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2011年を振り返って。
震災で開幕が危ぶまれた開幕戦。
だが、自分に欠けていた勝利への強いモチベ―ションが戻った意義ある一戦だった。このガッツポーズは被災者のために。



波乱に満ちた2011年が間もなく終わろうとしている。2011年を振り返る上で、絶対に避けては通れない記憶が3・11東日本大震災による未曾有の大災害である。
横浜国際フィッシングショーは中止となり、4月末高知県サメウラ湖開幕戦を控え今季のトレイルの開催是非すら論議されたが、トーナメントを通じた支援活動の一つとしてとして震災復興支援チャリティーを同時開催、ハイパワーボート使用禁止、喪章をつけてのトレイル開催が決まった。自分自身、複雑な思いで迎えた開幕戦だったが、開幕直前、今季TOP50トレイル全ての獲得賞金を被災地支援への寄付とする事を公に宣言し、そこに自らが戦う意義を見出した。

地元市町村へ賞金全額を一旦贈呈。
そこから被災地へと送って頂いた。
今年は5戦中、4戦で各地へ支援出来た事が嬉しい。

プロアングラーが賞金を全て寄付する事が、プロとして本来のモチベーションを失う結果になる危険性はあったが、自分のバスフィッシングが少しでも復興の役に立つ事で、自分が何かのために釣りをする意義をそこに見出したかった。


トーナメントを通じて社会貢献したい。これはトーナメントプロになった頃からの信条でもある。


この決意は1年を通じ、あのとき感じた復興支援への気持ちを風化させることなく、結果的に自分が出来る最大限に近い貢献を開幕戦から実績として残す事が出来た。2005年のエリート以来6年ぶりとなる優勝は自分にとって忘れられない23勝目になった。

開幕戦は震災支援チャリティーオークションが開催。
相当額の震災支援金が集まった。

しかし、続く6月第2戦岡山旭川ダム。本来は茨城県霞ヶ浦戦だったが、震災で開催地が変更、ここで自分はまさに天国と地獄を味わうことになる。開幕優勝を無にしてなおTOP50チャンピオン獲得が事実上絶望となる、2日間ノーバイトノーフィッシュ、完全試合、得点ゼロでの予選落ち。

開幕戦優勝によって、自分の気持ちの中に大きな仕事を成し遂げた充実感が残り、自分でも気が付かないうちにその結果に既に満足していた自分がいた。これが自分の一番悪い癖の様なもので、心のどこかに大きな隙が出来ていた。自分はとことん窮地に追い込まれた時初めて、自分がもつ力以上の爆発的力を発揮する事が過去に多々ある。節目節目での派手な強さが自分の持ち味だった。若かりし頃の自分にあって、今の自分が失いつつある物、それは大人げない程「心底から本気になる気持ち」なのだ。

心の何処かに大きな仕事を成し遂げた慢心があったのか。
ハングリーさを失った自分はもろい。

この大失態で誰もが今江は今期終わったと思っただろう。事実上、今季1勝と共に公約とした「年間ベスト5」も過去のデータ上、ほぼこの時点で不可能と思えた。
しかし、この断崖絶壁の窮地が自分に最強のモチベーションを与えてくれた。今振り返れば、この大失態がなければ、ここから始まる快進撃はなかったかもしれない。
「CATCH THE IMPOSSIBLE・不可能を掴め」
まさに座右の銘を試される戦いになった。


レンジャーZ519青龍号の初公式試合は悲しいノーフィッシュノーバイトの完全予選落ちとなった。


そして表彰台以外、もはや後が無くなった7月第3戦徳島県旧吉野川戦。2週間にもわたる長期練習を組んだが、なんと開催前日に超大型台風が徳島上陸の直撃。全員が白紙状態での試合となった。練習結果を全て捨て、自分が最も信頼を置くモグラチャターパーフェクションをローギアでスローローリングさせる事でこの窮地を紙一重でクリア。表彰台に首皮一枚残る5位で第4戦に一筋の望みをつないだ。いずれ黒帯RFシーズンIIで解るが、この時、隠し玉として温存していたジンクスチャターの活躍がなければ完全に絶命していた。
しかし、この時点でも総合ランキングはようやく20位前後。ポイント差は大きく残り2戦で年間5位以内に入るには最悪最低でも残り2戦も表彰台を獲得しなければならなかった。


チャターはチャターでも、この試合の救世主は実はジンクスチャターだった。
その真実の映像は2月のフィッシングショーと同時に「黒帯リアルファイトシーズンII」で公開する。


そして9月第4戦福島県檜原湖。檜原湖でもワカサギからセシウムが微量検出され、地震、原発の影響もあり選手サイドから開催是非が問う声が多かったが、地元復興の一助になると協会側が判断し開催を決定。放射能の影響も懸念されたが、のべ1カ月の期間を福島県に滞在した。この滞在ではフクシマと言うエリアそのもの全てが原発汚染されているかのような風評被害に苦しむ人々の姿を目の当たりにした。自分も高精度のガイガーカウンターを持ちこんでいたが、福島県全てが危険な訳ではない事を滞在して初めて知ることになる。しかし、同時に沿岸部の被害の甚大さは報道を上回る事態であることも痛切に感じる事になった。


福島滞在はいろいろな事を考えさせられた。実際に行くと聞くとでは色々な事が違ってくる。
ただ、開催は自分は正解だったと思う。


また何の因果か、再びこの試合も台風直撃と言う異常事態の中で強硬開催される事となる。想像を超える白波の中、ボートを破損するプロも多数出ていた。今回もまた事実上再び2週間に亘る練習は白紙撤回。初日12位、2日目19位と順位を下げ予選通過、しかしこの時点で自分の今季目標はついえたかに思えた。

今年は例年以上に天候の荒れた試合が多かった。
檜原湖ですらバスボートで走破できなくなる寸前に・・・。

またしても絶体絶命の窮地、しかし、この逃げ場のない状態こそが自分の最高の力が出る窮地だと自分で認識し始めていた。そして、最終日、只一人ブッチギリのトップウエイト3500gを持ち帰り、予選19位から一気に重量ポイントで捲り上げ、総合7位入賞。表彰台こそ逃したが台風影響で年間上位選手がし失速し、年間8位にランクイン。最終戦を残しベスト5まで8点差と、全く見えなかったその背中を遂に捕らえた。

震災被害の真っただ中にある福島県で、意外にも多くの観客があつまった。
檜原湖の美しさは何も変わらなかったが・・・。

そして8点差で迎えた10月最終戦茨城県北浦水系。震災の影響が色濃く残り、毎夜の様に余震に起こされるたが、ここでもほぼ1カ月の滞在。公約であるベスト5に入り、ポストシーズン最強決定戦であるクライマックスエリート5出場権をを得るには、最低でも優勝、最悪でも優勝に準ずる結果しか残された道はなかった。その上で上位8人中誰かが失速してくれなければならない。
ところが、ここでも三度、台風が試合直前に通過。大増水で2週間以上に亘った練習は3連続白紙状態に…。メインをスケブロとモグチャで組んでいいた戦略は見事に消滅。しかし、秋まで販売と宣伝まで控え、温存に温存をしていたスピナーベイトの切り札的存在「スーパーブレード」が満を持してその効力を発揮してくれた。初日のミスが大きく響きポイント差から残念ながら今季2勝目は逃したが、リミットメイクすら2名程度しかいない状況下、スーパーブレードのボトムクロウルで2日目4400g、3日目3800gと連続で圧倒的なトップウエイトを記録。総合重量では優勝を遥かに上回る総重量を記録し準優勝を獲得した。


会心の笑顔。昨年に続き、北浦水系では2試合で3回のトップウエイトを記録。
スーパーブレードの真の威力と使い方は黒帯リアルファイト・シーズンIIで見て欲しい。


そして、遂に年間ランキング公約の5位に力技で割り込む事に成功した。公式戦5戦中、優勝一回、準優勝一回、表彰台一回、そしてシングル7位、事実上4戦のみの結果では年間チャンピオンを獲得した福島選手とほぼ互角となる超ハイスコアだった

ポイントでは負けたが、総重量では圧勝の準優勝。
2日連続トップウエイトに思わずガッツポーズ。

そして2011年事実所の最終決戦。シリーズ年間上位5人のみがエントリーできるポストシーズン最強決定戦「クライマックスエリート5」。この試合のためにその直前に開催されたオープンクラシックは完全ノーフィッシュを意図的に狙った。勝者を下から眺める悔しさこそが、自分には必要なのだ。エリート出場権を獲得出来ただけで満足しかねない状況だったからだ。そしてポストシーズン最強決定戦は2位、現時代、AOY福島選手と並ぶ日本最強選手、青木大介に全力を出し切り、最高の結果を出し尚、最高の負けを喫した。何故最高の負けなのか、もうその意味は解ってもらえると思う。癌克服以来、自分の目標と心に決めた最強復活3カ年計画「序破急」はあくまでTOP50シリーズ前人未踏の3回制覇、そして龍(辰)年、年男となる来季、そのクライマックスを迎える。


いよいよ明日2012年1月1日夜9時。スカパー釣りビジョンにて、辰年年男、BATTLE OF K.IMAEがオンエア。最高の敗北をご覧ください。


筋書きのないドラマが、バストーナメント。思い通りに行かない困難に、計算通りいかない自然に立ち向かうからこそ、エンドレスな求道者としての挑戦は続く。それだけに何年戦ってもトーナメントには色褪せない感動と興奮がある。そしれそれが大好きだ。
ちなみに一昨日、3連弾取材となっていたその3発目、年末最終ロケ、遂に生まれて初めて完全試合達成…ノーバイトノーフィッシュ。生まれて初めて釣り納められず…。この超悔しさ、来年への最高最強のモチベーションとなりそうですわ!クソッー

お下品な終わり方でスイマセン…来年は何事にも過去最強の超ハングリー精神で臨みます。
それでは皆さん良いお年を!


来年は今年の3倍、全開全速で走ります。応援よろしく!」

 

 

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