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2010年トーナメントを終えて、今想う事…の巻
永遠のライバル、沢村さんは凄かった。
私が唯一認める日本歴台NO1のポテンシャルと体力をもつプロ中のプロ。
過去、試合ではお互いよく失格宣言?したけど、試合終われば何時もノーサイド。
沢村さんが勝つとマジで燃えてきます。エリートで勝負!!



2010年JBオープンクラシックが閉幕した。JBオープンクラシックとは、今季から装い?も新たに、お祭り的側面を強めたトーナメントで、その名の通り参加資格が従来のカテゴリー上位ランカーのみの大会ではなくなった。新しいオープンクラシックは2010年トップ50ランキング上位5名、2010年各プロカテゴリーの優勝者に加え過去のJBワールドチャンピオン、JBクラシックウィナーはNBC会員を維持さえしていれば引退選手でも復活参戦でき、同時にスポンサー、及び協会推薦選手、TOP50永久シード選手、30名近い開催地特別枠が設けられている。
正直なところ、この参加資格規定には疑問が残る部分も多い。かつてトーナメント全盛時代の上位TOP50&マスターズ上位ランキング、各カテゴリー年間チャンピオン、前年度クラシックウィナーで関東関西各レイクで延べ4日に亘って争われたスーパーバスクラシックには、各選手ともモチベーション的には遥かに強いものがあった。しかし、時代的な背景から協賛スポンサーの減少、会場の収容人員的問題から、近年はずっと河口湖のみで開催されてきた。それに伴いワーム禁止、放流バスの河口湖でのみ開催されるクラシックに関し、その意義とモチベーションを失った選手も多く、事実、私もクラシックの資格は毎年獲得しながらここ7年近くクラシックは辞退してきたいきさつがある。

今回はまた自爆の完敗の24位です。
狙い過ぎても外すし、狙わないと獲れない。
トーナメントはおもろ難しい・・・。
でも今年もエリートトップ当選しました。ありがとうございました!なんと超絶無謀なプラ期間が発表され、今日からまた関東遠征です・・・もうゾンビです。

そう言ったいきさつもあり、昨年の河口湖クラシックを最後に、クラッシックトーナメントは今後もう開催しないことが昨年のクラシックで発表されていたのである。しかし、やはりクラシックの持つ意味は大きく、もう一度新たな試みとしてクラシックが検討された結果、今回のオープンクラシックのスタイルが試される事になった。まず開催地を毎年変える事で地方のトーナメント、バスフィッシングの活性化につなげる事を第一の目的としたファンとの交流、地域貢献型イベント形式が試される事になった。

地域貢献とイベントで参加人数を確保する事によってスポンサーの協賛も大幅に向上し、事実今回、エバーグリーンなどはテムジン20本を抽選会商品として出品してくれるなど、各スポンサーからの商品提供は全盛期を思わせる程の豪華賞品になった。これには参加した観客の方が驚いてしまった程の商品数だった。また、オープンと銘打ったもう一つの狙いに、引退したメジャーOB選手の招聘があった。今回は菊元氏やモリゾー選手他、メディアで活躍する超有名アングラーにも参加資格があり、往年のメジャー選手が現在の「最強若手軍団+現役オジン軍団」と何処まで本気のメジャートーナメントで亘り合えるか、非常に興味がある所だった。実は自分はいちばんここが楽しみだった。ある意味、「真のオールスター」的なトーナメントになる要素を含んではいたのだが、残念ながらやはり諸事情で実現しなかった。
この点に関しては協会のスケジュールに相当な無理があった事も事実で、現にJB上位選手の中には、JBマスター決勝戦、TOP50最終戦、バスプロ選手権、オープンクラシック、エリート5、バサーオールスタークラシックとほぼ7週連続タイトル戦に出場する事になる選手も出てくる可能性があり、このスケジュールでモチベーションを全戦維持する事はまず不可能、それ以上に優勝できなかった場合99%は仕事も出来ず出費だけの大赤字トーナメントになってしまう。確かに釣りをする事が仕事のバスプロ業だが、日本のバスプロの場合、トーナメントに参加するだけで獲得できる年収の上限マックスは今も昔も1000万円を超える事は奇跡なのである。

賞金稼ぎとしてのバスプロの年収はあまりも低い。
しかし、JBで名声を得た後、メーカを起こし成功した現在の40台プロの平均年収は軽く1000万は超えるだろう。
純粋なバスプロとは言えないが、バス釣りの腕一本で「飯を喰う」という夢は今も実現可能だ。

しかし、かつて1900年代前半のバブル期には、ある大物選手に「自分の月収は今江の年収(当時は商社勤務)くらいあるで」と言われた事があるが、それはおそらく事実だと思う。この頃のバス業界の常識では、ヒットルアーの目安としてプラグなら1機種50万個、ワーム50万パックと言われた時代である。今はその十分の一程度がヒットの相場だ。

そして琵琶湖や八郎潟、全国各地の様々な湖でトーナメントが最低数百人単位で華やかに開催されていた1900年代半ばには、「スーパーバスクラシック(東西開催4日間)」では、なんと観客数二万五千人、優勝賞金500万円、副賞として21フィート225馬力のストラトスフルリグ1艇、三菱自動車から大型4駆チャレンジャー3000cc1台、ハワイ旅行1週間と言う時代もあった。この最高の時に幸運にも自分は2度目のクラシックを勝っており、この年の賞金獲得額は初めて1000万円を超えた記憶がある。ただしそれはボートや車を売却しての総合計である。過去26年で賞金で年収が1000万円弱を獲得できたのは数回あるが、実際は投入経費、ボート等の償却費を考えれば年収五百万にも満たないと言うのが現実なのである。しかも当時バブル期のトップカテゴリーでのトップを取ってこのレベルなのが日本の純粋なバスプロの現状だったのである。

この大ブーム時ですら、バスプロの収入は厳しかったにもかかわらず、1998年頃をピークに、マスコミのバス害魚論の沸騰に伴いトーナメントは下火に向かい、2003〜4年の琵琶湖リリ禁、外来生物法制定でバス業界、特にトーナメントは冬の時代になってしまう。2007〜8年には一時トーナメントは消滅するのではないかと思われたほど、来場観客数は激減、バスメディアでの扱いすら最低になった。この最大の原因はリリ禁、外来生物法、内水面漁連などによる圧力で、複雑な地域的問題が絡み「公式」に地域の理解を得て取材広報が出来る開催会場がほとんど限られた数か所になってしまった事が大きい。

10年ぶりにメジャートーナメントに解放された西日本最大のリザーバーサメウラ湖。
行政と町がバックアップしてくれた理想のトーナメント未来図だった。しかし、運営の行き違いから、いまも困難な問題を抱え、折衝は続く・・・。

そして、この苦しい時期の故かアメリカ進出に理想を求めたり、縛りの多い試合を離れ自由なメディアプロとなったプロも多かった。いつも同じレイク、同じ場所での超船団セコ釣り合戦など、スポーツ競技としての魅力を失い窮屈退屈きわまった日本のトーナメントを離れたプロの気持ちも良く解る。ただ、それだけなら良いのだが、中には極めて深刻な日本各地に潜在するフィールド問題を理解せず(理解してもメーカー的に背に腹は代えられないと言うべきか)、地元のルールを無視した強引な取材行って地域問題を起こしたり、現実や開催時の裏舞台を知らずに理想を語り、JB批判を公然とするメディアプロも多くなった。

例えば、地元ルールのスローエリア、スポーン保護区の完全無視や、一般アングラーはレンタルボートオンリーにもかかわらず、特別に大型バスボートを持ち込んでビデオ撮影したり、スロープの駐車問題がナーバスな状況にある湖にロケを強行敢行し取材&スロープ使用禁止となってしまったレイクは数えたらきりがない程ある。
結局、一般アングラーからの強引なルール無視の取材に対するクレームは何故かJB側に頻繁に入り、事後処理はチャプター役員や地域の協力者が事件後、何度も足を運び、修復の努力をする事が多くなった。再度の試合再開に理解を得るのに何年もかかっている事実を知る人は少ない。

今の日本の現状は、一般アングラーよりもむしろ、プロモーションに必死なメーカーの商業主義が、地域を怒らせ公認フィールドを減らしてしまう最も危険で自分勝手な存在なのかもしれない。確かに私も全面的にJBが正しいとも思わないし、自分に火がないとも思ってはいない。ただ、もっとJB組織管理役員・地域チャプター役員たちの縁の下での苦労を解って選手の地域社会に対する意識改革が必要に思う事が最近は多い。特にチャプターの役員達の頑張りには何時も頭が上がらない。彼らは日本のトーナメントのあり方を批判をする前に、まず自ら行動する意思と団結力を持っている。
それ故、今の自分はトーナメントに勝つ事も大切だが、トーナメントが盛大に各地で開かれる事で、閉会後、地域の人々と共に喜べる事もとても嬉しい事になった。県議、市長、村長、商工会、そして地元のおばちゃん、たまには漁業組合長にまで「また来てくださいね」と言われた時、激ホゲしたクラシックでも「ああ、やってきてよかった」と思える瞬間がある。勝つに越した事はないけどね…。

24歳のクソガギ馬淵は今回もお立ち台5位。
この悪ガキが、10年後、日本で全国トーナメントを続け、プロと呼ばれる環境を守ることも自分たちJBで育ったベテラン達の最後の仕事。
言うは易し、行うは難し、とにかく行動してみよう。

今年、バスが市民権を完全に得ているアメリカと違い、COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が開催されている日本の現状は各地で再び深刻な場面を迎えている。日本でバスプロとして末長く活躍して行きたければ、最も現場に接しているバスプロ達が、試合の理想ばかりを主張するのではなく、トーナメントが地域社会に認められるためにも立派な社会人としての知識と行動をこれから身につけなければならないだろう。

話を元に戻そう。今回のオープンクラシック、今もなおバスプロを目指す若者たちに夢を与える形、トーナメントの楽しさを伝える形として初めてオープン制をとった。例えランキングが下位であっても、情熱とやる気の並みはずれた者にはスポンサー枠、会長推薦枠で出場機会を与え、そこで結果を出せばステップアップできる飛び級の様な枠である。この資格選定関しては賛否両論あるが(実は自分が一番反対している所だが…)、トーナメントを復興させる事で業界が活性化する事は間違いない事実であり、その一つの試金石としてのトライアルとして今回のオープンクラシックを「是」とする想いはある。

ただ、今回のクラシックを見て意外に思った事は、クラシックの豪華な賞品目当てに観客が集まった気配が少なかった事でもある。「熱気」と言う意味では昨年の遠賀川エリート5、今年のTOP50の方に分があったようにも感じられた。集客数も交通の利便性と会場収容数を考えれば、むしろTOP50に軍配が上がったのではないだろうか。久しぶりに出場したクラシックをみて感じたのは、観客はもはや豪華賞品目当て、人気選手目当てだけではなく、相当に「玄人」「マニア」な観客がコアになっている事実である。

今回のオープンクラシックを観戦したJB会長も、その事実を感じたようで、来季はまた違ったスタイル、資格での新クラシックが試行錯誤されるかもしれない。まだ確定ではないが、2011年はエリート5を人気投票ではなく、2011年の年間ベスト5のみが出場資格を得る真の王者決定戦「クライマックスシリーズ」とする案も発表された。自分の信条として、「真の実力は年間にあり」と常に言っている以上、このベスト5クライマックス案には無条件に賛成である。

来期は2011年ランキング・トップ5によるプレーオフ・エリートクライマックス5が始まる事がクラシックで会長から発表された。
ベスト5に入ることが最低ノルマである以上、この選出には何の不満もない。大歓迎である。

トーナメント冬の時代を経て、今再びトーナメントは未来に向けて試行錯誤の道を真剣に歩み出した。協会単独開催型から地域と一般社会の人々の協力と理解を得て共同開催する形へ。近々、また新しいビッグなTOP50トーナメント会場が関東圏に増えてくれる可能性も出てきた。地域と密接に結びつきトーナメント開催可能会場を1つでも増やす努力をし、バス釣りに夢を持った若者が10年後も全国組織でジャパンドリームを追いかけ続けていれる事。それが日本のプロアングラーとして27年間、トーナメントが社会に認められるために、如何に地域との結びつきが重要かを見続けてきた私の信念でもあり、その一助となる行動をする事こそ、ここまで自分を育ててくれた日本のトーナメントへの、ブレる事なき恩返しだと思っている。



もはやブログ書くだけで精いっぱい・・・写真は手抜きです。
とにかく、速攻、エリートに出ます。最後の勝負、頑張ってきます!!


 

 

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