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TOP50第4戦旧吉野川結果報告。
攻守のバランスを欠いた今季、タフな条件での脆さが露呈した。
それが解っていてもなかなか修正できない。得意のスタイルを大きく変える事は、性格を変えるのと同じくらい難しい。

http://www.jbnbc.jp/MODULE12/summary_point.php?t_id=10040



ド凹み…それ以外に今の気持ちを上手く表現する言葉が見当たらない。
TOP50ランキング1位奪還を現実的な目標として万全の態勢で臨んだはずの今シーズン。
しかし、絶対にハズしてはならない最後のチャンスとも言えた第4戦旧吉野川は、初日こそ7位と好スタートを切ったが、2日目にまさかの大失速、最終17位と言う致命的な順位で終える事になった。
体調面では昨年以上の回復を実感できいるにもかかわらず、今年は何故か結果が後一つ噛み合わない。逆に自分の力の回復に自信をもった事で気持ちが先走り、優勝を意識しすぎているのか勇み足で自爆しているようにすら思う。まあ、前向きに思いっきり転んでいる分、意外と気持ちは吹っ切れているのが救いだが…。


今回の水位は大減水激流、満水定水位、満水定水位の3日間。
防潮水門が開かない2日目からの苦戦は解っていたが…。


今戦を終えた最終戦を残した状態で総合ランキングは2つ上がったもののシングルにすら及ばない11位。首位を走る小森選手との差はもはや自力では挽回不可能、事実上、今季のAOY争いは小森選手と今回優勝を飾った馬淵、2人の争いとなった。本来は、ここで絶対に5位以内にランクアップを狙っていただけに、この敗戦は本当に自分にとって致命傷となった。
せめてもの救いは年間総合トップ5とのポイント差は9点と最終戦次第で僅かな望みが残った事だ。しかし、その9点内に6人がひしめき合う大混戦。今シーズンは最終戦次第で上位20名の顔ぶれが大幅に変わる可能性も十分にある波乱の茨城県・霞ヶ浦となりそうだ。その霞ヶ浦プリプラは早くも来週から始まる短期決戦。ここで気持ちを折っている暇はない。


Fortune favors the bold. I never give it up & I shall return.


いつもながら、どんなに願おうとも、どんなに努力しようとも、「結果」でしか語れないトーナメントは非情だ。筋書きのないドラマ、シナリオの無い真実、敗者は言い訳すればするほど傍目にも、自分自身も惨めになる世界。
しかし、だからこそ、だから故、今回ウィナーコールで馬淵が発した狂喜の雄叫びが決して、大袈裟なパフォーマンスなどではなく、これこそが正真正銘、本物の「魂の叫」であり、トーナメントに全てを賭ける価値なのだと共感する。
トーナメントでのバスフィッシングは自分にとって普段のどんな入れ喰いより、如何なるビッグバスより魅力的で刺激的な最高の舞台。それはどんなに辛い思いをしても、今も昔も全く色褪せない。


野村ダムでの初優勝を遥かに上回った馬淵の雄叫び。
まさに魂の叫びだったが、観客の一部はあまりの激しさにドン引きしてました・・・。釣りビジョンで見てください。


さて、今回の旧吉野川戦を振り返ってみると、結果は戦前に予想通りの結果となった。
ウィードが過去に全く例がない程「無い」状態となった今回の旧吉野川、戦前の予想は明らかにウィードがないが故の唯一のシェード形成物「カバー撃ち対マンメイド」の戦いと予想された。そしてコレも予想通り、カバーのバスは恐ろしい程のバッティングに次ぐバッティング、カバー狙いの選手は日に日に消耗戦の様相を呈し、逆にプレッシャーが高まる程にカレント(水流)の当たる橋げたや堰、テトラ等の超一級大型マンメイドで1日粘り切るライトリガ―に全体としては軍配が上がった。今回の一番の自分の失策は、マンメイドが正解、それも今切川、本流最下流のテトラがキーだと解っていながら一番苦手な「テトラ、堰でのライトリグ攻め」を敬遠した事が最大の敗因だったと思う。


練習の時からテトラや堰にビッグフィッシュが多い事は解っていた。
強い流れか、天候が荒れさえすれば予定通り5キロ前後のウエイトをチャターで狙えたが・・・。


初日は4800g7位と好スタートを切れたのは想定内の結果だった。この日は減水日に当たり、強烈なカレントが発生、晴天で風が無くても巻き物が効く可能性を感じていた。その予想通り、下流のリップラップで新型の「モグチャスローローラー」を使い2尾のビッグフィッシュを入れる事に成功した。しかし、これは水が全くと言っていいほど動かなくなる2日目、3日目には通用しなくなる事は初めから解っていた。


減水日の初日、流れが発生しリップラップでのモグチャスローローラーが奏功。
予定通りのウエイトでスタートできたのだが・・・。


「モグチャスローローラー」とは実は当初、アラバマ系ドラゴンチャターの開発から偶然生まれたものだった。軽くても浮き上がりを抑えたヘッドバランスに超スローリトリーブで大きな振動を発する大型ブレード、そしてボトムや障害物を這わす事を前提にカバーコンタクト性能をスピナーベイト並みに向上させた次世代チャターである。チャターが最も苦手とするテトラやレイダウン、葦に滅法強い事から、今回の隠し玉として用意していた。


TSRロケからマンメイド、レイダウン殺しとしてビッグフィッシュをキャッチし続けていたモグチャSLR。
ドラゴンチャターを突き詰めるとこの形になった。


そして、2日目、3日目はより攻撃精度を上げたベイトフィネスで最上流部カバーを攻めきる予定でいたが、高精度のベイトフィネスを常識的武器とするようになった今、TOP50ではそのアドバンテージは既に無いも同然となっている。
しかし、既にベイトフィネスは新たな次元に進みつつあり、バッティング対策は十分に出来ていたつもりだった。だが今回、この点において実戦の経験不足による詰めの甘さが2日目の致命的なミスに繋がった。これは準備段階で十分クリアできた自分のミスだった。詳細は後日、公開するが週末のルアニュースでも触れているので、参考にして欲しい。


ベイトフィネスは確実に新たな次元に進化し始めている。
いったいどれほど奥を狙っているのか解るだろうか。この技術を次戦では完全に自分の物にする。


結果的に優勝の馬淵は只一人、最上流での「完璧なカバー攻め」で優勝を勝ち取った。恐らく2日目3日目、私を含め最上流のブッシュ系カバーを攻め切った選手の中で、勝てるバスを獲りきれたのは馬淵一人だろう。


今回、馬淵には釣りビジョンのカメラが3日間密着した。優勝宣言をし、その通りの優勝。
JB29年の歴史を振り返っても有言実行が出来る選手は稀だ。


その馬淵のソフトカバーでの絶対的強さの要因は何にあるのか。それはまさに究極の「攻撃的スピニング」にあると断言できる。ベイトフィネスの世界を完全に凌駕するウルトラライト級タックルで、ベイトフィネスの以上のシューティング精度と複雑なカバー最奥の奥を攻め切る技術は、一朝一夕に真似しようとしても出来るものではない。何度も目撃しているが、絶対にスピニングでは攻略不可能と断念する様なカバーでの、独特のキャスト技術とランディング対術を駆使した一連の釣技はまさに神技に域に達している。
自分はライトリグが苦手(嫌い)だが、馬淵のそれは現代のライトリガ―のそれとは全く異質な「スピアー(槍)」のような鋭さの攻撃力を持った最終兵器のようにすら思える。


このスピニングでのキャストシーンを見て、何かが違う事に気が付けるだろうか。
ここに馬淵の超攻撃的スピニングの真髄が映っている。


馬淵がこの技を使う時、絶対的自信を持っているタックルがKLDデジーノでも最も硬い「S-1」にプレミアプラス4ポンド、そしてセクアン4インチネコに新型モスキートである。


自分自身も最も使用頻度の高い、且つ勝率も高いロッドがDESIGNO S-1。
意外だが、TOP50では強いプロ程、ハードロッドを使っている事が紛れもない真実なのだ。


独特のノーモーションでカバー最奥に打ち込む立ち姿は、不覚にもベイトタックル以上に芸術的に見えてしまう。直に目撃した者は決してそれを「セコイ」とは呼べない、誰もが「スゴイ」と感嘆してしまう究極の攻撃型カバースピニングだ。


今回、馬淵が3日間で使ったルアーの全て。
セクシーアンクル4のライトウォーターメロンペッパーホロは今回の「神ルアー」だったそうだ。


やはり現代のトーナメントではストロングパターンが通用する数少ないフィールド・旧吉野川ですら、時としてストロングな「鉾」を持つこと以上に、絶対的な「盾」ともなるスピニングタックルの重要性を改めて痛感させられた。現実、今回のこの状況で尚、スピニングタックルは3日間で5投もする事はなかった。
時すでに遅そしだが、過信から来る「攻め」に偏り、「受け」を疎かにしていた今年の自分のスタイルを猛反省させられた1戦だった。
遅ればせながら、もう一度攻守のバランスを考えた練習を念頭に、今季残り試合に全身全霊を賭けて挑みたい。


今年、少しだけ大人に成長した馬淵。
社会経験の無い若者が多いTOP50の中で、トーナメントを通じて一般社会に通用する立派に社会人に成長して欲しい。

 

 

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