバロンは今も世界各国でスタンダードとしてコピーされるに至り、今年も池原では驚異的な活躍を見せている。

懐かしのジャバロンS。
雑誌発表までしたが、結局、発売は見送った。
カレカと同じ運命か・・・。


JAVALLON−S




結局、カットテールはカットテール、ハドルストンはハドルストンが「始まり」にして「終点」なのと同じで、後発のコピーが終点のオリジナルを超える事は難しい。オリジナルに感銘を受けリスペクトしたうえでモノ作りを考えるなら、本家と違うコンセプト、狙いが最初にありきで、その独自のコンセプトを元に形にしたものは「進歩」と呼べるかもしれない。この点においてSGプラスは、ようやく遅ればせながら陽の目を見る機会を得るにに至った。

ビッグフィッシュ捕獲への駒として、やはりどうしても欲しかったS字型ビッグベイト。
Iモード、Sモードへの応用性とチューニング前提でSG-PLUSは誕生した。

このSGプラスは出荷状態ではデッドスローでは完全なノーアクションになる。しかし、スピードを急に上げたり、軽いトゥイッチでキッカケを作ってやると瞬時にS字系アクションへとシフトする。ジョイント部には独自のジョイントダンパーシステム(PAT・P)が設置されているが、ジョイントピンがネジ式になっており、自由にダンパーを取り外したり、硬さを好みに変えることでIとSの切り替わり具合を調節もできる。ダンパーを完全に外すと劇的に大きなSラインを描く純粋なS字系になり、急流やバックウォーターで単純に巻くだけで使いたい人はダンパーを付ける必要はない。

メキシコではトリプルフックの背針ではフッキングが悪く、
キャストの衝撃ですぐ背中から外れてしまう事が判明。
ここから試行錯誤し、現在のシステムへと進化した。

しかし、このSGプラスが最もフィネス効果を発揮するのがノーモーションの時で、この動きはスレたクリアな場所ほど効果が高い。その中でも特に縦スト系に強い。ここで覚えておきたいのは決して「ノーアクション(動きがない事)」が珍しいからバスを引きつけているのではなく、「ノーアクション」こそが「究極のスローアクション」に他ならないからだと感じている。

メキシコでは浮きゴミのエッジをデッドで引いてきて、ス〜っとフォールさせるといきなり喰ってきた。
ほとんどルアーはS字を描く事はなかった。

リップがついているルアー(アクションのあるルアー)は「動かすため(リップに抵抗を与えるため)に一定速度以上で引かなければならない」と言う制約を負う。ノーアクションルアーは糸ふけ等で意図せず流されない限り、当たり前だがこの最低速度の制約を何も受けずに動く形なのだ。この「極限のスローで動く物体の強い波動」こそ、何故巨大なルアーほど効果的なのか、何故ハドルトラウト8インチが特別凄いのか、果ては「ハドルスイマー4インチの秘密」へとも繋がる、究極の秘密の扉を開ける鍵の一つ(あくまで一つ目)なのである。そしてそれは同時に対極の極み「究極の超高速ノーアクション」の世界にも通じる波動なのである。

Iモードの究極、「極限のスロー」でも水を鷲掴みにし、相反する「極限の高速」でも、水面直下で「一糸乱れぬ一直線姿勢」を維持できるのはこのデスディールだけ。
見た目には完全にただの棒が超スローでも、超高速でも泳いでくる。一見ノーアクションに見えるが実は・・・来季のデビューを目指しデスディールは未だ進化の途上にある。

ノーアクションでルアーを引くことはすなわち抵抗感のなさ、何をやっているか解らなくなる不安感が付きまとう。この問題を解決する方法は、まずルアーを最後まで目で確認できる水深範囲内で引く事だ。人はルアーの抵抗や振動を、手を初めとする感覚で感じ、行動を推測する。それゆえ抵抗や振動がないと不安になる。それを解決させるもう一つの感覚こそが「視覚」である。ノーモーションリトリーブは、目で追いながら極限のスロースピードで縦ストラクチャー脇をどれだけ時間を掛けて通過させられるか、それが基本中の基本なのだ。

リアルモデルを使うようになって、バスは明らかに側線波動感知と同等、時にそれ以上に視覚を捕食判断に使っていると確信するようになった。
バクラストン・リアルは実際に私の取材50アップ捕獲率NO.1ベイトである。近日リリース確定。

ただ、こういった「引くだけ」の要素が強いビッグベイトの中で、私が特にS字系にこだわったもう一つの理由が、「チューニング幅の大きさ」でもある。S字系ルアーはただ引くだけではなく、時に水面直下のザラスプークのごとくドックウォークし、時にノーモーション、またある時はステイのワンアクションでリアクションバイトを取ることもある。もちろん各種の動きを複合させるコンビネーショントリックもできる。S字系ルアーはジャンル的には非常に「トップウォーター」に近い性格を持っており、アングラーの工夫によって独自の使い方を何通りにも編み出せる面白さがある。それは言い換えれば、バスが覚えきれない複雑さをもつと言う事だ。

ビッグベイトほど「狙って釣った」と言う充実感を味あわせてくれるルアーはない。
ただ巻くだけではなく、SG−PLUSにはトップウォータープラグ的な楽しみがある。

このほかにも、SGプラスは変形を防ぐために尻鰭を樹脂で成形しているが、ここを糸鋸でぶった切って、ボロボロになったバクラストンのテールを接着するチューンの動きは超刺激的である。詳しくはWEBにてチューン法を公開していくが、量産規格品ではない自分だけのオリジナルSGプラスを作るのも、新型IS系プラグの幅の広い楽しみ方の一つなのである。


ボロボロになるまで使い込んだSG-PLUS。岩や岸にぶつけて鰭が取れてしまう場合もある。
その時は市販のビッグベイト用各種尾鰭を購入し、写真のようにカットし瞬間で接着。更にリアル感が増す。
現場でなら、バクラストンの鰭をカットし接着してもオッケー。ただし、デカすぎると見た目はいいけど姿勢が悪くなります。

 

 

TOP OF THIS PAGE