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DNA
こんにちは、ルアーデザイナーの長井です。

つい先日、街中を歩いていると、ツインベビーカーを押している女性が居り、双子の兄弟と思われる2歳ぐらいの子供がベビーカーに腰掛けていました。

おそらく一卵性双生児の子供と思われ、私にはパッと見、全く区別が付かない程の良く似た容姿をしていました。

この特徴を作り出しているのは紛れもなく遺伝子であり、生物の設計情報によるものです。

遺伝子とは、細胞から細胞へと伝えられる形質を決定する因子のことで、遺伝子の根幹にあるのがDNA(デオキシリボ核酸)と呼ばれる細胞の遺伝情報を記録している物質のことです。

生物の授業で必ず出てくるDNA、二重らせん構造と言ったらピンっとくる方も居られると思います。

二重らせん内側には塩基とよばれる物質があり、4種類の塩基同士がお互いに向き合って対になっています。

塩基の種類には、アデニン、グアニン、シトシン、チミンという物質があり、アデニンチミングアニンシトシンが対を成して、各細胞の情報を作り出しているのです。


これはDNAではなく理髪店のサインポールです。


グアニン!?

と言う言葉を聞いて、もしかしてあの金属光のようにギラギラしたグアニンと同じ物質なの?  

と思われた方も居られると思いますが、

実は同じ物質で、人間の細胞はギラギラしていませんが、あの魚の体表のギラギラした物質と同じグアニンなのです。

魚のグアニンは板状に結晶化した物が、体表に沈着したもので、光を反射し、特に紫外線から体内の細胞を保護する為と、また光の反射を自分の意思で防ぐことができて、捕食者から見えにくくして身を守る事ができるそうです。

鏡のように周りの色を反射したり、写しこむ事で周りの景色と同化したりする保護色の役目をしているのです。

グアニン自体は無色透明な物質であり、可視光線全ての色を反射するために銀色に見えるのです。

これは構造色と言われ、グアニンの結晶層に光が反射するためで、主な特徴として見る角度に応じて様々な色彩が見られて、魚の体表の銀色部分をよく見ると虹色に発色する角度が必ず現れるのはこの為です。


CDには薄い皮膜のアルミニウムが施されていて、この膜にはデジタル記録を読み取る為の凹凸があり、この凹凸が光の反射に干渉するためにシルバーベースの色であるにも関わらず虹色に見えるのです。


今がシーズンの太刀魚、この魚はウロコが無いためにグアニンの層が剥き出しに成っているため、鏡のように体表がギラギラしています。

太刀魚のグアニンは模造真珠を作製するために使われていたそうで、また天然素材由来で安全な為、化粧品やパールカラーのマニキュア原料としても使われています。

グアニンをルアーの表面に施したら本物の魚に近づくのではないか、と思った方は鋭いですね。

ルアーの表面にアルミニウム箔やホログラムシートにアルミ蒸着メッキ、これらに共通するのは全てアルミニウムが原料になっていると言うことですが、このアルミニウムの輝きはグアニンに近いと言われています。

ですから、アルミニウムの薄箔をまとったルアーが良く釣れるのはこのためでしょうか。




過去に使い比べた事があるのですが、自作ミノーで1つはアルミ箔を貼っている物、もう1つはアルミ箔を貼らずパールベースで着色のみの物を使い比べた結果、圧倒的にアルミ箔を施したミノーの方が、バスの反応が良かった事がありました。

その時の湖は透明度が高かったので、このような結果になりましたが、今度は多少濁っていた時に同じテストをした結果、パールベースカラーの方に軍配が上がったのです。

グアニン光に近いアルミニウム箔、全ての状況下で有効と言う訳では有りませんが、その時の水質などの状況変化に合わせてカラーローテーションする事により、思いも寄らない魚に出会えるかもしれませんよ。


ソルティーソニックfor BASSにグアニン注入!?


それでは皆さん良い釣りを

 

 

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