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ハドルストンBros&バクラトスイマー使い分けのキモの巻

バスワールドTSR取材のネタバレ防止のため、
バスの写真はウルトラ前座クンでご勘弁。
主役達は今月末のTSRをお楽しみに!

少し前になるが先日、恒例のTSRロケで四国に出向いた。このリザーバー取材でほぼ自分の中でハッキリ整理出来た事がある。それはハドルストン(ハドルスイマー系を含む)、ジャバロン、バクラトスイマーといった、似て非なるスイムベイトの状況にマッチした使い分け方と、タイミングを計ったローテーションによるバスを飽きさせない重要性だ。この使い分け方が理解できたとき、「チョロいバックウォーター攻め」だけに頼りがちなスイムベイトの弱点を相当なレベルまでバージョンアップすることが出来る。
最初に一番ハッキリと言えることは、ハドルストン系とバクラトスイマー系スイムベイトはまさに対極にある存在で、その効果的な場所や状況も実に対照的だということ。言い換えれば、場所と時期、状況によっては片方がほとんど効かないのに対し、片方が爆発的に効く状況が確かにあるということだ。

今回、ハドルストンBrosとの対決で、
前半の猛攻をひっくり返す、とてつもない逆転満塁ホームランをかっ飛ばしたバクラトスイマー
やはり甲乙付けがたい、似て非なる存在。

ハドルストン系の動きとバクラトスイマー系の動きは、あらゆる面で対極に存在する。解りやすく例えるなら、ハドルストンをミノー、バクラトスイマーをスピナーベイト、またはクランクと思えば理解しやすいかもしれない。リアルなミノーがクリアウォーターで強く、カバーやボトムに依存しなくても中層のバスを釣ることに長けており、同時にベイトフィッシュが表層に目視出来る場合、特に効果的なことはよく知られた事実だ。一方、スピナーベイトやクランクがステイン、マッディーで圧倒的に強く、ミノーに比べ何かに「接触」させることによって更に高い効果を生むこともよく知られた事実。またミノーが比較的「ここ」と言ったハメやすい状況、場所が明確なのに対し、スピナーベイトは「バスの居場所や水深が解り難い」時にこそその本領を発揮してくれる。ハドルストンに代表される「微(弱)波動系」は、ナチュラルに喰わせる、喰うべきものとして襲わせるプレデター的本能を視覚面から刺激する能力に長けている。一方で、バクラトスイマーは視覚以上に側線に強く訴える「強波動系」で、縄張りに進入した「イントルーダー(侵略者)」への威嚇や反射行動からバイトへ繋げる能力に長けている。

ジンクリアなバックウォーターで爆発的破壊力を見せつけ取材をあっという間に終わらせたハドルストン8インチTSRIIIチューンモデル。
そのビッグフィッシュ能力は究極のスイムベイトの名にふさわしい。

実際の使用法でも、ハドルストン系は極ゆっくりと水表面に近い中層を目で確認しながら引いてくるケースがほとんどで、バイトもカバーに関係なくいきなり中層からチェイスが始まり、中層で食い上げてくる。一方、バクラトスイマーは視覚に頼らず、まるでスピナーベイトのスローローリングかクランクの棒引きで岬やワンド奥、カバー際、リップラップなどを広く早く攻めるのと非常に似た感覚がある。スナッグレスなので何かに接触し、そこを抜けた瞬間にバイトが多発するのもよく似ているため、ストーロクでスイミングさせるのも非常に効果が高い。ここが普通のスイムベイトと決定的に違う点でもある。
敢えて言い切ってしまうと、超クリア、見えバス、見えベイトが多く、視覚と併用して狙うならハドルストン系。水深、ボトムマテリアル無視、「接触なし」で狙うならなら文句なしにこれもハドルストン系に分がある。

湖の性格によっては敵なしの強さをもつハドルストン。
使いこなし方、チューン法はTSRIIIDVDで見てください。

一方、ステイン、濁りがあればバクラトスイマー、特にハードなボトムや立ち木等、硬いものに「接触」させてリアクションを狙うなら絶対バクラトスイマーが強い。
この辺を理解して使い分けると、タイプの違うスイムベイトを効果的に使い分けることによって、誰でも解る「チョロ級バックウオーター」だけでなく、ノーマークのエリアからもビッグフィッシュを選んで釣ることが可能になる。
ちなみにジャバロンノーシンカーやネイルで使う場合はハドルストン系に近い能力があるが、ジャバテキは極めてバクラトスイマー系で、独特の汎用性がある。特にノーシンカーやネイルリグで流れに乗せて転がしていく通称「ジャバコロ」は現在でも非常に高い効果を維持しているテクニックだ。

ついつい最新のものに目が行きがちだが、
釣れるルアーは何時までも釣れる。
逆にハドルストン系ブームの今のほうが案外ジャバロンが効くかもしれない。

正直言って、今年の春は私の中でも「ハドルストンブーム」があって、昨年あれほど釣りまくったバクラトスイマーすら、もはや陳腐な過去のものに思えるほどハドルテールの凄まじい威力にハマリまくってしまっていた。このマイブームとも言える「ハドルテール絶対神話」と「業界流行」による群集心理の怖い所は、状況を無視してまで新製品こそが最新最高でスレていないと思い込み、従来タイプのルアーを使う以前にコンフィデンスを失うことにある。ハドルテールもシャッドテールも、本来どちらも状況に即した究極の形なのだ。ビジネス的な「流行」と言う洗脳がその選択を一時的に同一方向へ導くだけで、本来はどちらがベストと言うわけではない。一番重要なことは目の前にある状況に対し、どちらを選択し、コンフィデンスを均等に持てるかと言うアングラーの「状況アジャスト力」にかかっているのだ。

次々と増殖中のハドルストンBros.のハドルスイマーシリーズ。写真上は8月末リリース予定の4.5インチ、下はテスト中の2インチ。

この7月の各釣行を経て、私が改めて実感したことはシャッドテール系シンキングスイムベイト、「バクラトスイマー」の汎用力の高さと、やはりハドルストン系にも全く劣らない爆発的な破壊力は健在だった事だ。特に今回のTSRロケではその使い分けが露骨に結果に反映するまさにスイムベイト祭りに相応しい、近年稀に見る美しいパターンだった。舞台となった湖の状況は7月の晴天続きで大減水中、中~下流部の最高水温はなんと34度に達するまさに地獄の高濃度バスクリン状態…、そして最上流バックウォーター部のみが24度前後で超ジンクリア、流れもあり一見してオイカワやカワムツらしき小魚が「水面近くに大量に視認できる」夏特有の状況だった。

今回のフィールドは古くからチャプターも開催されている四国の
老舗リザーバー。
気難しいレイクで、余り人気のない準メジャーレイク。
しかし、いい意味で事前予想を裏切ってくれた。

常識的にこの状況ではアオコまみれの中流以下は切り捨て、上流バックウォータ付近を集中的に攻めるのがセオリーになる。案の定、一番チョロい誰でも解るバックウォーターはさすがにスレてはいたものの、ハドルストン8インチTSRIII仕様のアシストシステムが功を奏し爆発、54cmを筆頭に複数の50アップで一気に取材に決着を付けた。その後もハドルストン系スイムベイトであるイマカツのハドルスイマーシリーズとハドルストン6インチTSRIIIチューンモデルを新たに編み出した「マル秘テク」でローテーションさせ、バスを飽きさせずに更に48〜51cmアップを次々と追加し完全にロケを終了。またしても「ハドル神話」降臨、バクラトスイマーやジャバロンも均等に試してみたが、そのエリアでは圧倒的にハドルストン系がぶっちぎりに強く、正直悲しいくらいに差がついてしまった。しかし、バックウォーターでハドルストン…何か誰でも出来るチョロさに納得がいかず、敢えて後半は違うパターンを求めてバスクリンの中〜下流部に挑戦してみた。

唯一ジンクリアだった最上流では最強無敵だったハドルストン&ハドルスイマー4.5インチ。
これまたネタバレ防止の前座バス君。
今回も最優秀主演男優賞はハドルストンBrosに決定かと思われたが・・・。

そこはまさに無酸素状態の死臭漂う状態で、ある意味ノーマークもノーマークなのだが、涼しげな最上流のジンクリアパラダイスとは別世界の地獄絵図だった。上流の勢いでハドルストンを中心に同系列で回していくが、やはり全く生命感すら感じない…。チェイスどころかピックアップまでルアーが見えない激アオコ濁り…まさに以前ここで書いた「タタミ一畳の奇跡」を体験した野池と同じような状況だった。こりゃどう考えてもスイムベイトでは釣れんわな…と思い上流部ではハドルストンシリーズに完敗してしまったバクラトスイマーを半ば「フットボールジグ」のように流し投げを始めた。そしてその直後、思いもかけないドラマは待っていた。今度はハドルストンが手も足も出ない中、前半の結果すらひっくり返す、バクラトスイマーの強烈な新パターンに遭遇してしまうことになる。

同じスポットでもハドルストンが効かず、バクラトも喰わず、でもジャバロンノーシンカーは喰うこともある。
流派、波動の違うスイムベイトをローテーションさせることは重要だ。

ちなみにネタバレするのでまだ公開できないが、「たたみ一畳の奇跡」に共通するキーワードは湧き水とも言う「伏流水」である。一見、枯れてしまったように見える沢にも、どこかにコイツが噴出する見えない超ハニースポットがたまにあるのだ。私にとって、それを探す鍵がバクラトスイマーなのである。更にネタバレ覚悟で超キモを書くと、バクラトをリザーバーでも野池でも、川でもドブでも何処でもいいので「硬い」をキーワードとする場所で、「フットボールジグと思って使ってみる」事だ。何が起こるかはやってのお楽しみ。更にヤバい言い方をすると以前ここで書いたダイナゴンの、「フッタゴン」的な根ガカリを根気よくホグすような丁寧なロッドワークがキモだった。

ロッドを常に立て、「縦に捌くスイムベイトテク」が今回のバクラト最大のキモになった。詳細は今月末のTSRで見てください!

先週に続いて今回のロケでも爆発したバクラトスイマーとハドルストン兄弟の最強使い分けのヒントは以上の通りだが、バクラトスイマーは間もなくバクラストンが加わり更に使い分けの幅が広がる。バクラストンはバクラトスイマー同様、そのスナッグレス性能、すり抜け性能から接触技も大得意とする。是非、独自の使い分け方を編み出してみて欲しい。


シリーズが充実してきたバクラトスイマー、
そしてハドルスイマーシリーズ。
ビッグレイクから野池までくまなくカバーするシリーズだ。バクラストンに続き、
ハドルスイマー4.5、3インチが近日リリースになる予定。

今回から新艇「クレストライナー16ft・60PS」を
実戦投入。リザーバーでは超快適。
なんと総重量750kg未満で牽引免許不要。


 

 

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