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完全保存版「カレイド09年上期リリースモデル・スペック、用途別超詳細解説」の巻
09年リリース予定のベイトロッドが全て出揃ったカレイドシリーズ。
今回は完全保存版、カレイドの本質とロッド選びのための詳細な解説です。

                                      
昨年秋、世界初のスーパー4軸全身武装強化モデルとしてスーパースタリオン、そしてスーパーコブラがリリースされ、09年今季、5月にブラックレイブン、7月にブラックレーサーのリリースをもってカレイドベーシックモデルの本流、トリニティー66MXコンセプトが完了した。またサイドラインとして、こちらも世界初規格となるスーパー4軸コンポジットグラス「ハスキーワインダー」が6月リリースされ、テムジンシリーズの中でも異色となるショートロッド、「インパラ62MX」の8月リリースをもって、カレイド09年キャスティングモデルのリリースは一旦終了となった。

なんといっても最も使用頻度が高いカレイドのフラッグシップモデル、ヘビー級バーサタイルロッド「スーパースタリオン」。
このロッドは是非使ってみて欲しい。
7フィートオーバー、ヘビーロッドのイメージが変わるはずだ。

今回はこれまでリリースされた各機種の個性と、機能的な特徴を総括して解説してみよう。
まず最初に理解しておきたい事は、ここまでリリースされたカレイドは、基本的にベーシックモデルであり、初級者からエキスパートまで十分に使いこなす事が出来る汎用性の高さを意識して作られたモデルである共通する特徴としてスペックにゆとりを持たせた「タフ&ヘビーデューティー」と言う特徴がある。ガイド一つとってもチタン製Wフットガイドが標準装備であり、軽量化のためのシングルフットを使用していない。また、全機種10ポンドクラスを相手にした実戦テストでも、バット強度を全く問題としない頑強な構造となっている。これらの機種はどの部分をとっても平均的バスロッドのスペックを遥かに凌ぐパワーと、長期に亘るヘビーユースに対するタフさを持たせたのが特徴である。実際、これらのシリーズはロッド自重自体はテムジン従来機種と比べてスペック的にはむしろ重いのだ。しかし、実際に使ってみると「軽い!!」と誰もが口にする所が、このシリーズのバランスの良さを物語っている。無論、グリップエンドバラサーも使ってはいない。

全てはこの素材との出会いから始まった。
スーパクワトロXは今も更に進化し続けている。

以前、テムジンがデビューした時、これらのロッドは琵琶湖を中心としたトーナメント全盛時代で、競技最優先、自分のスタイル最優先で作っていた。高弾性をふんだんに使った電撃やエゴイストはまさにその象徴だった。受け身ではなく、全てを自ら意図して仕掛ける、積極的操作性を重視する私のスタイルには高弾性は絶対になくてはならない素材なのだ。事実、今も私の絶対的好みは高弾性ロングロッドである事は間違いなく、オフェンシブな阿部選手などもガニングシャフト電撃を今も現役で愛用している。ただ、これらのロッドは間違いなく使い手を選ぶ。まず根本的にキャスト時に、僅かなテイクバックで瞬時に高弾性を十分に撓らせる握力と上腕の力がなければ、この手のロッドを使いこなす事は到底、無理なのである。高弾性は全て倍速の世界になる素材なのだ。事実、プロ野球の4番打者や、超一流プロゴルファーが、アマチュアと同じバットやクラブを使っていなのと同じで、平均レベルを超越した結果を要求されるエキスパートは、エキスパートにしか使いこなせない道具を普通に使いこなせるのも事実なのである。
しかし、理想はアマチュアですらエキスパートの領域に近づく事のできる、使い手のレベルをサポートし、平均以上のスコアを出せる道具が望ましいのは当然の理なのだ。この領域を目指したのがクロスファイアーだったのだが、現実製法上最も難易度が高いのもクロスファイアーで、その割にはアマチュアアングラーには実感として解りにくいコア過ぎる部分もあった。今でもクロスファイアーはその当時のロッドコンストラクションのタブーに触れる、ロッド製法の究極、最終目標だったと思っている。そして、実質、クロスファイアーを最後に、もはやロッド開発に限界を感じていたのも事実だ。2008年、衝撃的な素材、「スーパー4軸工法」との出会いまでは…。

カレイドの筋繊維の配置イメージ。
カレイドは縦横には中弾性をメインにするケースが多く、斜め45度には高弾性の筋繊維で緊密に締め上げる。
異弾性繊維の組み合わせと、バットは敢えてアンサンドに近い「素」の状態を保つことで最高の強度とパワーを発揮する。

そして2008年、この新素材「スーパー4軸完全武装強化」によって、全てが一変した。限界に来ていたと思っていたロッドの開発に、再び大きく門が開かれたような衝撃的出来事だった。簡単にいえば、初代テムジンが持つ高弾性のキレと瞬発力、軽量高感度を維持しながら、クロスファイアーの「捻じれモーメントに対する圧倒的な耐久強度(トルク)」を持ち、なおかつ、初代コンバットのボロンを彷彿させる靭性とタフさも兼ね合わせていた。まるで最高の食材を目の前にして、どう料理し、何を作ろうか、余りに多くの可能性に迷いに迷っているようなワクワク感があった。

立体的にカレイドのメインブランンク構造を見ると、図面のようになる。この構造がどういった意味を持つかは次の図面を見て欲しい。

そしてまず、その素材の良さをストレートに生かし、圧倒的なトルク感と軽量感、操作性のキレとタフさを発揮させたのが、カレイドの超基本モデルとなる4軸完全武装スーパースタリオン、そしてスーパーコブラである。極論、この2本で全ての基本的バスフィッシングテクニックは完結する。要は若干の不自由はあっても、ほぼ何でもできると言う事だ。実際に2008年は、ベイトに関してはほとんどこの2本のロッドしか使ってはいない。それでハード、ソフト、ビッグからライトまで、ほぼ全てをカバーできる。

ロッドのブランクは中空構造の故に、曲がる事によって必ず変形が生じる。特に最も曲がり、捻じれを生じるベリー部分〜中央部分の変形は強烈だ。
カレイドスーパー4軸異弾性強化工法は、この強烈な捻じれと変形の抑制に圧倒的なアドバンテージを生む。
ここがカレイド4軸の核心部分でもある。

ならば、これでカレイドは完結か?と言うのは間違いである。逆にこの2本で全て賄えるのは、「弘法筆を選ばず」ではないが、使い手の柔軟な対応能力がある事も事実。そこから次のベーシックステップに入ったロッドが「トリニティー66MXコンセプト」になる。

おなじ感覚、おなじ操作性で瞬時に状況にアジャストするために、一見、同じに見えるが明らかに違う66Mをラインナップした。
それがトリニティー66MXコンセプト。
ロッドを持ちかえた時の感覚のずれを最小限に抑える。

詳しくはEGホームページに解説があるのでそこを参考にしてほしいが、一言で言うと「基本は同じ流派、しかし独自の異なる性格を持つ3兄弟」。もっと解りやすく言うと、北斗の拳で言う所の「ラオウ(B/レイブン)・ケンシロウ(S/コブラ)・トキ(B/レーサー)」って感じだ。

私のトーナメント主戦力となっている「黒烏」。
高弾性の風合いの強い操作系ロッドだ。

ブラックレイブン66MHX高弾性の特性を持ち、軽量ながら高感度高靭性をもち、もっとも競技色が強い、ティップまで張りのあるエキスパート向けの性格を持つ。特にテキサスリグやカバー際の攻防に優れ、見た目以上のパワーも併せ持つ。カバー入れて即バイトが来るようなイージーなカバー攻めではなく、カバー内部での繊細なシェイクやリフト&フォール、中層の枝に引っ掛けてのシェイクからのフッキングに優れ、カバー越えランディングも難なくこなす。また、4〜10mのディープでの感度、操作性も3兄弟中NO.1。積極的に感じる、掛ける、制圧するといった意思的な操作を好む人向け。ハングオフと同時に起こる、瞬間的リアクションバイトを掛ける能力は3兄弟の中でも傑出している。
個人的に多用するルアーは、ジンクス1/2、バクラト100、5〜14gテキサスのダイナゴン3〜3・5インチ、モジャオ、ゴブリン、モグラ1/4〜1/2oz、ハドスイ4.5ノーシンカー、ジャヤバロン140ノーシンカー、ダッドカット&ダイナゴン4ノーシンカー等である。超軽量級にも関わらず、5/0フックを一撃で貫通させる瞬発力はこのロッドのレスポンスの鋭さを物語っている。ちなみに3兄弟で現在、私が最も試合で投入するのがレイブンで、常時2本は積んでいる。プロスタッフの間でも、試合投入の最も多いのがこの機種で、プロアングラーと一般アングラーの環境の違いによって、大きく評価の分かれるロッドだろう。

日本の66Mクラスのお手本のような存在であるスーパーコブラ。誰もが使いやすく、高汎用・高耐久。長く使える一本だ。

スーパーコブラ66MXは名竿コブラの後継機種にあたるが、中弾性をメイン素材とし、特に耐久性能とタフさ、ハード、ソフトに両面に汎用性の高さを持つ、最もバランスのとれたミディアムアクション、レギュラーテーパー。ティップの先端まで完全武装のため、耐久性能、リフティングパワー、タフさは3兄弟随一で、カレイドスーパー4軸の粋を集めた代表作。3兄弟の全ての要素を受け継いでいるため、1本で全てこなしたい人には、このスーパーコブラが最も適している。ただ、エキスパートの視点からみると、全てに優れている「正義の味方」は若干、毒味にかけているとも言える。私がラオウ?レイブンを多用するのは、その毒の強さが好みだからだ。一般的には確かにケンシロウ人気は高いが…。
私がS/コブラを多用するのはオカッパリ取材の時が多く、ロッドの本数を減らしたい時や、未知のフィールドでは重宝する。テムジンコブラも、自分の好みではなく、敢えて一般的に最も使いやすく馴染みやすいテムジンを、番外で一番ラストに制作してみた所、一番人気が出てしまうという皮肉な結果だった。
個人的に多用するルアーは、ジンクス全般、バズベイト、ピラーニャ60・70、IK-50〜180〜250、フィジェット、ジンガ、バズマグ、SGプラス、ワーム系はレイブンとほぼ全て同じルアーをカバーできるが、5/0フック瞬間貫通能力ではレイブンに一歩引けを取るため、標準的な5〜10g程度のテキサスやノーシンカーに向いている。

リべリオンの後継機種と思われがちだが、全く違う。
4:6レギュラーのリべリオンに対し、遥かにパワー、トルクとも上回るブラックレーサー。
むしろインスパイアボロン・スーパーウォーリアーをソフトティップ化した後継機種と言った方が正しい。

ブラックレーサー66MFXは3兄弟の中でもかなり異質な存在になる。一言でいえば一番使い手に優しく、穏やかな性格で、積極的、能動的な前2機種にくらべ、やや受動的な性格を持つ。ただ、いざという時には3兄弟の中で最も優れた柔軟性と技術アシスト能力を持ち、全て竿任せでなんとかなってしまう能力を持っている。トキのように不治の病にはかかっていないが…。その最大の個性は、適度に張りを残した優しく柔軟性に富むソフトティップを持ちながら、ラオウ?とケンシロウにも劣らぬ強靭なバットと意外性に満ちた強靭なベリーとのギャップにある。ある意味、ティップで優しく包み込んで、ベリーでバッサリ切り落とす、一番エグい性格を持つのがブラックレーサーでもある。バスにとっては、本気で牙を剥くと一番厄介な存在かもしれない。66MFXと言う表記は、フレックスファーストアクションの意味で、2.5:7.5の明確な硬度差もつティップセクションが特徴。このティップは繊細なシェイキングアクションやタメの効いたジャーキング、乗せ調子の巻き物などに向いている。ガッツっと一気に貫通させて掛ける人より、ズニュっと針先を捩じり込むようなフッキングを好む人向け。
個人的に多用するルアーは、リップライザー90,110、スレッジ7、IK-50〜180、ジンクス1/4〜3/8oz、ピラーニャ60、ポッパー、ペンシル各種10〜14gトッププラグ、オープンウォーターで、ノリの悪い時や喰い込みの浅い時のハドスイ4.5インチノーシンカー、バクラト100、ヘビーダウンショット、3.5〜9gテキサスリグ バズベイト等である。ブラシガードジグやヘビーカバーの中などでは、ソフトティップはバスが反転する隙を与えやすく、ルアーも乗り越える前にティップが入ってスタックしやすくなるので、レイブンが主役となる。逆にソフトカバーや、ライトカバーでは、意図的に軽くスタックさせて誘えるので、レーサーを多用する。特に霞水系では評価の高いロッドである。

カレイドシリーズはフィーリングだけでなく、実際に全てのスペックで従来の機種を大きく上回る。
特に本流ベーシックラインは、アングラーの技量を確実にアシストし、向上させてくれるはずだ。

最後に総括として、試合やロケ、または購入においてロッドを選ぶ時、柔らかい方か硬い方か迷った場合、私は硬い方を迷わず選ぶ。硬いロッドは自分の腕次第で軽いルアーも投げられるし、ラインのスラック操作次第で柔らかいロッド並みに操る事は可能だ。想定外の魚が来た場合でも、全てはロッド性能の限界内での自分の処理能力次第だ。しかし、柔らかいロッドは重すぎるルアーを使うと限界を超えた更に上の所で操作する事になる上、風や波で糸フケが出過ぎた場合、操作的にも感度的にもそのテンション処理能力の限界を超えてしまう。想定外のサイズが来た時も同じだ。あくまで私の個人的見解だが、慣れと力量でカバー出来る自信があれば硬い方を選ぶ、これが私の選択である。参考までに。

09年ベイトモデルのリリースは完了、
今後はスピニングモデルのリリースに移る。
最初のモデルはアリウープ。
2010年は更に4軸が毒を持って進化する。

この様に、トリニティー66MXシリーズは日本でも最も使用頻度の高い66Mアクションを、ローカル性、そして使い手の性格に合わせて選べるようにセッティングしたロッドである。私自身も、場所やその時の状況に合わせ、3本全てに違うルアーをセットし使う事が多々ある。北斗三兄弟ではないが、ベーシックな66Mだけをとっても、適材適所は存在する。3本揃えるのも良し、自分に合った1本を選ぶのも良し、スーパースタリオンとその1本を組み合わせることで、カレイド・ベーシックラインとして十分に全てをカバーできるように設計したつもりだ。そして、このベーシックラインの次に来る者、2010年は「毒」満載、突き抜けた専門性にこだわったエキスパート専用機種が登場する予定だ。

2010年は私のワガママシリーズ復活。
60ロッド、8軸バリアントを筆頭に、新電撃高弾性ロッドが登場する予定。いよいよ癖の強い前衛的モデルが登場する。

さて、次回はレギュラーシリーズではあるが、上記4機種とは異なる別ラインに位置するハスキーワインダー、そしてインパラについて解説してみたい。

 

 

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