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TOP50旧吉野川戦を終えての巻
早朝、トレーラーでボートを下ろす車列。
見慣れたはずなのに物凄く新鮮に思えた風景だった。



昨日、私にとって実に3シーズンぶりとなる開幕戦3日間の全日程を終えた。結果から言うと予選を29位ギリギリで通過、決勝はノーフィッシュで終わり30位という最終順位で試合を終えた。しかし、自分にとってこの3日間の旧吉野川戦を完遂したことは、結果以上に非常に大きな意味があった。

試合前のルール解説。
そう言えば本部役員でもありました・・・。

約1年間のブランクは現実、想像以上だった。昨年5月の手術後、僅か1ヶ月半でTOP50戦線復帰を強行したが、自分の身体が以前の自分の身体ではないショッキングな感覚に、逆に事の重大さに気づかされる結果になった。その後、残り3試合をキャンセルする決意をし、出来る範囲での取材やロケを中心にプロ活動を続けることになった。トーナメントを離れ、そこで感じたことは、それはそれで物凄く楽しく、充実感もあり、プロモーション効果もトーナメントに出ているときと遜色ないもではないかと思えるものだった。いや、むしろ自分の好きな釣りを、好きな時に好きな所でやれるのだから、仕事とはいえこれほど楽しく、自己満足に浸れる「幸せな仕事」が辛いはずがない。当時の体力でも2日程度あれば50cm前後を何本か釣れば終われる取材やロケ中心の生活は、厳しいどころかむしろ新鮮で楽しくて仕方がないものだった。奇しくもトーナメント人気の愁落が囁かれる昨今、年齢的にもこのままメディアパフォーマーか経営者の道を選んだほうが賢く、楽な事は明らかだった。過去のキャリアで箔をつけ、トーナメントは契約選手に任せイメージ優先でいたほうが楽だ。

トーナメントプロとフィッシングパフォーマーは全く違った存在。しかし、日本でパフォーマーではなくプロトーナメンターとして成功するためには、双方にハイレベルな結果を要求される。

しかし、結局、自分はトーナメント復帰への道を迷いなく選んでいた。その理由は自分の原点が、メディアパフォーマーではなく、本当に上手い奴は誰なのかが知りたくて、同時に自分の客観的な立ち位置を知りたくてトーナメントプロの道を選んだからだ。自分は出場させてもらえる限り、足腰立たなくなるまで日本で育ったバスフィッシングトーナメントの最前線に触れていたいし、貢献し続けたい。

初日はISワスプで2本。
ワスプでキーパーを揃え、バクラトBrs・で上流のキッカー狙いだったが・・・。

復帰は自分で想像していた以上に厳しいものだった。22年間、当たり前のようにやっていた夜明けから日没までの連続1週間以上のプリプラクティス。そしてオフリミット中には取材とロケをこなし、公式練習を含む5日間に及ぶ全神経を集中させた本気の試合。それでもそれ以上に本気で練習をやり込む若い連中が傍にはゴロゴロと居て、気圧されるような気迫と、ホントの事は誰も言わない微妙な心理的駆け引きを毎日のように感じ続ける。仲良く見える仲間同士ですら弱肉強食の掟が見え隠れする。

初日スタート前、不思議と緊張はなかった。
むしろホッとした気持ちが本音だったかもしれない。

しかし、現実は5日間釣りを続けられる体調を維持できるかどうかのほうが一番の問題だった。強がってみても今回だけは結果以前に3日間戦いたい、予選を通過したい気持ちが精一杯だった。3日間試合本戦を完遂して初めて最初の第一関門、「メンタルの復帰」を完遂できると感じていたからだ。

トーナメント人生第2幕のスタートラインにやっと立つことが出来た。
目標の予選通過はまさにいっぱいいっぱいで達成・・・。

プライベートとは桁違いの制約と重圧を受けながらも結果を要求されるトーナメントは、メンタルを支える肉体に大きく支配される紛れもないスポーツである事実を今回、痛いほど実感させられた。1年休んで改めてTOP50のレベルは尋常ではないスピードで進化している。自分がこれほど必死に挑戦して3日間合計で3キロにも満たない結果なのに、そこには13キロを釣ってくるプロが現実にいるのだ。もし取材なら2日目に釣った予選通過となる僅か一尾(1550g、約50cm)で取材は成功、紙面は十分にオッケーだっただろう。しかし本当に強くて上手い奴はそのときその場に最低でも29人もいたのだ。これが真実でありトーナメントの冷酷な現実なのだ。この明確な現実の中では敗者は何を言っても始まらない。ストロトングパターンがどうのこうの、セコい釣りがどうの等、言えば言うほど言い訳以外の何モノでもなく、結局、現実に向き合わず逃げている自分が惨めになる。

ヨシヒロと地元ボギーは予選落ちでオークション係に・・・
ただのおっさんとトリプルボギーになってしまいました・・・。

ワンシーズン休んでいる間に、一部若手は技術的には確実に本物のプロアングラーに成長し始めていた。江口のここ一番の勝負強さは本物だし、青木のセンスはスバ抜けている。市村もヤサ男に見えるがその情熱と技術は前出の2人に劣らない。そしてJB創立以来、いまも現役最年長組みで見事な活躍を続ける河辺さんは偉大な存在であり、沢村さん共々23年来、永遠のライバルだ。

さらし者ではありません。
今期TOP50昇格した新人紹介です。
左から3人目がイマカツの新人、今回5位入賞の昨年のアングラーオブザイヤー、ブルース・馬淵・リーです(ブルース・リーに似てるから・・・)。

今回、華やかな完全復活劇を期待していてくれたファンの皆さんにはがっかりさせて申し訳なかった気持ちでいっぱいである。しかし、自分にとってこの開幕戦、3日間を完遂できた事は、再びスタートを切ることができたとても大きな価値がある一戦だった。恥ずかしい話、予選を通過した時点で既に少し満足していたかもしれない。

これで、私にとって日本のトーナメント人生第2幕の挑戦が今始まった。今の私の立ち位置は紛れもなく挑戦者だ。マンネリと刺激への慣れから、モチベーションの低下に苦しんでいたここ数年がなんて贅沢だったのだろうかと思えるほど気持ちは新鮮になった。離れて分かったトーナメントの厳しさ、楽しさ、そして悔しさ。その頂点への「完全復活」まで、少し時間は掛かりそうだが、再び今から全力で挑戦していきたい。

応援しに来てくれたファンの皆さん、ありがとうございました。
完全復活まで焦らずじっくりとエンジンを温めていきます!!

 

 

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