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間違いだらけのベイトフィネス本日発売の巻
知識&ハウツー的濃度はTSRシリーズの中でもNO.1。
かなりオタク度の高い作品になっています。



8月6日発売予定だったTSR・DVD「間違いだらけのベイトフィネス」が、早い所では4日ごろから店頭に並び始めた模様。
今回のDVDは昨年春から今年の初夏までのTSR取材の実録に、詳しいハウツー解説と追加ロケを加えて編集したものである。これで1年に一度のペースで出して来たTSRシリーズも4回目となるが、今回のTSRDVDはシリーズの中でも最もハウツー的、座学的要素の強い内容になっている。

ボートと岸釣りではベイトフィネスの使い方が180度変わってくる。しかし、その威力はどちらも驚異的。
オカッパリの取材が超楽になった。これは反則ですな・・・。

特に昨年、自分の中でほぼ完成域に達した自分流のベイトフィネスは、従来トーナメントやボート専用の様に考えられていたベイトフィネスとは大きく一線を画す形で完成した。
とにかく、自分はバックラッシュが大嫌いな人間で、基本、フルキャストが大好きな人間である。そして繊細な事が苦手…。
それはピッチングにも言えて、自分は緩やかに丁寧に美しいフォームで投げるタイプではない。とにかく何時如何なる体勢からでも、とにかく撃ち抜いて捻じ込む、カッコや体裁に囚われない、まさに入れたモン勝ちの実戦型フォームレス(カタチのない)キャストを身上としている。

岸からこんなカバーにベイトフィネスで撃ちこんでも、100%ランディングできません…。
オカッパリのベイトフィネスの狙い場所とは実は…。

現実に実戦の湖上では風や波、流れや疲れ、船の位置取り等で、「まとも」な体勢でキャストが出来る場合の方が少ないと知るべきである。やり直し撮り直しが効く取材ならまだしも、実際の試合ではキャストにパフォーマンスを入れていく余裕など全くない。おまけに最近のバスは派手にスキッピングでルアーが入ってくると逃げてしまう事の方が多く、可能な限り着水音を消す事を優先したキャストの方がバスの反応が良い。現役プロなら多くが知っている事実だ。カッコ悪くても「簡単に確実に入れる事」、「失敗しない事」、それが全てだ。


狙い通りに50アップが釣れれば、それは最高のストレス発散になる。


かつての(今も多くだが…)ベイトフィネスは、より軽いルアーをベイトリールで低弾道で静かに正確に投げるために、過激でピーキーな超軽量スプール改造競争になっていた。
それはまるで一時期、ロッドの超軽量化技術戦争が業界で大流行した現象に極めて似ているように思えた。しかし、結局過ぎたるは及ばざるがごとしである事を、単なる机上のスペック争いが如何に無意味な事か、ここで学んだアングラーも多かっただろう。
確かにカットテール4の1.8gネコリグが低弾道で投げられると言う驚きの謳い文句の裏側には、ベイトフィネスの現実として「風」「雨」などのコンディションに合わせて微妙な調整を必要とする上、かなり上級者でも常にバックラッシュ多発のトラブルと背中合わせのストレスが溜まる物だった。車で言えば超軽量ボディーに超高回転高レスポンスなエンジンを積んだF-1カーの様なもので、プロドライバーですらスタート即スピンでレース終了…なんて事も多々起きていた。それでも「自分は上級者」とのプライドから無理に乗りこなそうとする姿は、なにか裸の王様の物語を思い出してしまう。

幾つになっても童心に帰れる野池のオカッパリは凄く楽しい。人里離れた見知らぬ野池を前にすると心が躍る。
この新鮮さがたまらなく好きだ。

一番、ベイトフィネスをこれからマスターする上で覚えておいて欲しい事は、ベイトフィネスは万能ではない事だ。ベイトフィネスは決してスピニングを代用できるものではなく「スピニングとベイトの隙間を埋める手法」として理解すべきだ。その隙間を埋める手法にも2つの手法があり、現実的に総重量3g以下のリグや虫ゲームにはパワーフィネス(PE&スピンング)の方が圧倒的に優れている部分が多い。現実に無理にベイトフィネスをスピニングの代用に使おうとして逆に釣果を著しく下げてしまうケースも多々見受けられる。すなわち、ストレスを感じてまで道具を無理に使っては意味がないのだ。ストレスなく釣りを続けるための選択こそが、道具選択最大の原則である事を忘れてはならない。


足場の高い場所で掛けた50アップも、ベイトフィネスなら余裕。ただし、EG製の超ロングネットは必携。
今回、新入社員は研修兼ネット係でした。
(ガードレールは落下防止柵で公道からではありません。)

今回の「間違いだらけのベイトフィネス」では、結局、特にオカッパリでは超軽量ルアーをピッチングで精度良くカバーに入れていくのではなく、超軽量ルアーをストレスなくベイトでフルキャスト出来る事のメリットに重点を置いて解説している。
またマグネット「おたく」チューンでは、自分が知る限り市販のBFC系リールのブレーキはボートの低弾道軽量ピッチングを目的としているため端から効きが弱いケースが多く、その磁力を簡単に強化出来る方法について解説している。要はバックラッシュしにくくする方法である。オタクチューンもTOP50級に度が過ぎればウルトラブランキング超軽量過激脱脂スプールと超強化ブレーキの距離設定等に行きついてしまうが、現実的にはネオジム磁石一個増設や磁石の高さをちょっとワッシャーで変えるだけでブレーキの効きがガラっと変わる事もある。


2011年ICASTのBEST OF SHOWを獲得したABU MGX(日本版LTX)。
先日発売されたが、プロトタイプより格段の向上を見せた。
現在サードパーティーのチューン待ちだが、ノーマルでも十分な性能。
ネオジムの追加がイージーなのも嬉しい。


まあ、そんなオタクな事は知りたい人だけ参考程度に見てくれれば良いが、自分が子供の頃、一番憧れたのはやはりベイトで軽いプラグをビューンっと誰よりも飛ばす事だった(無理でしたが…)。誰もが憧れたABUの2500Cはそんなベイトフィネスの夢の草分け的存在だったのだろう。
ベイトフィネスは何もピッチングだけが全てではない。むしろ、飛ばせてナンボのオカッパリにこそ、今後本当に必要なアイテムかもしれない。


 

 

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