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冬の定番?「攻速ピラーニャ」高速巻きの巻
霞で開眼、旧ヨシでも驚愕、今更ながらピラーニャって凄いバイブレーションでした。
今江克隆専用速巻きモデル「攻速ピラーニャ65」来月デビュー。



風邪引いた。十分熱あるのにここ暫く関東滞在してて、現在、ズバズビの半死半生…異常にしつこい風邪にブチ切れ寸前…。今年の師走はここ数年で一番忙しい様な気がしている今日この頃です。と言う事で、遅ればせながら前回の続きです。

さて、今年、自分の中で久々に新鮮かつ、新しい可能性に強い興味を持ったプラグがある。それがバイブレーションだ。確かに昔々、琵琶湖を主戦場としていた時代は「6月&12月と言えばバイブレーション」と定番中の定番プラグだったが、琵琶湖を離れて以来、正直バイブレーションにはあまり興味がなかった。まあ、その理由はバイブレーションでなければならないと言う状況や場所がトーナメントレイクにはあまりないように「錯覚」していたからに他ならない。


霞TOP50で使い込んだピラーニャ60。
ピラーニャのドシャロー攻撃力を再発見させてくれた。
台風が来なければ間違いなく霞戦浚渫の主役だった。


それ故にメキシコ・バカラックで最終テストをしたピラーニャに関しては、飛距離とレンジのキープ力、すなわち、やや深場(2〜3m)でもゆっくりと引ける浮き上がり難いバイブレーションとして開発した経緯がある。
ところがこの開発の副産物として、ピラーニャは独特の受け顎とスイム姿勢から他のバイブレーションに比べ抜群に「根ガカリしにくい」「スタックから抜けやすい」と言う個性が備わっていた。


TOP50の翌週、WBSクラシック準優勝&TOPウェイト立役者となった厳太郎のピラーニャ70。
通称「ガイコツ状態」と呼んでいる、ここまで使い込めれば本物です。


そして今年、ひょんな事からこのピラーニャが自分の中で巻き物の新たな一手として一軍入りする事になる。さほど使う事もなかったピラーニャが再び脚光を浴びたのは激烈な爆風のTOP50北浦、霞戦練習の折だった。この時は本当に何をやっても、まさに万策尽きて釣りにもならないお手上げデス…状態。やけくそで爆風でも辛うじて護岸スレスレに並行に投げれた唯一のピラーニャをガンガン超高速で、しかも水深1m以内の葦前や護岸際を引っ掻きまわすように引きまくると、ウソのようにバスが「引っ掛かって?来る」ように釣れた「事件」からである。
「引っ掛かってくる」と言うのは表現が悪いが、本当にバスが「しもたっ!!」みたいな顔して大口開けて呆然と抵抗少なく釣られてくるので、何かこの表現がしっくりくる感じなのだ。人にすれば予定にない釣れ方、バスからすればそうするつもりの無かった釣られ方…共にビックリしているような意外性がバイブレーションのもつ異質な能力を表しているのかもしれない。


本番ではピラーニャパターンは奏功しなかったが、霞の浚渫自体が終わっていた。
それでもこのパターンは最終日逆転トップウェイトのヒントになった。


この釣り方は霞水系に多い岩盤、特に浚渫の堀残しである0.8m前後のガビガビの岩底、1m前後のオダでは特に有効だった。何にせよ、このレンジのガビガビ岩盤にクランクやチャター、スピナベを超ロングキャストで引けばほとんどがすぐに岩の隙間に突っ込んで再起不能、唯一引けるのが「並行スイム」が可能なピラーニャで、それも「底に突っ込ませないように」と意識すると、おのずと高速巻きになると言う結果論だった。
ここでピラーニャの激浅岩盤へのスタック率の低さ、スタックしてもロッドを立ててはじくと簡単に外れる事に気を良くし、1日巻いてみると結果的にワームやフィネス系で粘るより釣れていた…と言うのがキカッケである。もちろん、ピラーニャがスタックし難いのか、バイブレーションだからスタックし難いのか、わざわざマリーナの知人に他社のバイブレーションまで頂いて試してみたが、その差は歴然に近いものだった。
まあ、最終的に霞戦ではまたしても台風とターンの濁りで本番はピラーニャパターンは沈黙してしまったが、状況が落ち着いた翌週、このパターンをプリプラの時に目の当たりにしていた大藪厳太郎がWBSクラシック2日目、西の洲の岩盤で、ピラーニャ一本でトップウエイトを出し、準優勝する事で証明してくれた。


翌週WBSクラシック、霞の練習に付き合ってくれた厳太郎がピラーニャ70で爆発。
2日目トップウェイト&準優勝。オマケにTSR取材でも霞50アップゲット・・・。微妙に複雑な気持ち・・・。


その後、と霞の岩盤攻略のためにこれは絶対必要だと言う事で、自分的に現行ピラーニャとはまた違ったコンセプトで一から設計し直したのが現在「攻速ピラーニャ65」と呼んでいる新型ピラーニャである。コイツはオリジナルの60、70に比べややファットなボディーで、超シャローでの根ガカリ回避力維持と、高速で1日巻いても疲れにくい軽い巻き心地、広範囲からバスを呼べるラウドサウンドに拘った。僅かにファットにしたのはボディー壁面に当たるラトルの拡散効率と打撃音を強めるためである。
ちなみに「高速」ではなく「攻速」にしたのは「攻める速巻き」と言う意味で、速巻きマニアな某プロのニックネームを頂いて命名させてもらった。


霞戦終了後即、厳太郎とテストを繰り返し、新たに速巻き能力&回避力アップを果たした新型「攻速ピラーニャ65」。
サイズも厚みも新設計、ラトル反響力も大幅アップ。


とまあ、こういった経緯で霞戦のプリプラ終了後即に改造に踏み切ったのが「攻速ピラーニャ65」で、70では試合に使うには大きすぎる感じがし、60では物足りない気がしたため新たに65mmを選択した。このプロトは厳太郎のバスワールド取材で見事、霞産50アップを浚渫で仕留めてくれたのは記憶に新しい所だと思う。


TSR記事を手に嬉しそうな厳太郎。
霞浚渫でハードベイトで、しかも取材で50アップの価値、霞を知る人なら解る、偉大な偉大な1尾です。


そして今回のクラシックプリプラ、多くのプロ達がその寒さから下流のテトラ帯をライトリグでギチギチに攻め切っている様子がうかがえた。しかし、折からの爆風でライトリグが機能しない日が多く、シャッドすらもまともに投げられない中で、試しに攻速ピラーニャをテトラの最も浅い側を浚渫岩盤よろしく、ガンガンに当てながら引いてみると、これが大当たりした。


プリプラでは下流テトラ帯の本命だったピラーニャ60&65。
とにかく強引に超浅い所を大遠投で高速で引くのがキモだった。


バスはクリアな水質かシェードを好んでいたが、シェードは日影で寒く、まだテトラの穴のディープに入る事は好んでいないように思えた。それより逆に日当たりの良い、同時に流れと風をプロテクトしてくれるテトラの暖かいテトラのシャロー(上面)側を、日影を縫うように群れでクルーズしていたようである。このバス達は水がクリアーなので人が近づくとすぐに消えてしまう。故にバイブレーションの爆風お構いなしの遠投性能が霞同様の効果を発揮してくれたのだろう。


高速で水深50〜1mを逆アーチ状ではなく、ほぼ水平に引けるのがバイブレーションだけの特徴。
そして、シャローでは、バスの予想警戒範囲の遥かに離れた距離から仕掛けられる、
小さくとも断トツの飛距離がモノを言う事がしばしばある。


誰も旧吉野川でバイブレーションをテトラ等で使っていなかったため、このパターンは500〜700g前後のバスには非常に効果的だった。実際、プリプラ中、大きさを問わなければ1日5本以上のバスを同一ルアー同一パターンで釣れたのはピラーニャだけだった。まあこれも明かしてしまえばハイそれまでよ…なのだが、確信と自信を持って尚、信頼できるルアーがなければ聞いただけで簡単に真似できるものでもないのも事実なのだ。巻き物は巻けば誰にも平等に釣れると言う程甘いものではない。むしろ巻き物の本質はワームやライトリグよりもはるかに難しく、奥深い物と思うべきだろう。
シンプルだからこそ、経験と実績による絶対的セルフコンフィデンスを纏って初めて、ハードベイトは試合レベルで使える本物の武器になるのだ。


この橋げた2本、壁際スレスレを抜いて、しかもその奥のテトラまでが1投の射程距離内。
そこから一気に中層高速リトリーブ、それが攻速ピラーニャの真価。

 

 

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