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TOP50霞北浦第2戦報告
好事魔多し。万全を喫して挑んだ第2戦は北東の暴風にまたしても翻弄された。


                        
自分はここ2年、何故か霞ヶ浦の神様に見放されているのだろうかと思いたくなった霞北浦戦が終了した。いや、実のところそれは霞ヶ浦の神様ではなく「風の神様」に見放されていると言った方がいいのかもしれない。

昨年、そして今年と最も好きなフィールドであるはずの霞水系戦で思うような結果が出せない。今回の第2戦はAOYを狙うに当たっては絶対に外してはならない勝負の試合だった。最低でも5位以内をターゲットに、練習期間を10日間取り、万全の練習をこなして臨んだはずだったが…。昨年も今年も、長期にわたるプリプラクティスはまさに「万全」とすら思えるほど手ごたえ抜群で、よもや予選落ちなどまずないと思える仕上がりだった。

しかし、結果は34位予選落ち。奇しくも同じ初日荒天による中止で、事実上初のエリート5出場不可能の止めを刺された昨年の第3戦と同じ34位となった。
優勝を強く意識するほどの内容のいい練習から、今回もまた真逆の結果に沈んだ。
その最大の原因は、奇しくも昨年同様、この時期、まずめったに吹かない「北東の強風」が自分のプランを崩壊させてしまったといってもいいだろう。
10日間に及ぶ練習でも僅か1日しか吹かなかった北東の強風。昨年同様、自分が最も自信を持つエリアは北浦南岸に集中し、この時期最も普通に吹く南よりの強風が吹けば驚異的な爆発力を持っていた。しかし、昨年の初日を中止にさせた季節はずれの北東の強風は、今年も嫌がらせをするかのように初日から吹き荒れた。初日朝はまだやや東よりでかろうじて自分のエリアは機能したが、2日目は朝から中止もあり得た7mの北東強風。かろうじて開催されたが、もはや完全に自分のメインエリアは全て津軽海峡冬景色となった…。


大荒れの北浦で、世界最大級のバスボート、チャンピオンDCX22フィートに300馬力の
エンジンを止めきることは不可能だった。


昨年も今年も、自分が最も自信を持っていたエリアは北浦南岸である。いまや霞にも劣らぬビッグフィッシュが多くなった北浦は、遠い霞本湖へのリスクを犯さずとも十分に毎日MAX5キロを狙えるポテンシャルを持っていた。しかし、何故か北浦は南(西)岸に好スポットが多く、北東の爆風で大荒れになると手も足も出なくなる。
一方で霞水系でも風に強く穏やかで、比較的川幅の狭い葦や水門と言った当たり前の小場所が多い北利根、常陸利根、和邇は北東風にはめっぽう強い。それは最初からわかっていたつもりで、その対策も十分したつもりだったが、「性格」的に視界内に多くのバスボートやオカッパリのアングラーが水門付近に大勢いる「ベタなエリア」で釣り競う形を自分はどうしても避けてしまう。
バスが濃い、しかし、あまりにもベタなスポットで釣り競うのではなく、自分だけのエリアで、自分だけのパターンで勝ちたいと言う広大な霞北浦水系ならではの夢を捨てきれない色気?が毎回自分を惑わせる。


2年連続北東風で中止かと思われた今回の霞北浦戦。
北東対策はしていたが、自然に順応せず闘ってしまった。


これは今回の著名なベテラン勢が軒並み40位以下に沈んだ結果を見ても明白なのかもしれない。水門や小さな葦を順繰りに攻め合うことになんら抵抗のない2000年代育ちの若手プロと、かつて琵琶湖や八郎潟でのトーナメント全盛期を戦ってきたベテラン勢とは明らかに行動が異なってくるように思う。バスを手にするための最も確実なスポットとエリアで、最も効率が良く確実な方法、ルアーを無駄なく淡々と繰り返せる2000年代プロと、今も尚、独創的スタイルや出し抜くような新しい釣り方、圧倒的な勝利への夢を捨てきれないベテラン勢、その差がこの10年、開催地がほぼ固定化されてしまったトーナメントフィールドでは最も大きな差につながっている気がする。
試合後、揃って予選落ちした同年代のベテラン方と「このルアーでハメて勝ちたい」とか、「自分だけが気が付いたエリアで勝ちたい」とか、自分の「理想」を試合に持ち込んで勝てる時代じゃなくなった…と愚痴をこぼした。毎度同じ負け惜しみなのだが…。


今回の自分の敗因もまさにその通りで、そういった当たり前のエリアでプリプラでは十分釣りながら、これは誰でも釣れるし見つける魚と、最初から釣り競うことを避けていたからに他ならない。


ある意味、十分想定通りの初日だったが、周りが想定を完全に超えていた。


そしてもうひとつの敗因は、初日、かろうじて東の強風が北よりに変わる前に、北浦エリアでアライブチャター70とジレンマ改で9時前には入れ替え開始、5本約3400gに達した時点で過去の実績からこれで初日は悪くても10位前後に十分なウェイトだと安心してしまった事にあった。
翌日の天気予報は初日より穏やかになる方向と予報されていたこともあって、そこから翌日以降の温存を考え攻めをセーブしたのが大失敗だった。前線通過が遅れ翌日更に北東の大荒れになるとはこの時点では予報を見ることは出来なかった…。そして4キロ当たり前、よもや3400gで21位、3キロでギリギリ30位以内という空前の釣れ過ぎが完全に読み間違えだった。

2日目は朝から北東の強風。かろうじて開催は出来たが、もはや自分のエリアはボートをステイさせることすら不可能な大荒れターンオーバー、エリアのポテンシャルもゲームオーバーだった。

今回、完全な負け試合となったが、一つの大きなキモをプリプラ時に感じていた。それはこの2年、霞水系で今まで人気のなかったチャター系ルアーが明らかに効き始めてきたことである。


プリプラ時はギルチャWDでいきなりデカバス連発。
場所は北利根と常陸。本番は何故か行くことなし…。


プリプラの模様は「HOSA記」ブログやここで隠さず紹介してきたが、圧倒的にチャター系が効いていた。昨年まで超マッディーな霞水系ではチャターはイマイチ効果がないと思われ、実際に他のフィールドに比べチャター人気は皆無に近かった。しかし、実は昨年から超マッディーならではの重要なチャターのキモに気づいていた。それは写真からはまず気がつけない微妙なものだ。その秘密は今回、チャターベイトで優勝した片岡君が明かしてしまったので、もはや隠す必要はなくなってしまった。

それはほとんど透明度が30cm以下?の霞水系では、バスの捕食に関するキーが、視覚よりもほとんど側線の波動感知ではないかという点だ。実は霞ヶ浦水系の隠されたキモの一つが、ルアーの波動の「弱さ」にあることはTOP50レベルでは既に知られた事実である。

霞水系は不思議なことに酷くマッディーなのにアメリカンクランクよりも、波動の弱い小さなシャッドやタイトなフラットサイドが圧倒的に大きなブリブリ系クランクより釣れる。これは数多くの試合データが語る紛れもない事実だ。
おそらく強過ぎる波動は暗闇の中でバスに好奇心を上回る恐怖感、不信感を抱かせるのかもしれない。

故に霞水系でのチャターのキモは「やや弱いこと」「暴れ過ぎない事」「5mに1回程度の微千鳥」がキーなのだ。霞水系では千鳥で視覚のスイッチが入ると言うよりは、ほぼ視界のない水中で側線の感覚を頼りにルアーをチェイスするためか、「パニック系波動」より「無警戒で泳ぐ波動」を好む傾向が高い気がする。
しかし、全くトリガー効果のない只のバイブレーションジグではイマイチで、この「千鳥」のさじ加減が極めて重要なのだ。今回、優勝した片岡君がキモはブレードをワンサイズ小さいサイズに変えていたと言ったことがその核心を突いていた。後は彼が狙った北東風に強い常陸、北利根のエリア選択勝ちだった。


試合初日、キッカーを手にしたアライブ70。
なんと「10g」シンカーを付け、1m強の岩盤を早巻き。


自分も今回、アライブは70に10gクイックチャンジャーで千鳥と振動を弱めし、ハードボトムをバンプする要領で早巻きで狙うパターンと、モグチャパーフェクションよりブレードが一回り小さく薄い「ハイレブ」に抵抗のある「ドレッドホグ」と言う千鳥押さえの二駒を主力においていた。元はプリプラでも公開していたギルチャWD改の好調さからもその傾向は確かだった。
全てはエリアの選択ミス、自分の強情さが正解に限りなく近いところにいながら結果は雲泥の差となってしまった。後は若さなのだろうか…。


馬淵は今回、3日中、2日間はほぼジンクスミニ1/4ozのみ。
決勝ではキッカーをドノーで入れていた。


今回、マブチが見事なまくりで3位入賞したが、これもエリアは片岡君とほぼ同じエリアだった。そして霞水系ではめっぽう強く、ローカルシークレットにもなっているジンクススーパーブレード1/4ozが、短時間決戦の決勝で20本越えキャッチと言うまたしても驚異的な威力を発揮した。このジンクススーパーブレードも「弱さ」「控えめ」が最大のキモの、本物のプロは気づいている唯一無二のTOP50でも勝てるスピナーベイトである。このスピナーベイトを使いこなすキモは、ブレードが回っていないのではないかと言うような感覚に不安を覚えず、そのまま信じて巻き続けることにキモが在る。感覚的にはスイムジグのような感覚だ。


黒帯RFでも脅威の釣獲力を魅せたジンクススーパーブレード。
このスピナーベイトでなければ釣れない状況は間違いなくある。馬淵も遂に気が付いたようだ。


日本のフィールドは、いまやアメリカとは今や全く違う独自のコンセプトが必要なのかもしれない。馬淵のジンクスメソッドの試合模様は、近々、ユーチューブで公開予定なのでジックリとその使い方をご覧になって欲しい。


馬淵は良いタックル、釣れるルアーへの嗅覚は凄まじい。
いつの間にか自分しかもっていない未発売のコブラDG66Mまで神谷から貰っていた。


第2戦の失速で、年間ランキングは25位と大きく順位を落とした。これも奇しくも昨年2戦目終了時と同じ結果である。ただ、今回、馬淵が表彰台で「僕は予選落ちは全く怖くないんです。」と胸を張って言い切ったその言葉にハッと我に帰ることが出来た。小憎たらしいヤツだが、その言葉に救われた気がした。
自然を相手にするトーナメントは何が起こっても不思議ではない。2年連続不測の北東風が吹くこともあれば、次は自分に風が吹く可能性もあるのだ。その時を絶対に逃さないためにも、常在戦場の緊張感を絶対に切らせず、残る3戦に全身全霊で挑みたいと思う。

 

 

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