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リベンジ、再びバカラックへ!メキシコ・ビックバス事情・その1

この風景、この雰囲気、この瞬間、そのドキドキ感は
今も昔も全く色褪せない。


大自然の中でのびのびと、気持ちよくバスと遊べる。
メキシコは一度は行く価値のある
バスフィッシングの聖地だ。

バスと言う魚、その中でもデカバスと呼ばれるビッグバスは何故にこれほどまでにアングラーを虜にする魅力があるのだろうか。そのビッグバスの魅力に一度取り付かれてしまうと数千キロにも及ぶ旅程も言葉の壁さえも、なんら大きな障害にも思えてこないから不思議だ。そして、これほどまでに大の大人を悔しがらせ、子供のようにムキにさせてくれる魚は私にとってバスしかいない。
さて今回はこのバカラックに関する情報を正確にお届けしよう。

3ヶ月で2回のバカラック。
それだけこの湖には魅力がある。

1、「バカラックの歴史と今」

レイクバカラック、正式名称レイク「バクラト」は10数年ほど前、世界的な10ポンドオーバーラッシュに沸き、世界中のメディアに注目され日本のビデオやTVなどでも盛んに放映された超人気レイクだった。しかしその後、オーバーフィッシングやビッグバスの持ち帰り、同時に起きた3年にもわたる45mもの大渇水によって、事実上、完全に一度潰れた湖である。3つあったガイドロッジもいったんは閉鎖され、経営者も変わった。無論、メディアからも完全にその姿を消し、話題にすら上らないまさに過去の湖となった。バスとテラピア漁で生活する人口350人のバクラト村にとってこの出来事は死活問題へと発展したことは言うまでもない。それはデカバスが釣れるが故に後先を考えず、多くの釣り人が何の規制やバスを保護するルールもなくただ欲するがままに、乱獲を続けた必然の結果であり、メディアに晒された湖が辿るお決まりの破滅パターンでもあった。

スペイン軍によって滅ぼされたアステカ文明のように、また
バカラックも釣り人軍の乱獲によってその繁栄を失った。
しかし、アメリカやメキシコが日本と違うことは、バスと言う魚の高いレジャー価値を国や州、そして地元の村人が認識し、湖を復活させるために最善の努力をしてくれたことだ。レイクバカラックは明らかにレイクエルサルトに遅れをとったものの、2003年ごろからテラピアの養殖、そしてアメリカからのフロリダバスの移入を積極的に管理し、持ち帰りの制限、キャッチ&リリースの徹底などのルールを決め、ロッジも新たに州の資本協力の下に2つ新設された。そして2007年、ようやく復活の兆しが見え始めた湖である。確かに過去のような10ポンドラッシュ(約63〜65cm4500g相当)、を期待する人にはメキシコまでの道のりはもはや無意味なほど遠いかもしれない。現時点では間違いなく10ポンド以上、特に5キロ以上となれば、その確率はスポーニングという特殊条件下では琵琶湖や池原の方が遥かに高いといってもいいと断言できる。バカラックを釣り込んで初めて琵琶湖と池原が如何に奇跡的釣れっぷりを維持しているのか、如何に世界的に見ても素晴らしい湖なのかが痛いほど解るはずだ。それだけにスポーン期の琵琶湖や池原のベッドフィッシングの行き過ぎた現状には将来への危機感が募る。琵琶湖や池原は今の日本の現状では一度潰れてしまうと、バカラックのような復活はまず無理だろう。

ビッグバスの聖地と呼ばれたバカラック、
一度壊滅し現在復活途上にある。
この9ポンドのバスも来年には10ポンドになってるだろう。


2.「バカラックを訪ねた動機とキッカケ」

そして今回、再び私をバカラックへと向かわせた動機はイージーに60cmオーバーや、10ポンドが釣れるからなどと言うお気楽なものではない。それだけならリリ禁条例で気分は良くないが1時間でいける琵琶湖に毎日通ったほうが早くて手堅い。決してかつての桃源郷とは程遠いバカラックの難しさは、実際に行けばはっきりと嫌と言うほど思い知らされると思う。過去の偉大すぎる実績とバカラックと言う名の伝説の重さは、取材やロケの費用対効果、行く限りはその難しさとは裏腹に決められた日程で最低10ポンドを絶対に仕留めなければ成功とはいえない現実を考えると、これほどリスクの大きい場所はない。まあたとえるなら琵琶湖で60cmを3日間で絶対釣りなさい、同じく池原で60cmを絶対釣りなさい、ただしベッドフィッシング禁止みたいなものだ。どこかで誰かが釣っているが、それをカメラの前で確実にしとめることはまさに博打だ。

正攻法で60アップが複数釣れる。
しかしその上を行く湖が私は琵琶湖だと思う。
それほど琵琶湖は素晴らしい湖なのだ。
実際、ルアマガ100号記念取材はそのリスクの高さ、責任の重さに最後まで受けるか否かギリギリまで悩んだ。しかし、復活が囁かれる(アメリカからの情報)かつて憧れたバカッラックと言う湖に挑戦してみたい気持ちは抑えられなかった。今の自分の力量なら今のバカラックでも10ポンド程度なら何とかなるのでは?そんな自負もあった。そして結果的に1回目のバカラックは正直、全く想像もしてなかった真冬並みの大陸性コールドフロントに覆われ、ただバスを釣ることだけが精一杯で、何も出来ないうちに消化不良で終わってしまった。私にとっては負け取材に他ならない完敗だった。しかしその悔しさが忘れていた琵琶湖での熱いビッグゲームを思い出させてしまった。

半袖で大丈夫と聞いていた前回は、寝巻きを着込んで
レイン&ジャンパー装備・・・
2ヵ月後の今回は灼熱真夏の恐るべき大陸性気候を経験することに。


3、「バカラックへの旅程の現実」

バカラックへの旅程は日本からだと少ないもののJALのメキシコシティー直行便が成田から就航している。ただし途中バンクーバー経由となるため時間的にはバンクーバーまでが約12時間、バンクーバーで2時間半の空港内待機がある。そこからメキシコシティーへ約5時間のフライトだ。この便のメリットはまず荷物が無事メキシコまでは着く可能性が高いこと。ロサンゼルス乗り継ぎもあるが、この場合、機材やロッド紛失破損は日常茶飯事、特に国内国際線問わずメキシコの飛行機は要注意。2回ともスーツケースの脚が見事にもげた…。

カナダでの暇な2時間を除けば、荷物が一番安全な
JALメキシコシティーが便利。
JALの場合、メキシコシティーからエアロメヒコに上手く乗り継げれば2時間半のフライトでクリアカンに同日着けるが、現実、これはかなり厳しく、基本的にはメキシコシティーで1泊し、観光でもしてから翌日ロスモチスかクリアカンへと飛ぶのが体力的にも時間的にも現実的。1回目はメキシコシティー泊ロスモチス、2回目はクリアカンまで一気に行ってここで1泊した。

歴史の街、メキシコシティー。
治安もそんなに悪くないようだが、
怖そうに見えるのは気のせいか・・・
ホテルはメキシコで上級クラスが日本の普通のレベル。冷蔵庫や暖房はないのが基本。メキシコシティーは高度2200mにある世界最高の高地首都で体調が悪いと息苦しく、頭痛が酷くなるので注意。空気は光化学スモッグが酷く太陽が黄色に見えるほど…。基本的に全員怖そうに見えて最初はビビルが、意外とフレンドリー。ただし英語はホテル以外期待薄…。食事はどこでもさほど苦にならないが生水は厳禁。

丸一日、メキシコシティーを歩いてみた。
スペインの雰囲気があちこちに残る。
埃と混沌、そんな印象を受ける。
ロスモチス、クリアカン空港からはロッジの送迎バンが迎えに来てくれており、ここから湖までどちらの空港からも約3〜3時間半のすし詰めロングドライブ。1回目は大雨でスーツケースも車内だったため正直言って難民状態。ほとんど信号はないが、村ごとに車止めのハンプが道路上にあり、知らずに突っ込むと車ごとぶっ飛ぶほど危険。ドライバーには英語は90%通じない。連絡は無線だがビビるほど甲高い声で叫びまくるので慣れるまでは怖い…。チップを弾むとその後のロッジでの対応がやたらいいので、ここがポイント。

バクラトの村、まるで映画の世界。
ここでは10数年前から時間が止まっているようだ。
バカラックにはコンビニはあるにはあるが、想像を絶するものなので無いといったほうが正確。ドライバーに頼んでスーパーで買出ししておくことが絶対。特に3月以降は真夏(日中34〜36度激アツ)になるので、ゲータレードは必需品。さもないと甘いコーラ地獄です。
ロスモチス、クリアカンまでは携帯電話はフォーマグローバルで普通に日本と話せた。しかしインターネット、メールは何故か運次第って感じで、なぜか通じるときと通じないときの差が激しい。1回目ロスモチスは可能だったが2回目は同じロスモチスでもメール不能だった。結局、ソフトバンクが最後まで頑張ったが、FOMAもろとも携帯はバカラックの手前20kmほどから完全死亡した。アマゾン同様、現地での電話はイリジウム衛星携帯が必要。

バクラト村のコンビニ。
日本と同じく若い女の子がたむろ中。
人口350人のテラピア漁の村。


4、「バカラックのロッジガイド情報詳細」

そしてバカラックの20キロほど手前からは10数年前と変わらぬ無舗装のダート道になる。とくにかく埃が酷いラフロードだ。

ダートトライアルのような道が延々続く。
もはや携帯は通じない。
バカラックのロッジは以前は3軒あったのだが、現在営業しているのは「バカラックロッジ」と「ビッグバスロッジ」の2軒のみ。バカラックロッジは3人乗りアルミの16フィート、エレキは付いているがリアでガイドがハンドコントロールするリモートタイプが多いようだ。ビッグバスロッジは和船の3人乗り20フィートクラスが主流でエレキはリアのハンド。これもガイドが操船する。両ロッジともガイド用の魚探は標準装備。両ロッジとも20艇前後所有している。

夜明けからせかされるようにスタート。
とにかく夜が明けるまでが勝負だと・・・
でもカメラ写らんやんけ・・・。
ロッジは私たちは「ビッグバスロッジ」に宿泊したのだが、お世辞にもホテルのように快適とはいえないが、まあ釣り宿としてはそれなりだろう。壁は薄く、シャワーはタイミングが悪いとすぐ水になるうえ、基本的にバカラックの水を濾過しただけなので、口に含んだり、うがい、歯磨きも絶対厳禁。今回も約1名、2日間完全ダウンの大当たりしている。注意点はアメリカ人の隣室やダイニング近くの部屋を取るとヤバイ。結構リピーターが多く、大勢で夜更けまで部屋の前のいすに腰掛け、酒飲んでベラベラしゃべるので五月蝿くて災難。ビッグバスロッジは基本ツインだが、予約した部屋数が取れていないことが多く、2回ともツイン部屋に3人押し込められたり、トレーラーハウス(ほとんど物置)に泊められそうになるので、断固抗議したほうがいい。どうやらリピーターのアメリカ人が勝手に延長するケースが多いようだ。

部屋は結構綺麗だが、蚊とサソリとイモリとイグアナと蜘蛛とブヨとカエルが同居していることも。
1月は寒さで凍えた。冷房はあるが暖房はない。
バカラックロッジに関しては不明だが、ガイドの話によると2段ベッドの1部屋4人のようで、費用的、インフラ的にはビッグバスロッジのほうが高いようで、アメリカ人の弁護士や医者といった裕福層の利用率が高いようだ。確かにバスボートが数台置いてあり、交渉次第でバスボートのレンタルも可能だ。アメリカからトレーラを牽引してくるグループも多い。しかし、アメリカ人も以外に紳士的な人が多く、騒がれても最後には一緒に日米バス談義で自分も騒いでいた。とてもフレンドリーで親しみやすい紳士なアメリカ人が2回とも多かった。両ロッジとも2003年後半に新築されたらしく、昔のロッジとは経営もなにもかもが違う。ビッグバスロッジは悪代官風スーパーマリオみたいな「フェリペ氏」がマネージャー。英語はただ一人流暢でかなりミーハー?であることが後に発覚…。ルアマガ記事を見たとたん対応激変…かなりリピーターアメリカ人贔屓なので、日本人をもっと大事に扱えと強く念を押しときました。日本人は新築以来まだ来た事が無いか、本人は覚えてもいなさそうでした…。

スーパーマリオにそっくりのフェリペ氏。
2度目の訪問でかなりアミーゴになりました。


5、「注意点と用心すべき点」

注意点としては3月後半になるともはや湖は完全なアフター中心であることから、10ポンドは厳しいとの事で、10ポンドを狙うベストシーズンはプリの11〜12月、次にアフターから体力回復する5〜6月らしいが、今回もそうだったが3月末は完全な真夏、3〜6月は実はナイトフィッシングで狙うのがアメリカ人の常識のようだ。事実今回もアメリカ人は夜明け前までと、日没後から9時ごろまでしか釣りをしていないグループがほとんどだった。5月は既に雨季に入っており、日中は40度を越える暑さで事実上、朝10時までと夕方4時からしかとても釣りはできないという。スポーニングは2月下旬から始まるが1月でも水温は20度あるため、日本の春のように一気に産卵行動に入ることはないようだ。基本的にはラージが多く後半のフロリダも交え、だらだらと5月まで続くらしい。しかし、ネストのバスは執拗なテラピア攻撃を受けるためか大きくても痩せており、ネストで10ポンドを釣ることは難しいという。今回も65cmクラスをサイトで仕留めたが、計測すると7ポンド(3キロ強)しかなかった。暑くなると水も濁るので日本のようなベッドフィッシングは主流ではないようである。

今回は完全なアフター、むしろポストに近かった。
ジャバハードも大活躍だったが、
60cm近くてもウエイトは3キロ後半・・・
ロッジでの基本パッケージは日本からなら飛行機の都合で3〜5日間の釣りが標準だが、毎朝、5時に超ハイテンションのフロアマネージャー兄弟がコーヒーもって起こしに来る。5時半に朝食が出て、6時には出船。かなり慌しいがアメリカ人は既に出払っていることのほうが多い。そして3月以降は12時頃から猛暑になるためよほどタフでない限り、12時〜14時半まではロッジに戻ってシェスタがルール。ぶっ続けでやるには特別料金になるがほとんど無理…。
初回はロッジに着いたのが深夜12時、用意でほとんど寝れず翌日6時出船、5日間釣りをし、最終日にはフラフラでパッキングを済ませ、翌朝は2時起床、3時半車で出発しロスモチス朝10時発の飛行機でメキシコシティーに戻った。正直言ってこの日程は無謀。2回目は少し長くなったが到着、帰国に1日余裕を取った。これによって片道2日半と長い道のりにはなったが、この方が体はずいぶんラクである。

こんなのがそこらじゅうにいるので、
これを喰わされていると思うと・・・キモい。
あと、食事はまずまずイケるがカエルとバス料理は2回目はパス。Tボーンステーキとリブアイステーキはお勧めです。また、前回は寒かったため虫はほとんど皆無だったのだが、2回目はまさに灼熱の真夏、恐るべき小型のブヨの集中砲火でワタナベはどう見ても帰国の検疫で引っかかりそうな顔面刺されまくり…。部屋にはサソリが2匹も登場!赤色は猛毒ではないらしいが蜂並みの痛さだそうで…白いサソリは超危険!ってどうしたらええのって感じ…。他には陸イグアナも登場した。蚊取り線香とキンカン(これはアマゾンでも抜群に効いた)、ディート12%以上の虫除け(日本ではムヒ虫除け虫ペールαのみ)は絶対に必需品です。

いよいよ次回はバカラックのバスフィッシングの現状を詳しく紹介しましょう!ちなみに50アップ1日20本釣りは楽々可能です。55cmまでなら世界一釣れる湖かもしれない…。しかし、ここが微妙…。詳しい釣況、アクセス方法はまた次回解説。


私のベッドに侵入しようとして瞬殺されたサソリ君。
マジですかホンマ・・・。

軒先にはイグアナ君が毎日登場。ロッジの周りには普通に馬、ヤギ、ロバ、牛がうじゃうじゃ歩いていたりします。

 

 

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