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TOP50開幕戦イマカツTOPチーム・GROUND ZEROからの再スタートの巻
開幕戦は馬淵&本堂のイマカツTOPチーム、ワンツーフィニッシュ。
2人とも香川出身だが、地元有利と言う条件はTOP50選手クラスになるとまずほとんど、ない。
むしろ地元で勝つ事が一番難しい事が過去の歴史が語る。
仕事を辞め、宣言通り優勝した馬淵は男でした。



GROUND ZERO、イマカツTOPチームにとって愛媛県野村ダムは、2006年秋、この地で開催されたエリート5において、選出されたイマカツを代表する4人全員が相羽選手1人に敗れた歴史的大敗の地でもあった。そして復活を期して2007年元旦に再び取材で野村ダムを訪れた直後、自身の癌が発覚、1年のリタイアを余儀なくされた。野村ダムは私にとって、その後3年間続くまさに苦悩の「爆心地」となった因縁深き場所なのである。


しかし、それだけに節目となる2010年、TOP50開幕戦が野村ダムに決まった時から、このGROUND ZERO「野村ダム」から再スタートを切る事が我々イマカツにとって重要な意味を持つような気がしていた。それだけに私の意気込みは例年以上に強く、2010年元旦からほぼ毎日の3キロの走り込みと、体重を開幕戦に合わせ7キロ落とす等、尋常ならぬ気合で臨んでいた。

イマカツTOPチームVS相羽選手となった2006年エリート5。
結果は相羽選手の優勝。
その差、僅か100gの中に阿部と私が涙を飲んだ。

プリプラの結果はここ数年で最高のものだった。しかも新たに独自のライトリグを使った「ある釣り方」を編み出し、体調面も含め、ほぼ完璧とも言えるプリプラをこなした。時期こそ2月末の早い段階だったが、直前2日の公式練習でもその釣り方はあっさり連日5キロ以上をマークし、異例とも言える前日プラは12時に終えて十分な体調管理に徹したほどだった。

公式プラ時の水温は2月末のプリプラ時とほぼ同じ。
しかも潮回りも同じ。
しかし、公式練習2日目夕方から来襲した季節外れの寒気団が一気にバスのスポーンへの動きを止めてしまったのか・・・。

私の場合、試合結果は良くも悪くも練習結果からくる想定内の成績になることが多く、勝てると言った時はかなりの可能性でお立ち台に上がる事が多い。それゆえ練習結果が悪いと、意外性のある結果は出にくく厳しい結果になる事が多い。ただ、リタイア以前はそれでもライトリグを駆使してでも致命傷を負わず、なんとか踏むとどまる土俵際での強さが自分の持ち味だった。しかし、この2年は踏ん張りが利かず土俵際からあっさりと落ちてしまうほど、何かが変わってしまっていた。
それだけに今回のプリプラ、公式練習での結果は、確実に優勝を狙える自信と確信に近いものがあった。それほどのモノを掴んでいた。

「ある釣り方」の究極の結果が
野村レコードかと思われる58cmのこのバスだった。
実際、4キロ越えはどんな条件でも可能とすら思えたが・・・。

しかし、予選初日、前日の冷たい雨と真冬並みの寒気団の再来で全てが変わった。「変わった。」という言葉は敗者の常套句だが、少々変わっても少しウエイトが落ちるだけと絶対の自信を持っていた新技が全く効かない。
公式練習では最高12度近かった水温は上流部では7度台まで落ちていた。余りにも自信を持っていた新技故に、全てを試さない限り諦めがつかない。真冬を思わせる冷たい爆風は明らかに春から冬の状態に戻った事は明らかなのに、それでも効くはずと攻め手を変える事はなかった。それほど絶対的自信があった釣り方だった。

狙っていたのはカバーにつくバスではなく、野村名物、「オイカワの群れ」についてフラットを動く回遊型極太バス。
急激な冷え込みでオイカワが固まりになって沈み、動かなくなった事が原因と思われる。

結局、12時を過ぎてノーフィッシュ、やむを得ず手にしたハドルフライのDSでディープにシフトするもリズムが全く合わず、300gに満たないバスを1時にようやくキャッチしただけ。残り2時間弱、過去の悪夢が頭をよぎり精神と肉体のバランスが音を立てて崩れて行くのが解った。しかし、何故かまだ諦める気にだけはならなかった。帰着に向かいながら勘を頼りに目に付くカバー全てにダイナゴンTXを手当たり次第に打ち続け、執念とも言える3本を1時間でキャッチ、僅か1700g弱、31位となったが致命傷は持ちこせた。

開幕初日、予想だにしなかった予選落ちの危機。
ラスト1時間のラン&ガンで九死に一生を得た。
60人制の今年は1日でも5点(50位以下)を取ると確実に予選落ちする。

そして予選2日目、この日の朝の気温はマイナス3度、晴天だが最高気温は5度の予報。さらに厳しい展開が予想されたが、今度はエリアや水深、スピードを大幅に変え、またしても同じ釣り方を展開した。やはりその釣り方は全く効かず、ワンバイトさえない。それでも絶対の自信があったが故、この日も悲しい程に金縛りにあってしまった。12時を過ぎた時、絶望感と情けなさに胸が潰されそうになるのを必死にこらえ、午後の日差しで水温が上がる最上流エリアに最後の賭けにでた。最上流部はの水温は10度に上昇していたが、それで公式練習日の12度に遠く及ばない。2時を過ぎてもノーフィッシュ、またしても最後の最後、ハドルフライのDSに手を出した時、600gをようやくキャッチしたがまさに焼け石に水。予選通過は絶望的に思えた。厄年、大殺界を抜けても結局何も変わらないのか…決勝の日に皆に会場で何を話せばいいのか、自分の力の衰えを認めようとし始めた自分がいた。恐らく、昨年までならここでジエンドだっただろう…。

だが、やはり何かが変わっていた。ラスト30分を切った時、事実上残り10分、再びハドルフライDSにバイトが出た。まさに奇跡としか言いようのない1300g、ウエイトは初日を僅かだが上回った。同時に、視界の中にいた阿部信吾もまさにラスト1投げで奇跡のキャッチ、まさに神がかりな一瞬だった。

最後の最後まであきらめなかった事が、決勝へ繋がっていた僅かな糸を手繰り寄せた。
この2日目ラストの1尾が今年の全てを占う1尾かもしれない。

予選通過者の発表が始まった。通過ボーダー30位に近いと思われたのはまさに悪夢のGROUND ZEROを体験したTOPチームの主力4人だった。今年のTOP50は補欠選出を含め60名がエントリーされており、二人に一人が予選落ちとなる。
まず前山、吉田が16位、19位でコールされた。続いて阿部信吾2キロで20位予選通過、私は1900g、23位予選通過。あの1尾がなければ再び悪夢の予選落ちのダークサイドに2人とも引き込まれていた事は間違いなかっただろう。そして29位のコールが終わった後、最後の予選通過者が発表になる。初日33位だった藤木がまだ呼ばれない。藤木が「また31位で落ちるわ…」と呟いた時、即座に私は「絶対、通過してる。」と遮るように何故か反射的に言い切っていた。その直後、「30位、藤木 淳」がコールされた。
トップ50開幕戦野村ダム、イマカツTOPチームは全員が予選を通過した。そしてトップには今月、仕事を辞めて試合に賭けた馬淵LEEがトップ通過、2年ぶりにマスターからTOP50に地力復活した本堂が6位に入った。実にTOP50始まって以来、チーム全員が予選通過したのはこれが初めての出来事なのである。

今年は2人に1人が予選落ちする。
全国各地でのトレイルで決勝を戦えない悔しさ、惨めさは言葉では表せない程。
ボーダーラインの恐怖を開幕から味わうとは思いもしなかった。
バス釣りの女神は簡単には微笑んでくれない。

最終日、30人の決勝が始まった。この日ようやく天候は回復し、4日ぶりに朝から暖かな日差しが降り注いだ。昨日ラストの奇跡が明らかに冬から春への移行を示していた。決勝の日に状況は遂にプリプラ時に近づいた。戦略は変えなかった。そして決勝の日、「その釣り方」が、遂にハマった。朝一から上流勝負でキロフィッシュ2連発、開始2時間でリミットメイク、そして10時に更に上流でキッカーを入れ替えた。この時点でほぼ4キロをマークしていたため、数を釣って入れ替えを繰り返す事も出来たが、現在の順位では重量ポイントで6キロをマークしなければシングルは不可能と考え、誰も上がらない最上流堰の激流へとサイト&スイムベイト勝負に出た。結果的には、この勝負は無謀だったが後悔はしていない。幾ら入れ替えを繰り返しても結果、5キロ以内では上がれる順位は点数上ほぼ決まっていたからだ。

予選では完璧ノーバイトに終わった「ある釣り方」だったが、
プリメスが差し始めた決勝では爆発。
単日5位で総合13位までマクりあげた。

決勝順位は5位。本来ならば、確実に獲れていた「ある釣り方」のパターンが皮肉にも紙一重で予選を通過した決勝の日に動きはじめた。バスが再び差し始めたのだ。
最終結果は開幕戦13位。戦前の期待から見れば決して満足できる結果ではない。しかし、予選で味わった2度の絶望感を、苦手意識の塊になっていたライトリグで克服した「心の強さ」が、13位という順位をそれ以上の価値に押し上げていたように思う。心の強さだけは目標通り「お立ち台」に登れたような気がした。

今年は全ての試合にビデオカメラが同船する。
ガチンコトーナメントの苦しさ、辛さ、感動をリアルに伝えたいと思う。
釣れているときよりも、釣れない時の辛さを克服するメンタル的なものを見せたい。

開幕戦TOP50、13位スタート。例年開幕15位以内が最低条件になるTOP50年間チャンピオン争いのスターティンググリッドに、後方ではあるが残る事が出来た。この地獄から這い上がった13位のモチベーションは私とってとてつもなく大きい事実だ。今年も背中を向けて去りかけた勝利の女神も、私の執念に思わず振り返ってしまったようだ。

ぶっちぎりの開幕戦優勝を飾った馬淵LEE。
昨年総合33位に終わった悔しさから、
今年はフルタイムに転向、見事宣言優勝。
詳しくはBASSER誌の同船記事をご覧ください。
なんとベイトフィネスのジャバシャッド「サークルK釣法」とは?

そして今年に全てを賭ける気迫で臨んだイマカツの最年少スタッフ、馬淵LEEが宣言通りTOP50開幕戦をブッチギリの優勝で飾り、復帰元年となった本堂が準優勝、ポールポジションを獲得するとともにチーム全員が予選通過と、遂に爆心地、GROUND ZERO野村ダムを最高の形でイマカツTOPチーム再スタートの地に変える事が出来た。
そしてそれはエリート5、TOP50招聘と開催に全力で尽力していただいた西予市商工会青年部の皆さん、チャプター愛媛の皆さんに、ようやく恩返しが出来た形となった事が最高に嬉しい。この場を借りて心から御礼申し上げたいと思います。有難うございました。

最終日、トップウエイトの5キロを叩きだした本堂選手(写真はオブザーバー提供)。
メインルアーはダッドカット3.5インチとBW・DVD付録で解説したセクシーアンクル。

こうして、2010年、私の開幕戦は始まった。次の試合は6月頭の北浦水系戦。琵琶湖のエンジン規制最終年によりこれが最後の黒船チャンピオン・マーキュリーレーシングでの引退試合となる。愛艇黒船の最後の公式試合を飾るためにも、今回果たせなかった優勝を目標に全力で頑張って行くつもりだ。

次戦は伝説の黒船ラストラン、
昨年の悔しさをここでも晴らしたい。

詳しい馬淵、そして本堂のブッチギリ・ウィニングパターンについては、後日、詳細に紹介するのでお楽しみに。また「ある釣り方」についてはまだハメるタイミングと条件に課題が残った事と、今後も強力な武器になる可能性があるので暫く非公開です。ご期待ください。



元祖?ベイトフィネスロッドとも言えるスパイラルガイドのクロスファイアー
「クオッドツイスター」が馬淵の主戦力
だった。
これに3.5インチジャバシャッド1/8ozテキサス、プレミアプラス6ポンドでセット。
果たして「サークルK?釣法」とは?

 

 

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