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嵐のTOP50第4戦檜原湖閉幕の巻
再び台風に襲われた第4戦檜原湖。まさに嵐の中のサバイバルゲームとなった。


                                     
大型台風12号の接近に伴い、またしても開催が危ぶまれたTOP50第4戦福島県檜原湖は3日間の日程を無事消化し閉幕した。
今年は何の因果か、ほぼ全試合と言っていい程、試合日程を狙ったかのような大荒れの天候に見舞われている。今回の檜原湖戦も、直撃こそ免れたが、稀に見る広範囲型で進行が極めて遅い大型台風12号の影響で、ほぼ3日間、TOP50以外の試合なら中止になったであろう過去最悪の天候下での試合になった。前回の旧吉野川戦と同様、選手全員が練習から組んだプランを全て白紙撤回、まさに年間ランキングを占う嵐の中のサバイバルゲームとなった。

今年は9人のフルメンバーが合宿した湯の宿・湯流里。
檜原湖はやはり気持ちのいいところだった。

今回の自分の戦術は、ブログでも書いていたように過去稀に見る程ストロングなパターンを掴んでいた。メインエリアは馬の首全域の急深で切り立ったバンクがメインの特殊なパターンだった。この戦略の安定感は抜群で、毎日5尾3キロは余裕、4キロ近いウエイトを1日2回出す日もあったほどだ。正直なところ、試合前々日までは今季最も優勝に近い試合になると確信していた。しかし、このパターンは台風の風波を最も強烈に受けるエリアだったがために壊滅以前に釣り自体が3日間不可能になってしまった。この最強パターンはいずれまた必ず活きる試合があると確信しているため今回は詳細を明かせないが、久々に掴んだスモールの強烈な本能的習性であった事だけは間違いない。

馬の首ではこのサイズが連日5本そろっていた。
今回は優勝に最も近い手ごたえを持っていたが・・・。

そして試合本番。直撃コースからは大きく逸れているにもかかわらず、まさかそれが3日間続くとは思いもしない過去最悪の荒天での試合となった。ただメインパターンは完全に消え去ったが、バックアップでも2500~3000gのハイスコアを絞り出すパターンは用意していた。それは京ヶ森、月島に無数に点在する急深に面した5~6mのハンプトップに乗っかっている大型スモールを、シューティングではなく遠方からのカーブフォール&ステイで仕留める方法だった。ハンプトップへのカーブフォール一撃目の精度が全てで、成功すればほぼ8割の確率で500gを超えるスモールを手にできていた。
使うルアーはアンクルミノー3インチとセクシーアンクル2.5インチの0.4gネコリグ。これにガマカツ326の14番をセットし、特注のプレミアプラス1ポンド(0.3号)で狙い撃つパターンである。


もっとも荒れた馬の首(北)エリアはほとんど壊滅。完全に中層を意識した釣りだったため、爆風が全てを狂わせた。

結局、初日は9時半までに京が森、月島、桜島エリアで上記リグとジャバスティック3インチキャロを使い速攻予定の2700gを超えた。しかし、その後、3キロ越えを狙って白波まみれの馬の首バンクに時間をかけ過ぎ大きく時間をロス。練習のパターンを引きずる結果になったことに悔いが残った。しかし、それ以上に台風効果か沈黙していた早稲沢フラットが大復活、4キロ台2名、3キロ台11名と言う過去最高のハイスコアが大誤算となり14位スタートとなった。

初日は2700g越えで14位。
大荒れだったため10位以内と踏んでいたのだが・・・。
早稲沢の風裏が爆発していた。

2日目、この日は予期せぬトラブルに泣かされる結果になった。朝一番から大荒れの中を最南端の京ヶ森まで激走したため、運転席側のGPSのアンテナが故障、フロントGPSは無事だったのでカンを頼りにエレキを降ろし接近を試みるが爆風で近付けない。仕方なく風裏のエリアで粘り続け、12時頃に約2500gまで入れ替えを繰り返し移動を決意するが、その時初めてエレキが上がらなくなっている事に気が付く。これも荒れた湖面を走った衝撃でズレタエレキのピンがマウントに喰い込んでしまっていた。この修理に大きく時間をロス、この日は琵琶湖や霞レベルではないと、檜原湖の荒天への対策が緩んでいた自分のミスである。

2日目、2500g。例年ならこれでも十分のウエイトだが、この日は更に早稲沢が爆発。19位に後退。GPSの故障が悔やまれる。

予選を終了し、この時点で順位を落とし19位。3日目は台風最接近に伴い中止が囁かれた。
既にこの時点で優勝、表彰台は絶望、予選10位の前山との点差は21点。30人しか出場できない決勝では仮に自分が1位でも前山が21位以内なら順位得点では抜く事が不可能になる。シングルに入賞出来る条件は最低でも決勝一位、それも起死回生の3キロを遥かに超えるビッグウエイトで総重量得点を一気に上げるしかなかった。しかし、決勝は時間が2時間も短く、超大荒れとなる事は間違いなかった。この試合でシングルを逃せば年間ベスト5以内、エリート出場権の可能性もほぼ確実に消滅する。この時点で正直、ほぼ今年1年の決着が付いたかに思えた…。ただ、往生際の悪さは戻っていた。

もっとも荒れた決勝は開催が危ぶまれた。
さすがの早稲沢フラットも決勝の爆風に遂に沈黙した。

決勝。自分が選んだ方法は全てのストレスからの解放だった。ここまで練習の結果を引きずり、かつ、超が付くライトリグ戦が常識の檜原湖で、爆風白波の中、強いストレスを感じながらも超ライトリグに頼ってしまっていた。もはやトップウエイトしか生き残る方法がない以上、自分が一番信頼を置くストレスのない方法で、且つビッグフィッシュの獲れる確率が高い方法を考えた。そして出した結論が、只でさえ根ガカリが頻発する5〜8m水深のロックハンプで、しかも強風下でも気持ち良くキャストできレンジコントロールでき、ビッグフィッシュ率が高いルアーとなれば、もはや選択の余地はアベラバしかなかった。それも爆風を考慮し、最低ウエイトを3.5gとし、4g、7gの3本を主戦力に変えた。ラインは1ポンドから2.5ポンド、3ポンドに上げ、ランディングストレスも軽減させた。トレーラーは偶然サンプルが1色だけ上がってきていたアンクルゴビーの新サイズ2.5インチ。ビッグスモールがいる場所は掴んでいる自信はあった。「無理をしないで気持ち良く」それが背水の陣で出した自分の結論だった。

上二つが実際に使ったアベラバ。
下はアベラバに3インチのアンゴビ。
2.5インチはテールが極めて小さく、シルエットがコンパクトになる。
ロッドは一番硬いデジーノマッハS-1を使った。

そして最悪の天候の中、決勝が始まった。基本戦略は3日間同じエリア。選択したルアーは練習では戦略に入れなかったアベラバだったが、ルアーを変えただけで、操作のイメージは同じ感覚で使うことを心がけた。基本はハンプトップを狙ったスイミング、イメージはマイクロスコーンとでも言うべきか。詳細は全て黒帯リアルファイトで後日公開する。


勇気を持って前に出る攻めをした事が幸いした。
アベラバの並行スイムバランス、圧倒的な岩へのスタックの少なさが窮地を救った。


そして、奇跡の扉は開いた。決勝順位、3272g 1位。遂に最終日、5本中4本をアベラバで仕留めTOPウエイトを叩き出し、一気に総重量ポイントを大きく上げた。


最終日決勝、遂に3200g越えのTOPウエイトをマーク。年間にも望みをつなぐ起死回生の7位に入賞した。


まさに針の穴を通す様な奇跡だった。そして総合成績は最終日周りが大きくウエイトを落としたため、なんと予想を遥かに上回る大捲りの総合7位へジャンプアップした。同時に年間ランキングも8位に上昇、事実上、ほぼ絶望と思われた年間ベスト5入りまで8ポイント差と遂に圏内に捕らえた。


今試合は台風のため高速道路通行止め、空路閉鎖でイマカツを始め多くのメーカーブースが出展出来なかった。
しかし、それでも予想に反し、決勝には多くの東北のバスファンが駆けつけてくれた。それに応えれた意義は大きい。


Fortune favours the bold.(幸運の女神は勇者を助ける)、今回、最後の最後に勇気を持って前に出た事が、起死回生のTOPウエイトを出す結果に結びついたと思う。7位は本来、練習の内容から思えば喜べる順位ではない。しかし、結果として多くの東北ファンの皆さんにバスフィッシングの感動を伝える事が出来、同時に僅かながら直接、トーナメントの賞金を義援金として手渡す事が出来た意義は大きい。

今回は微力だが被災地地元村長に直接、賞金を義援金として手渡す事が出来た。
トーナメントの開催が地元の方に喜んでもらえる事が何より嬉しい。

勝負は下駄をはくまで解らない。2011・TOP50最終章・茨城県北浦水系戦、そこにはとてつもないドラマが待っているかもしれない。

 

 

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