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LTZ基本設定と使用上の注意点の巻
いよいよ来週、店頭販売がスタートするLTZ。見かけのイカツさとは対照的に、想像以上に人にやさしいリールです。



間もなくたぶん、色んなスジから聞いた所ではLTZが早い所で週明け早々にも店頭に並ぶと言う予想。そこで今回はこのLTZの今江式基本設定と注意点を書いてみたい。

まず、最初に強く言っておきたい事は、「過ぎたるは及ばざるがごとし」と言う格言。
これはバスタックルに関しても極めて重要な事である。ベイトフィネスが本格的に流行するにつれ、最先端バスタックルにありがちな行き過ぎチューニングでストレスが増加し、逆に試合の成績を落としたり、普通がベストだったのに普通では満足できないチューニング過剰病にかかってしまい、結果、釣果を極端に落としてしまうプロを何人も見て来た。


良く見れば、何気にインスピラーレ・コブラDG66MにLTZ付けて使ってたりします。
野池の場合、とても便利なもんで・・・。


バスフィッシングは机上や競技場の遊びではない。あらゆる不測の変化と予想外の状況を伴う、自然の中で楽しむ遊びであり、時として競技でもある。机上のチューニングが如何に優れたスペック的パフォーマンスを室内、そして陸上で発揮しようとも、それを実戦で使う人間のメンタルが常にベストコンディションでなければ使いこなせないシビア過ぎるものでは意味がない。
気温、風、雨、波…取り巻く環境の変化に、人間のメンタルが、そしてフィジカルが不安定、万全でない時にこそ、それを補ってくれる機械的安定感、そして少々荒っぽく使おうとも意に介さないタフネスさが、ベイトフィネスリールにこそ必要だと自分は考えている。


LTZのセッティングはバックラッシュを抑える能力に抜群の余力を持たせている。
自分はバックラッシュ超大嫌いなので・・・。


ただ、究極の過激さを持つワンオフマシンが必要になる状況がトーナメントではごく稀に存在する。その時、その場を生き残るために必要な特殊チューニングの余力を極めて広く残して完成させたのも製品版LTZの特徴だ。


LTZ930PROは現在最終調整段階。現在は超過激マシーン。
パーツカラーは今までにないカラーになる予定。


ではLTZの基本ブレーキ設定を説明しよう。

まず、LTZは、ライン・フロロ7~8ポンド、巻き量ハンドル45~50回転(35〜40m前後)に、2.3gアベラバ&アンクルゴビー3インチ(総重量で約5g)の基本的ベイトフィネスセッティングを快適に扱う事を前提に設定されている事を覚えておいて欲しい。
このセッティングのルアーを気持ち良く投げるための「マグネットブレーキセッティング」の基準が「0ポジション」である。したがって、まずブレーキを「0」ポジションにする事がスタートだ。


まず、マグネットブレーキは0ポジション。
マイナスへもプラスへも均等に50%アップダウン可能。


では、次に「メカニカルブレーキ」をセッティングしてみよう。
まず、メカニカルをゆるゆるに緩め、スプールに親指を置いて左右に動かしてみる。するとスプールがカタカタと左右に動く音がする。このカタカタ音に耳を澄ませながら、この音がしなくなるまで慎重にゆっくりとメカニカルブレーキを締めていく。カタカタと言ったスプールの緩み音が消えた瞬間がまず基本メカニカルブレーキ設置ポイント。
この設置ポイントでマグが0ポジションでも、キャストの上手な人なら何ら問題なく最高のパフォーマンスが発揮できるポジションでもある。特にピッチングオンリーならこれでも全然、OK。


メカニカルの基本はスプールシャフトがフリーな位置から、
ギリギリ、メカニカルブレーキパッドがシャフトに触れる位置を決める事。


しかし、ここからが今江式実戦セッティング。まず、カタカタ音が消えたポイントで、今度は指を離し、ラインにテンションを掛けていない状態でクラッチを切ってみる。
するとスプールはクラッチを切った弾みで、少し「自走」し始める。同時にスプールのラインが2〜3ループ程、「浮いてしまう」現象が発生する。
ここはサミングが上手な人ならキャスト時にサミングでカバーできる範囲なのだが、現実的にベイトフィネスでは、少しでもラインがスプール上に浮くと、次のキャストパフォーマンスは極端に悪くなるため、どうしてもラインを引っ張り出して巻きなおす処理をしなければならない。基本的にベイトフィネスでは、この動作をした段階で「失敗キャスト」となる。キャストリズムは崩れ、最初のカーブフォールすら満足に行えないからだ。


メカニカルを決めた時点で、クラッチを切るとスプールが自走し写真の様にラインが浮く。
上級者はこれをサミングで処理できるのだが・・・自分は中級者なもんで。


そこで、このスプールの自走が完全に止まる所(クラッチを切った弾みでスプールが回らないギリギリ地点)まで更にメカニカルブレーキを僅かに締め込む。ここがLTZのメカニカルブレーキの基本ポイントである。この状態でマグブレーキが0ポジションであれば、「無風状態」の条件下なら先のルアーをノーサミングでフルキャスト、同時に気持ち良くピッチングする事が可能になる。

こう書くと、ここが今江式のべストメカニカルポイントに思うかもしれないが、実際にフィールドでは更に僅かに締め込み、パワーで捻じ込むのが今江式ベイトフィネスである。少々、ルアーが枝や葉っぱに当たろうが、逆風であろうがお構いなし。フルキャストとピッチングを半々の割合で使う事が多い自分にはこのセッティングが基本なのである。


自分はメカニカルを結構、締め込みパワーで射し込むピッチングスタイル。
リストが強いので、かなり強引なベイトフィネスをしてます。


この基本セッティングを体で覚えたら、次に自分の好みのキャストフィール、ルアーの総重量や風の状況に応じて、ピッチング専用ならピッチングモード方向へ、キャスティング専用ならキャスティングモードへとマグネットを好みで調整して欲しい。

自分は超軽量ルアーの低弾道化を優先しこのミスをするより、弾道が浮き気味になってもよりバックラッシュし難い方法を選んだ結果、ベイトフィネスを完全に自分の武器にする事ができた。立ち上がりが鋭すぎるスプールで、スポット手前にルアーを突き刺すようなミスキャストをするより、弾道が浮けばロッドで煽ってルアーをスポット近くには着水させず、もう一度投げ直す事を選んだのである。LTZに何故、敢えてアルミフレームを採用したのかも、実戦で強く握り込んで使ってみればすぐにその価値が解ってもらえると思う。


実戦では満足な態勢から投げられる事は少ない。それだけに安定感のある道具が必要になる。


最後に注意点を書いておきたい。
LTZに関わらず、高度なベイトフィネスリールでは基本的に「脱脂」と呼ばれるベアリングのクリーニング&専用オイルの注入が基本である。


脱脂する事でベアリングの性能は一気にアップする。是非、マスターしたい基本技。


脱脂の方法は写真の通り。ベアリングに約10秒、オイルクリーナーを吹き付け、よく乾燥させる。


換気に気をつけましょう。5秒でもOKです。


その後、ベアリングに各1滴、専用オイルを垂らしておく。これだけでもLTZはかなり立ち上がりが早くなるので、脱脂しない方が使いやすいと感じる方も多いかもしれない。あくまで脱脂はプロ仕様の第一歩である。自分は雨が降った後は毎回、メンテも兼ねて再脱脂、専用オイル注入をしている。


プレート側は外してピンセットを使うと便利。
脱脂時の回転音が快感になったらビョーキです。


準備するのは脱脂用のオイルクリーナーと専用オイル。ただ、この専用オイルは、結構、人によって性能に相性がある。過激なスプールの初期立ち上がりを好む方はKTFフィネスルーブ、ややマイルドで使い易さを好む方はZPIのF-0ナノフィネスをお勧めする。中には雨で乳化したり、極寒期に著しく劣化するものもあるので、現時点ではこの2種類が安定した性能を保証できるオイルでもある。必ず脱脂後に注入する事。


専用オイルは1滴で十分。効果は変わりません。少ない方が過激です。


自分はLTZにはナノフィネス、LTZ930PROにはKTFフィネスルーブを使っているが、LTZ930PROは正直、現在のプロトは全てに最先端パーツを組み込みまくっているため、強烈に立ち上がりが過激で、例えるなら雨の日の600馬力越えのFR車、しかも電子制御なしって感じ…。まさにベイトフィネス最上級者向きプロモデルである。

参考までに、スプール側だけをセラミックボールベアリングに替えるだけでさらに立ち上がりは過激度を増す。小径ベアリングに替えると更に一層過激なじゃじゃ馬に…。オールセラベアは音が五月蠅すぎて私的には無理っぽいです…。


超高回転エンジンには、超高性能ブレーキが必要です。でもドライバーがヘボでは何の意味もないですが・・・。


それでは、気が狂いそうな開幕戦の最終準備にまた取りかかります…。


まだまだ準備が終わりません・・・試合前に倒れそう・・・。

 

 

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