HOME < K.IMAE Top Secret

TOP50第3戦檜原湖・臥薪嘗胆、三百六十五歩のマーチの巻
折り返しとなった第3戦檜原湖。
TOP50正規残留枠は年間上位30位まで。
60人制の今年は2人に一人がTOP50落ちする厳しいトーナメントとなっている。


                                      
一日一歩、三日で三歩、三歩進んで二歩下がる。まるで水前寺清子の365歩のマーチを口ずさんでしまうようなトーナメントが続く。
年間ランキングを占う重要な折り返し戦となる第3戦檜原湖、今回も初日、スモールマウスのみでの5尾リミットとしては今大会トップウェイトととなる3186g、単日2位のスコアをマークしながら、またしても天国と地獄を味わう結果となってしまった。
これで3試合連続、ビッグウエイトを出しながら、それを活かし切れないふがいなさと、ファンの期待を毎回裏切ってしまう結果に落胆は隠せない。

今回も初日、スモールマウスだけなら大会トップウエイトをマークしたのだが・・・。
この乱高下の大きさにはハッキリとした理由がある。

その原因は自分でははっきりと解っているつもりだ。言い訳になるので話す気はないが、全試合全日程にDVDカメラが同船する今年は、いずれ試合内容は全て何らかの形で全て公開するだろう。その実録が全てを語ってくれるだろう。敗戦のトーナメントなど興味はないかもしれないが、これはリタイアからの完全復活を目指した自分との闘いの記録でもあり、今の時代だからこそパフォーマンスではない全身全霊を賭けた日本のトーナメントフィッシングの実情と舞台裏を何かの記録に残したい想いもあり始めた企画でもある。

全試合、全日程を追い続けているビデオカメラ。
何処でどうやって釣っているのか、全てをいずれ公開する予定だ。

何も飾らない、剥き出しの本気の釣りの一部始終を見てもらえば、トーナメントが持つ本当の感動と難しさ、微妙なメンタルが釣りに及ぼす大きな影響等が理解できるかもしれない。そう言った意味では映像公開は自虐的ではあるが、むしろ「天国」よりも「地獄」の方の記録にこそ、実は得難い進歩に鍵が隠されているかもしれない。

日本のトーナメント最前線、そのバックステージから試合にかかわる全てを記録に収めている2010年。
シーズンが閉幕した時、そこにどんな筋書きのないドラマが残るのだろう。

今回の試合内容は、やはりプリプラはほとんど参考になる事はない「激変」の毎日だった。1日で20cm以上も伸びるているようにすら思うウィードの驚異的成長の速さに合わせるかのように日に日に散らばるアフターのスモール、日に日に激減するネストのスモールマウスと激増するラージマウスの見えバス等、ターゲットとするバスに迷いが生じた瞬間に、高度な次元の戦略ほどアベレージ以下に落ちると言うサドンデスゲームと言える状況だった。

通称「千鳥ゴビー」ことヨチヨチ・パワーゴビーは、ある条件下で6〜7mのブレイクの水面をデッドスローで引くと、プリプラ時では5尾3キロ越えは連日楽勝だった。

公式練習では実は全く見えていなかった。多くのプロがビッグスモールのディープネストを見つけていると得意げに話す中で、アフター水面系バスを浮かせて釣るレインボーシャッド(改)と3.5インチパワーゴビーノーシンカー水面千鳥でのキッカーに的を絞っていた自分のプランは、何故か全くと言っていい程機能しない状況になっていた。
結果的には全く戦略が見えないが故、最後の手段で初日は腹を据えて徹底したサイトフィッシングに徹し、キロサイズのラージ2本をミスフィッシュするも、スモールのみで5尾3186gを初日2位をマークした。キールアーは自作スモラバ改とアンクルゴビー3インチ。

取材やロケではまず見る事がない張りつめた遊びのないビッグスモールとの真剣ファイト。
そこにパフォーマンスやコマーシャル要素は介在しない。

2日目は初日のセーフティーを守るため手堅くアフターのキーパー場で朝一30分でリミット達成。しかし、ウエイトが5尾1500g程度のため、ここからすぐにサイトに徹したのが裏目に出る。700gのスモールをサイトで仕留めたまでは良かったが、またしても2尾のラージをミスし、完全にリズムが狂う。ハドルフライのキャロにメインチェンジ。

今年は2人に1人が予選落ちする60人制。
最終日まで戦線離脱しない事がまず第一の目標でもある。

初日リードのおかげで予選は余裕で突破したが、決勝をサイトで挑み切る自信がなく、2日目のリミット場も他選手とバッティング、ハドルフライのキャロをメインに思い切ったエリア&展開変更にシフトし、それが成功したかに見えたが…。とにかく、かつてない程、ラージの反応はイージーだったにもかかわらず何故か今回はラージのサイト運がなかった。

今回も地味な順位になってしまったが、それでも粘り強さとしぶとさが確実に戻ってきている。
一度失った勝負勘は自分の想像以上に戻りにくいものだ。

最終第3戦の結果は14位。今回も地味な、ジミーな結果に終わった。しかし、昨年までと違った点があるとすれば、昨年までの2年はあっさりと予選落ちする事が多かったが、今年は確実に自分本来の粘り、しぶとさも戻りつつある。特に今回の決勝は1900g程度と大したウエイトではないが、自分的にはまた一つ失ったモノが戻った感覚があった。それは2日目、あと僅か200gもあれば予選を余裕の3位で通過できながら、またしても北浦戦同様、解っていながらそこを粘り切れなかった。決勝は傍目にはつまらないウエイトだが、絶対にあと200g上げると言うラスト30分の猛烈な集中力が戻った瞬間を確かに感じたからだ。

トーナメント人生第2幕は、我慢、我慢の連続。
しかし、新たな目標を持って一歩でも前進する事が、今の自分にとって全てのモチベーションとなっている。

その結果が意外にも年間総合成績の発表の時に現れる事になった。驚いた事に年間総合は6位に付けていた。これは目標としていた3戦終了後5位以内に僅かに及ばなかったが、十分に残り2戦でベスト5に復帰できる位置である。ベスト3との点差は37点と大きいが、2人に一人が予選落ちする60人制の今年は、1戦でも外せばアッと今に追いつく点差でもある。この2年、我慢に我慢を重ね、3歩進んでは2歩下がるような試合ばかりだったが、今年は後2戦、消化試合ではなく全力で上位5人を喰いに行くつもりで戦えるモチベーションを得た事が何よりも嬉しい。

いよいよラスト2戦は巻き物勝負が出来るホームの関西エリア。
暑ければ暑い程、体調は万全になる。
最低目標は2戦連続お立ち台。

次戦はいよいよストロングパターンでフィネスと同等に戦える灼熱の旧吉野川戦、そして最終戦はホームとも言えるビッグリザーバー早明浦ダム。トーナメントは筋書きのないドラマ、勝負は下駄をはくまで解らない。耐えに耐えた分、全神経をこの2試合に集中し、2戦連続、お立ち台の最上階を全身全霊で狙っていく。



決勝7月4日は46歳の誕生日。試合ではなにも良い事がなかったが・・・
最後に飛行機が離陸寸前のカーブで後輪ブレーキが割れ、飛行停止、欠航すると言うアクシデント。
もしそのまま飛んでいたら・・・。
最高の誕生日のプレゼントをもらったのかもしれません。


 

 

TOP OF THIS PAGE