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K.imae Today's Tips 2173『2018年TOP50最終戦詳細、そしてご報告』

(本ブログの内容は本日発売の週刊ルアーニュース連載記事を転載、
後日加筆しています。執筆日の違いから最終報告内容は
ルアーニュースクラブと一部異なりますのでご了承下さい。)


2018年TOP50最終戦霞ヶ浦が閉幕した。
年間ランキング15位で迎えた最終戦は、エリート5出場権を賭けた最後の勝負。

優勝に近い線を出せば十分にオーバーテイクできる位置でもあるが、
同時に5点を取ってしまうとシード権が廃止された今年、
残留圏内である30位(*後述あり)以下に落ちる可能性も
周りの選手次第で十分にありえる実に際どい位置だった。

結果はTOP5入りを狙っていたにもかかわらず、
トーナメントの現実、自然の怖さを思い知らされる
トーナメント人生最悪の結果となってしまった。
予選初日ノーフィッシュ、2日目1尾500gで45位予選落ち。
よもやの5点をまたしても昨年同様、最終戦で喰らってしまった。


最初に断っておくが、自分は永久シード権を昨年表彰され獲得したが故に
無謀な勝負を挑んだわけでは決してない。ただ、何が何でも
TOP5に追いつくために、初日から自分が最善と考えた最強の
ハイリスクハイリターンなパターンで試合に臨んだ。

今季、振り返ればほぼ全試合、予選初日に致命的なロースコアに終わったが、
それは昨年、最終戦を年間2位で迎えながらAOYどころか、
エリート5すら獲得できなかった悔しさと焦りからか、
今季は無意識のうちに初日からハイリターンを狙い過ぎていたのかもしれない。


プリプラクティスで掴んでいたパターンは全て霞ヶ浦本湖沖の
浚渫でのパターンで、高確率で2キロフィッシュを交え1日3本は
計算できる共通条件を持ったスポットを全域において徹底的に探し出していた。

1m前後のテーブル状フラットにV字に切れ込んだ浚渫の、
Vの収束エンドにいい方向で風が当たると、そこに大型バスが
陣取る構図で、フラットの上をIXI・T-Rで、
Vの収束をミッキー&ヘビキャロで釣るパターンだった。

浚渫のバスは面積あたりの魚影は極端に薄いが
サイズは確実に大きく1200~1300g平均。
3本でも4キロ近い計算になる。2キロが入れば4600g、
十分に優勝に手が届く強烈なパターンだった。

ただ、これはまさしく第4戦桧原湖プリプラと同じ現象で、
今回の最終戦もまたオフリミット期間中に上陸した大型台風で
大増水するというと言う、桧原湖戦と同じ経緯をたどる事になる。



















そして自分はまたしても同じ轍を踏む事になった。
最終戦は何が何でも5位以内に入らなければと言う強引な気持ちと焦りが、
もはや引き返す時間の限界を超えてまで浚渫パターンを追い続け
初日ノーフィッシュ。しかし、稀に見るにローウェイト戦となったため、
2日目も後に引く事はできなかった。ひとまず朝イチに
シャローでノーフィッシュ逃れの1本をキャッチし、
その後、再び玉砕覚悟でビッグウェイトを狙い大荒れとなった浚渫に挑んだ。

しかし守りを捨てた結果、想定しうる最悪の結末を招く事になってしまった。


この最終戦予選落ち5点によって、自分の最終成績は29位(*後述)、
遂に34年間守り続けてきた実力でのTOP50残留権利を手にする事が出来ず、
次年度TOP50クオリファイ資格を失う事になった。

先にも書いたが、自分は昨年、新に廃止新設された永久シード権を
授与されている。しかし、この2戦続けての予選落ち、
ファンの期待に応えられない不甲斐なさに、今の自分に
永久シード権を行使する「プロとしての適切な選手」であるのか、
その自問自答にこの1週間、苦しみ続けてきた。
先日、ふと目にしたスポーツ記事「Number WEB」に、今の自分の
気持ちを代弁するかのような記事があったので、それを少し引用しておきたい。


「日本男子プロツアーには「永久シード」という制度がある。
国内で25勝以上した者には、永久的にツアーへの出場権が認められる制度だ。
ジャンボ尾崎や直道らを含む6人の有資格者がいる。
だからルール上は問題ない。ただ、アメリカプロツアーの場合は
20勝以上で永久シード権を獲得できるが、「プロとして
適切な成績を維持できること」という条件がつく。
勝つ可能性が極めて低い選手が出場することは、
貴重な出場枠の空費になりかねないからだ。
したがって、'13年4月以降予選突破がなく、棄権を
頻繁に繰り返すジャンボ尾崎に対して、様々な批判が常にある。」
https://number.bunshun.jp/articles/-/830663?page=1















引用記事同様に自分のインスタグラム、そしてブログインフォには
試合翌日から数多くの励ましと激励のコメントが寄せられた。
その多くは来季もTOP50参戦を後押しする暖かい応援のコメントだった。

しかし、同時にTOP50が国内トーナメント最強のガチの
「リアルファイト」であるならば、それを標榜してきた自分が
「ルールはルール」として降格、もしくは引退しなければ、
「TOP50はプロレス興行」「商売優先」等の辛辣な批判も多数寄せられた。

これらの批判もまさに正論である。だからこそ安易な気持ちで
シード権の初行使を決断できず残留に対する解答を保留とした。

しかし、プロスポーツの世界で永久シードという本来ありえない権利を、
公式に表彰され与えられたその意味と価値は単なる
タイトル獲得にも勝る重さと責任があるとも自分は受け止めている。

ただ、それは同時に裏を返せば「自分で引き際を見定める責任」が
あるということでもある。最後は誰が何を言われようとも
「TOP50プロとして適切なのか」は自分自身が納得して決めるべきことであり、
その責任の重さは誰よりも解っているつもりだ。


スポーツ選手の引退は「いいイメージのまま辞める」か
「ボロボロになるまで続けるか」の二者択一で語られることがある。

自分の選択にはいいイメージのままやめると言う選択は既にないし、
ボロボロに惨めになってまで続ける選択も、そのどちらでもない。

レジェンドと呼ばれてプロモーションや会社経営に徹するならば
とっくに辞めていたほうが良かっただろう。


では来季55歳を迎える自分は心身ともに限界ボロボロなのかと言えば、
体調的には若い頃長年悩まされ続けた椎間板ヘルニア克服や、
ガン闘病時に比べれば今のほうが体調は遥かにマシだと
言ってもいいかもしれない。体調や体力的衰えは
そこまで感じていないのが実際のところなのだ。

まして、今年はTOP50エントリーが直前で49人のエントリーに
なったため、残留枠が試合前に参加人数の60%となり、
試合の朝、29位までと発表された(*ルールブックに公式表記はない)。

しかも皮肉にもイマカツチーム本堂プロと同点重量差負けの30位。
正直、気持ちは「納得のいく引き際」には程遠いものだった。


ただ、自分には34年間、30位以内の正選手として実力で
生き残ったプライドは誰よりも強い。むしろパッとしない成績の自分が
TOP50を続けている最後の拠り所でもあったと言えるだろう。

それだけに昨年、あらたに永久シード権を付与された翌年に、
そのシード権を安易に行使し現役続行をする事に、
ブログを全く書く気になれないほど抵抗を感じていた。


この1週間、SNSに投稿された様々な意見や批判も全て見た上で、
自分の本心と正直に向き合い、自分がこれから何をどうしたいのかを考えていた。

逆に初めてこういった状況下に置かれ、素直に自分の
一番したいことが何なのかが明確に見えてきた。それは
やはり自分はまだトーナメントを、3度目のTOP50チャンピオン獲得を
あっさり諦めたくはないという率直な気持ちである。
そのために、奇しくも昨年、再び正式に表彰され
与えられた永久シードの意味と価値があるのだと。












その後押しをしてくれたのが、LFKDやSNSを通じたファンの
暖かく、熱い数多くの応援激励メッセージであり、
どんな状況になったとしてもずっと応援してくれる本当のファンの
気持ちに応える事が、プロとして今は一番大切なのではないかと。


そして最後に背中を押してくれたのは、偶然にもこのタイミングに
TV生放送で目にした元イマカツ虎バスチーム主将・矢野耀大氏の
阪神タイガース監督就任会見だった。最下位からのチャレンジ、
「超積極的」「あきらめない」「ファンを喜ばせること」、
散々悩んだけど「逃げてやらない後悔より、やってみるべき」、
そう語った氏の言葉は、心の隅に引っ掛かっていた自分の迷いを断ち切ってくれた。

そして最後に氏から「闘争心」と言う言葉を聞いたとき、
今の自分に一番欠けていたものが何かがはっきりと解った気がした。














自分は来季もTOP50参戦を続行する決意を本日、ここに表明し
来季に向けて今日から再始動、試合環境の再構築をします。

そして自分が参戦する事で来季のTOP50トーナメントが
多くのファンに注目され、喜んでもらえる結果になる様、
今一度、全身全霊を賭けて頑張る所存です。

それが今も昔も、誰にも真似できない自分だけの
「プロアングラー今江克隆としての生き方」でもあると思います。

この7日間、ブログを更新せず、この1年間、応援してきてくれたファンの皆さんに
なんら最終戦の報告も無く、御心配をおかけし申し訳ありませんでした。
そして叱咤激励のメール、ご連絡、ありがとうございました。






 

 

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