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IK-300RS カオスダイバー
こんにちは、ルアーデザイナーの長井です。

10月に入ってからというもの、長雨の影響か少し肌寒く感じられるようになり、ここ最近は台風の影響で、日に日に気温は低くなっています。

関東では気温が一桁台まで気温が下がるなど、今年の10月は例年にないほどの気象変化が激しい秋を迎えています。

昼間と夜間との気温差で、水の攪拌で起こされたターンオーバーによる水の悪化により、魚の居場所が偏っていた先月に比べ、ここ最近は次第に水質が落ちつき、幅広いレンジで魚の反応が出始めていた矢先の台風直撃で、今後の魚の動きが気になります。




秋と言えば巻物と言われますが、これは広範囲に散った魚を効率的に攻められるルアーのことで、クランクベイトやバイブレーション、スピナーベイト等があげられます。

また、今では完全に一つのルアージャンルとして定着したチャターベイトも巻物であり、秋には非常に良く効きます。

さて、昨年末から本格的に開発の始まったアイテムの一つとして、フィッシングショー2017でお披露目したクランクベイト、IK-300Rが進化を遂げてIK-300RSとなり、11月頭には店頭に並ぶ予定です。


フィッシングショー2017で出展した初期プロト。

大進化を遂げたIK-300RSカオスダイバー


現在は難儀な最終調整は終わって私の手から離れ、工場はフル稼働で量産に入っています。

スタンダードサイズのクランクベイトでは、イマカツとしては初になる3メーターダイバー、バスフィッシングにおいて3メートルという水深はカギとなることも多く、必要不可欠な3メートルレンジクランクベイトということで、昨年の初秋に着手。

3メールレンジクランクベイトは、他社メーカーからも多く発売されていて非常に差別化が難しく、後発の3メートルダイバークランクとして、どのようなコンセプトを盛り込むのかが悩みの種でもありました。

開発当初、琵琶湖で一部のアングラーに支持を得ているIK-400Rをベースに、ダウンサイジングすれば簡単にできるだろうと安易に考えていました。

しかし、IK-400Rを開発した当時は最高の出来だと思っていても、時代の流れと共に趣向の変化等で改良点が目につき始めるもので、この改良点を元にIK-400Rを昇華させた、3メートルダイバークランクベイトを作ろうと思ったのです。


プロトタイプのほんの一部、
カオスダイバーならぬ顔無しダイバー!!


アクションは、リップ形状と内部構造を見直すことでIK-400Rよりもハイピッチに、ウォブリング4:6ローリングで、ローリングアクションを強調させることで、明滅効果の高い、ハイピッチタイトウォブンロールアクションを発生させるようにしました。

タイトロールアクションを主軸にすることで、ボディサイドの色調変化を激しくさせ、またウォブリングを抑えているため、フィールドにおいての場荒れを少なくし、バスに見切られにくい効果を狙っています。


よ~く見ないと分かりませんが、
リップの中央部をわずかに上反りにさせてあります。
上反りにさせることで水の掴みが良くなるため急潜行し易くなり、
よりハイピッチなタイトアクションが発生します。


上反りリップは、急潜行でタイトアクションを発生させますが、下反りリップに比べ、障害物に根掛かりしやすいデメリットがあります。

そこで、障害物回避に優れた、イマカツ専売特許であるワインドリップ形状を、リップ全体の1/6にあたる先端のみに設置することで、障害物回避性能は難なくクリア。    


ワインドリップ(下反りタイプ)は障害物回避が優れていますが、
潜行レンジが浅くなるという特性があります。
上反り面積よりも下反りの面積を小さくする事で3メーター潜行レンジを可能にし、障害物回避性能と両立させました。


ボディサイズは、IK-400Rと同サイズにする事も当初案ではありましたが、IK-400Rのボディサイズで3メーターレンジダイブのリップを装着すると、理想とするハイピッチアクションが出なかったため、ボディサイズを一回り小さくして、リップとのバランスをとりました。


IK-300RSカオスダイバー(上)60ミリ、17グラム
IK-400R(下)63ミリ、18グラム


外見的に一番の特徴ともいえるリップとボディの接続部分、奇をてらった単なるデザインではなく、フックハンガーであるエイトカンをボディに対して斜めに設置することで、ボディ内部容積を拡大させ、浮力増大に貢献しました。

通常60ミリ前後のクランクベイトは、6番サイズのフックが装着している物が多く、フックサイズをIK-400Rと同じ4番サイズを装着する事が可能となったことで、ハードルアーに多いバラシという不安要素を軽減させました。


エイトカンを傾斜させることで内部容積が増大。


内部容積が増大し高浮力を確保出来たことにより、
IK-400Rと同サイズの4番フックを装着可能とした。


また、このアゴ部分の意図した形状には理由がもう一つあり、この部分に当たる水圧によって、アゴ部分が押し上げられる力が働き、ルアーボディはラインアイを支点に、より前傾姿勢になろうとします。この効果で着水からの素早い立ち上がりと安定した潜行姿勢へと導きます。


メインリップの補助的な役割を果たす、
イマカツオリジナルアシストリップ。
            

中空ボディの樹脂製クランクベイトにおいて、テイルの太さは大変重要であり、浮力確保と水流攪拌に大いに関係しているのですが、浮力のあるウッド製のクランクベイトと比べ、中空ボディの樹脂製クランクベイトは、ある程度のテイルの太さが無ければ、内部容積が増やせず十分な浮力を確保出来ません。

仮に現在のボディサイズ(60ミリ)でテイル部分をスリム化してしまうと、十分な浮力を確保出来なくなります。浮力を得るためには、ボディ後部を延長するかボディ全体のサイズを大きくする必要がでてきて、デザイン上の制約を超えてしまいます。

また、テイルをスリムにすると水流抵抗が減少して、水を切り裂くアクションになり、水押が弱くなってしまうのです。

クランクベイトで、最初からこのアクションを意図したルアーも存在するのも確かです。

IK-300RSカオスダイバーの場合、60ミリという限られたボディサイズの中で浮力を十分に確保し、強い水押のボディデザインを模索した結果に辿り着いのが、エッジカッティング加工を施したイマカツオリジナルのテイル形状です。


水流を面で押し退けるため水流攪拌が強くなったと同時に、
キャスト中の空気抵抗の低減化にもつながりました。


全重量の30パーセントを占める高比重タングステンボールと低重心固定ウェイトを配置。キャスト体勢に入ると直ぐさま高比重タングステンボールが、ルアー頭部からボディエンドまで瞬時に移動。ボディ長を最大限に生かした重心移動システムにより、キャスト時に弾丸のような直線飛行を実現し、低重心固定ウェイトがキャスト時の安定した姿勢を約束します。


ボディの先端から後部までフル移動するタングステンボールと
低重心固定ウェイトが相まって、湖上が荒れた条件下でもストレス無くキャスト出来ます。

発売されたら是非巻きまくってくださいね!!


それでは皆さん良い釣りを

 

 

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