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運命の最高裁判決は…の巻
悪運が強いと言うか、バスフィッシングの神様のお告げなのか、
いつもながらホンマの土俵際には強いイマカツでございます・・・。



疲れた。本当にこの1週間は疲れた。しかし、これほど気持ちが晴れやかになり、来年への並々ならぬ決意と闘志が湧いて来たのは何年振りだろうか。これは検査の性格からすれば、本当に奇蹟的な事かもしれない。

先週受けたPET/CT検査での判定はグレー。画像を自ら目にし、再精密検査を指示された時の気持ちは、初めて癌宣告を受けた時以上に重く苦しいものだった。目の前が真っ暗になり、この2年半、必死で堪え続けてきた気持ちが音を立てて崩れて行くような気すらした。

先週受けた全身PET/CT検査、これは原発癌や再発癌を早期発見する上で、現在、最先端の画像診断とされている。
PET/CTとは癌細胞が通常の健康な細胞に対し、何倍ものブドウ糖を消費する習性を利用した癌早期発見法である。まず微量の放射線を帯びさせた特殊なブドウ糖を静脈注射し、そのブドウ糖が体内をめぐる過程での集積状況(特定個所に集中する状態)をPET(ポジトロン断層撮影)装置で追跡する事で診断する。そして従来のPET単体診断では苦手とする一部臓器や位置特定の精度をCT(コンピューター放射線断層撮影)と同時進行させることで更に高精度にした先進画像診断法である。その画像は素人目にもとても解りやすく、荒っぽく言えば全身のカラースキャン画像の中に「赤く光る部分(集積点)」が1ヵ所でもあれば(膀胱、脳等一部集積が通常の場所は除く)、それが癌である可能性は極めて高いというものだ。その精度は7mm〜1cmレベルの早期癌も発見できる。従って、逆にこの検査で「再検査を要する」と言われた場合、九分九厘、癌再発か原発を覚悟しなければならない。それだけにこの1週間は何も手につかない地獄の1週間だった。正直、無罪放免はまずないと覚悟していた。

最低でもまた手術入院は免れないだろうと腹をくくった今回のPET-CT検査。
また1年棒に振るのかと、エリート敗戦後、沈みに沈んだ10日間だった。

しかし、驚いた事に再検査の結果は「白」、それも「真っ白」!本当に診察室に入る前は心臓が口から出そうなくらい吐き気がしていたが、「全く異常ないですね」と医師から言われた瞬間、エリートの敗戦などあまりの小事に思えてしまうほど、表しようのない喜びに震えが来た。診察室と言う事を忘れ、思わず大声でガッツポーズをする寸前だったほどだった。
運が良いのか悪いのか、その疑わしき画像は「アーチファクト」と呼ばれる、PET/CTの機械的ゴーストの様な映像の悪戯だった。PET/CT検査担当医からしてみれば、最初からアーチファクトの可能性が高いと解っていたかもしれないが、誤診や本当の癌を見落とす場合を考えると専門病院での再検査指示は当然の事だったのだろう。しかし、まるで受験の結果発表の様に再検査指示と数日後の結果発表だけと言うのは、患者にしてみればどちらに転んでも、ただ待つだけの数日間は最悪、最低の気分である。

ここまで2年半、甲状腺付近に直径約3センチ強、ステージIIの転移寸前で癌が発見されて以来、分泌系臓器に発生した癌は何時何処へ飛ぶか否かは運次第と言われ、ずっと見えない不安に苛まれてきた。しかし、この結果を持って再発への恐怖は、一旦、ゼロリセットされたと言ってもいいかもしれない。まだまだ完治と言えるまで後2年、油断は絶対に出来ないが、現時点において一旦、「白紙」状態に戻せた事に爆発的な喜びと解放感を感じずにはいられない。

精密検査には寝た子を起こしてしまうような恐さが付きまとうが、今回通常検診以外に全身のPET/CTを再発検査に組み入れた事は大正解だったと思う。まあ、驚いた事にPET/CTでは癌以外の病巣まで結構発見してしまうようで、副鼻腔内に軽度の炎症がある事(花粉症)や、昔の肺の炎症の跡、そして骨転移ではないかと恐れていた第1、2腰椎も、棘状変成性椎間板症ときっちり診断書に書かれていた事にも驚いた。もっともトドメに医師からはこの冬きっちり治さなければいけない中年ならではの危ない数値的問題も指摘されてしまったが、癌の再発恐怖から逃れられた今、この点に関しては恐ろしく前向きなっている自分がいる。この2年半で、今ほど猛烈な「何かをやりたい気持ち」になった事はないかもしれない。

今年は旧吉野川戦以外、なにも満足できる結果が残せなかった。
しかし、最後の最後に明日を、そして来期への強い意気込みを得た。

健康とは普段誰もが当たり前の様に思っている事かもしれないが、その有難みは一度それを失ってこそ初めて実感できる。厄年から大殺界へとWパンチで続いたこの5年間、椎間板変性の悪化に始まり癌発覚&切除手術入院、続いて脳動脈瘤の疑い発症で脳にパイプを突っ込まれるアンギオ入院検査、四方八方手を尽くしたにもかかわらず2度目の腰椎神経破壊手術、そして周りでは悲しい不幸に何度も直面してきた。もともと厄や殺界、お化けや幽霊など全く信じる人間(バス釣りの神様とUFOは信じてますが…)ではなかったが、さすがにここまで続くとそこに理由を求めたくなってしまう自分がいた。癌になった年が後厄と大殺界が同時に重なる年、大殺界ではその名の通り「停止」のどん底…考えてみればこの2年半はまさに「停止」状態だったように思う。その割にはあがきにあがいた2年半だったが…。
しかし、今年の12月を持って12年に一度の「大殺界」とやらも終了するらしい。山が高ければ谷も深い、そう考えれば谷の最深部となったこの5年は受け入れなければならない試練だったのかもしれない。そして、この奇蹟の検査結果は、新たなるスタートへの序章なのかもしれない。だとすれば、来年は久しぶりに面白い年になる様な予感がする。

検査を無事終えた今、来季は新たな目標を自分の中で据えている。予定通りこの冬は遠征なし、取材もセーブ、昨年見事にしくじった腰椎の治療と肉体改造に専念する。来期はフィッシングショーにも現時点では行かない可能性が高い。3度目の正直、そのつもりで全力を来季の照準を開幕2戦に合わせるつもりだ。とにかく来年は本業に専念したい。その気持ちは日に日に強くなっている。
本来、エリート終了後、その報告と共にここで今後の抱負を書くつもりだったが、このような事態になった事で機を逸し、投票してくれた皆さんには本当に申し訳ないと思っている。エリートに関しては今週号のルアーニュース、そして今月のルアマガで心境に触れているので、機会があれば目を通してみて欲しい。そして、多すぎて書ききれない来季の抱負についてはおいおい、またここで発表させていただきたいと思う。

私の来シーズンは今日開幕した。
多くのファンの期待に応えるためにも、もう一度初心に戻ってトーナメントに専念する。

今回の件で、心配してくれたファンの皆さん、お見舞いメールを会社にくれた皆さん、本当にご心配かけました。このお礼は、必ず今後の活躍で恩返しさせていただきます!

 

 

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