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ああ懐かしの金の斧の巻

木箱を開けると、懐かしい香りと無骨なリールが・・・
まさに私の思い出のタイムカプセルだ。

今週のルアニュースを読んでくれた方は知っていると思うが、待望の「金の斧」ことCARDINAL33CDLが手元に届いた。
何でいまさらカーディナルって思うかもしれないが、私にとってカーディナル33は、中学生の頃、憧れて憧れて、遂には手にできなかった幻のリールなのである。その理由は、どうしてもやはりアンバサダーが欲しくて、カーディナルまで買えるお年玉は貰えなかったからである。その後、アウトスプールのカーディナルは大学生になってから入手できたのだが、33は既に入手は困難極まりないものになっており、時代も国産機種へと移っていた。今でもトーナメント黎明期、田辺さんや小山さんがカーディナル33を駆使して、琵琶湖でスピニングの猛威を見せ付けられた思い出がある。あの頃はベイト以上にスピニングでビッグバスを仕留める関東流がメッチャカッコよく思えた時代だったのだ。カーディナル=プロって感じで、痺れたものである。

このロゴがどれだけカッコよく見えたことか・・・
当時はスピニングでチューブジグヘッドを操るのが最高に
カッコよかった。
そんな中、今年のABUのカタログで、ハッと私の目に入ったのがCARDINAL33CDLの復刻版シリーズ。しかも特別に金と銀のスプールが用意されていた。もう、これを見た瞬間、まさに「金の斧」「銀の斧」って感じで久しぶりに物欲が異様に沸いてきてしまった。
速攻でピュアに電話したのだが、なんとかなりの少量生産らしく、在庫なしの店頭出荷終了状態…。頼むから何とかして…(と言うか何とかしろ!!って感じ。)と頼み込んで待つこと2週間、やっと金の斧が1台だけ手元に届いた。
何年ぶりだろうか、本当にワクワクしながら箱を開けると、そこにはCDLならではの木箱が…。もうこれだけで感動モノ。恐る恐るスウェーデンの森林の香りがする(様な…)無骨な木箱を開けると、そこには燦然と輝くゴールドのスプールを携えた33CDLが…。

これが金の斧たる所以。
07年復刻として金と銀のスプールが特注で少量作られた。
銀の斧はまだ手に入らない・・・。
そして手にとって回してみた瞬間、あの懐かしのカーディナルならでは軽やかで優しい、古時計のようなラチェット音が響く…。そして滑らかで重厚なABUのウォームギアならではの暖かい巻きフィーリング。中学生時代、自転車で通った豊中のインターパレス大阪のショーウィンドウに並ぶカーディナルを見つめていた懐かしい店内の匂いが蘇る気がした。

現代のスピニングリールに対するアンチテーゼなのか、
CARDINAL33CDLは今もその輝きを失ってはいない。
似合わないなと思いつつ、テムジンエアリアルに付け、リールを回して再び驚いた。まるで本当のアコースティックギターのように、あの独特のラチェット音が美しく共振し鳴り響いた。その予想もしなかった共鳴の凄さに改めて現代のバスロッドの高感度さ、時代の進化を感じてしまった。昔の竿ではこんなサウンドを聴いた記憶はない。当時の竿は確か3000円程度のシェイクスピアだった。竿にまでかけるお金はなかった。

確かにテムジンにはCDLは似合わなかった。もし許されるなら、個人的趣味だけで、このリールがカッコよく決まるロッドを作ってみたくなった。で、それで何を釣ろうか?柄にもなくちょっとスウェーデンのトラウトなんかに興味がわいた。まあ無理ですが…。

所有感を満足させることとは、
その歴史と伝説あってこそのもの。
このCDLは私にとってその資格が十分にある。
7〜9万円近くする超高級最新機能満載の高額スピニングが当たり前のように店頭に並ぶ昨今、昔は高嶺の花だったCARDINAL33CDLも49000円。だが、30年も前から存在するこの機能美、リアドラグ、ワンタッチ着脱スプール、ウォームギアにワイドスプールは全てのリールの歴史に計り知れない影響を与え続けてきた。
その歴史と伝統を考えれば、決して最新最高とはいえなくとも、今もなおその存在感を失わない。CARDINAL、そしてAMBASSADEURとは、今も変わらぬ私のバスフィッシングの原点であり、決して失いたくない童心のタイムカプセルでもあるのだ。

ABU GARCIA FOR LIFE

 

 

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