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激闘2011 CLIMAX ELITE 5
クライマックス エリート5、
メインパターンはマンメイドに絡む2m前後のウィードパッチをベイトフィネスで狙い撃つパターン。
自分にとってデジーノ スティングレーは間違いなく昨年、今年のMVPロッドである。



従来のファン人気投票選出から、TOP50シリーズ年間上位5名のみがクオリファイを許される事実上のポストシーズン最強決定戦となった今季の「クライマックスエリート5」

それは決してシリーズチャンピオンの栄誉を否定するものではなく、今季最強の結果を残した5人が未知の水域で、60名で競うシリーズ戦とは全く違ったバスフィッシング本来の姿で本気ぶつかった場合、誰が最強なのか、その一部始終をTVカメラ同船で公開する特別試合である。クオリファイを許された5名が全員AOY獲得者であり、4名がクラシックウィナー、3名がTOP50チャンピオンであり同時にエリート5優勝者でもあると言うまさに文句なしの最強メンバーである。


全員がJB、 TOP50、ELITEのタイトルホルダー。
4人は平均年齢20歳代の強さのピークにある若者達、しかし当の本人は20歳近い年の差は感じていない。


今回の舞台は混乱を避けるため非公開となったが、TOP50会場としても有名な旧吉野川が選ばれた。しかし、そのエリアは中下流域の通常トーナメントエリアだけではなく、最上流までを含めた全流域戦。およそTOP50戦の倍以上の広大なエリアを僅か5人で競う事になる。上流域は5人ともが取材以外ではほとんど経験のないエリアであり、そのポテンシャルは未知の水域である。

そして今回、既に結果は公式HPで発表されているが、自分は2位に終わった。オープンクラシックを捨てて、このエリート5に賭けていたが、その夢は今回はかなわなかった。
だが、今回のクライマックスエリート5は、自分にとって初回以来の最高に激しく、最高に痺れる試合だった。全身全霊のプライドと技術を賭けて戦い、まさに小細工なしの正面きっての殴り合い、どつき合い、そして青木に見事KOされた気分である。

スカパーTV番組だけに対決色を強めた演出が多いが、今回は過去のエリートとは比べ物にならない位、その色が濃い。
私の放映は1月1日元旦21時。

青木、そして福島、自分は過去27年間、幾多の強豪選手と時代を競い合ってきたが、この2人は自分が今年、本心から認めざる得なくなった本物のバケモノだ。時代背景を考えれば釣技に関しては間違いなく過去の人気選手、有名選手を遥かに超越した最強選手だろう。自分をもってして次元が違うとさえ感じてしまう彼らの力の源はおそらく「サイトフィッシング能力」にある。表面的な技術なら上手い選手もいるが、次元が違うのはそんな単純な技術的な事ではなく、もっと他の部分にある。精神力もその一つだが、そんな曖昧なものでもない。残念ながら今の自分では、それは二度と手に入れる事が出来ない類のものかもしれない。しかし、自分の来期の目標である王座奪還のためには、なんとしてもそれに変わる何かを手に入れなければ勝ち目はないかもしれない。それを痛感させられたエリート5だった。


5艇それぞれにカメラとディレクターが同船し、一人ひとりのドラマを演出していく。
最上流のサイトに賭けた青木、もう一つのベイトフィネスを実践した今江、再びモグチャで押し切った福島、
今回の試合は間違いなく過去最高の内容である。


今回、自分が選んだエリアは旧吉野川本流下流域と中流域。全てTOP50エリア内だった。
掴んでいたパターンはマンメイドに絡む2mまでのウィードパッチ。メインはベイトフィネス(スティングレー66&REVO KTF)でのアベラバ3.5gに今回のための秘密のトレーラーを用意していた。アベラバのカラーは今まで極秘にしてきた赤褐色のベビークロー。バックアップはブラックブレードのモグチャPFT 3/8oz、そしてスーパーブレード1/2oz。全てが機能した場合、最低ウエイトで連日5キロ強の確信はあった。もし試合がTOP50エリア内限定なら、相当な確率で勝つ自信はあった。そして今試合ではその全てが機能した。


初日は本流下流をメインに5815gをウエイイン。
アベラバとモグチャ、スーパーブレードが見事に機能した。


しかし、もし自分が負けるのなら、それは最上流域に2か所存在する、巨大で真っ黒なバス達が悠然と泳ぐ姿が頻繁に目撃できるとあるスポットで、そのバスを仕留められた時だと思っていた。その場合のウエイトの読みは連日6キロ強、TOP50エリアでバスが痩せてくる晩秋と言う状況を考えると、それを超える事は奇跡に近い。そのスポットの見えバスは自分にはどうやっても試合中、5尾を喰わせられる自信はなかった。もし「あの場所のバスを5尾釣られたら負け」、それは試合前も、試合中も、最後までカメラの前で呟いていた言葉である。そしてそれを釣る能力が青木と福島にある事も知っていた。


2日目は本流下流に馬淵と北が狙いをシフトしてきたため、中流域JR鉄橋付近ウィードにシフト。
800g以上20本近くキャッチし5345gまでウエイトを上げたが、総じてバスが痩せていたのが誤算だった。


ただ、減水低水位日に当たる試合当日、只でさえ難易度の高すぎる最上流の見えバスを、カバーも干上がる減水日に狙う事自体、誰もが無謀と考えていただろう。その難関に迷いなく挑戦し、自分が予測した最悪のシナリオを実現させた青木には、本当にバケモノとしか言葉がない、まさに脱帽のKO負けだった。

最後は青木との一騎打ちに。
お互い真横で1尾づつバスを出して行く・・・。
青木が最上流から全く下りて来なかった時点で、自分の負けを悟っていた。

自分はこの試合、一切のミスもなく、完璧に自分のプランを計画通り実行し達成し、それでも勝つ事は出来なかった。初日50cmオーバーを2尾含む5815g/5尾、2日目50cmオーバー1尾を含む5345g/5尾の11キロ越え、TOP50エリア内なら誰もがこの時期、マックスウエイトと認める結果だろう。しかし、青木大介は初日6300g/5尾2日目6400g/5尾を最上流域のサイトフィッシングで仕留め12キロ越え、1キロ以上の差をつけ完勝した。これほど清々しい完敗もなかなかない。これは本音だ。


来季の標的はこの2人(一人寝てますが・・・)。
本心から倒したいと思える強敵が現れた時、トーナメントは最高に楽しい。
来期は今期以上にTOP50が盛り上がる事は間違いないだろう。


こうして自分の2011年は最終戦に続き再び2位で幕を閉じた。そしてこの敗戦と同時に自分の気持ちは既に来期向けてスタートを切った。累々たる敗戦の影にこそ、一抹の勝利が輝きを増す。序破急第一章「復活」、そして今季第二章「捲土重来」は終幕した。来季、最終章「奪還」、このクライマックスエリート5は自分にとって予定通り、最高の敗北となった。

 

 

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