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延頸挙踵
こんにちは、ルアーデザイナーの長井です。

つい先日、関東・近畿地方に木枯らし1号が吹き荒れ、本格的な冬へと近づいてきました。

これは日本列島の気圧配置が西高東低になった事による影響で、放射冷却も作用している為に、朝夕の気温が急激に下がり始め、寒さの苦手な人には辛い季節になって来ていますが、釣り欲には暑さ寒さは関係ありませんね。

恒温動物のほ乳類や鳥類は、外気温に関係なく、ほぼ一定の体温を維持できる為、気温に左右されること無く活動する事はできます。

一方、変温動物のバスは、体温を自ら調節できず、外気温に影響される為に急激な温度変化に滅法弱く、水温が下がると活性が著しく低下してしまいます。

水温が下がるに連れ、バスは次第に水温の安定した深場へと移動していきますが、体力のある大型個体は浅場に残っている事が多々あります。

水温の上がりやすい浅場は、バスだけでなくプランクトンや子魚にとっても居心地の良い場所には代わりはないのです。

ですから、水温が下がったからと言って、いきなり深場を攻めるのではなく、必ず日当たりの良い浅い所から攻めると思いもよらないデカバスに巡り会えるかもしれません。

気温、水温が低下してくるこれからの季節、トップウォータールアーの出番は少なくなってきますが、アベンタクローラーやウッドボディのアベンタGTのような超々デッドスローリトリーブに対応したクローラーベイトは、 11月末ぐらいまでは一軍タックルボックスには忍ばせて置いた方が良いですよ。

おっと、ハンドメイドのアベンタGTは前人気高過ぎて今期は数量が全然足らず出荷見送りだそうです。


アベンタGT(手前)とアベンタクローラー


アベンタGTを良く見ていただけるとアベンタクローラーとの違いがあるのはお分かりでしょうか?

ボディ素材がウッドになって、アベンタクローラーより一回り小さくなっただけと思うかもしれませんが、実は羽を取り付けている台座部分に金属パーツが1アイテム追加されているのです。


新たに追加されたL字形パーツ 


開発当初、アベンタGTはプラスチック素材も候補に挙がっていましたが、ボディザイズが小さくなるにつれ、多くの金属パーツを纏ったプラスチックボディでは思うように浮力が満たされず、最終的に高コスト素材の高浮力ウッドに行き着いたと言う経緯があったのです。

市場には、多くのクローラーベイトが出回っていますが、ボディにウッドを使用しているクローラーベイトの大半は、羽の取り付け台座が固定されています。


クローラーベイト 

台座がビスで固定されている。


このタイプは、台座をボディにビスなどで固定されている為、金属の擦れ音は羽と台座、そして羽とヒートンの接触音の2カ所となり、初期状態(新品)時の金属音は殆どしません。

使い込んで行くにつれ、アルミやジュラルミン素材の羽は、ステンレス素材で出来ている台座に比べ柔らかい為、羽に開いている長方形の穴が削れて広がって羽のガタツキが大きくなるに従い、金属音も大きくなっていきます。

ウッド素材を使用しているアベンタGTは、初期状態から大きい金属接触音が出せるように、台座をボディに固定していないフリータイプを採用。

ここで問題が発生、台座がフリーであるが故にガタつきが仇となり、台座がボディの同じ場所を何度も何度も接触するため、プラスチックに比べ柔らかいウッドボディが削られてしまうのです。

そこで新たにL字形パーツを追加。

このL字形パーツは、羽の障害物接触時の台座破損を抑止し、台座が直接ボディに接触しないためにウッドボディの損傷を防ぐ効果を同時に可能としたのです。


L字形パーツ


このL字形パーツの追加により、羽と台座、台座とL字形パーツ、そして羽とヒートンという複合的な金属接触音を、ウッドボディのクローラーベイトで出すことが出来たのです。

クリスマスとお正月に少量出荷あるらしい!?


アベンタGT


それでは皆さん良い釣りを

 

 

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