HOME < K.IMAE Top Secret

K.imae Today's Tips 1536『ギルソニ開発ストーリー。(ルアーニュースD/C)』

マグナム・ギルソニックは、イマカツで昨年から企画開発の大きな部分
を担う対琵琶湖専用ルアー開発の第一弾となるビッグプラグである。

もともと琵琶湖は20年に亘って今の自分のスタイルの基盤と実績を最も積んだ湖だが、
条例制定により自分が琵琶湖で釣りをしなくなったため、
テストには自分が選んだ信頼できるスタッフの協力と十分な時間、
そして一般アングラーにもテストに参加してもらっての結果判断まで、
開発ジャッジを慎重に進めてきた。

対琵琶湖専用ルアーとしてイマカツで開発継続中のブツには、
かなりマニアックなものも控えているが、ギルソニックのコンセプトは、
まず第一に「琵琶湖初心者でも簡単に使いこなせて、
年中釣れるイージービッグベイト」と言うのが開発コンセプトである。

広大なウィードレイクである琵琶湖では、誰もが最初は
「何処にバスがいるのか?」が簡単には解らない。
特に南湖は昔から、魚探を使うより「目探」と言われるほど、
目でウィードの濃淡を見極めて、ルアーでバスをリアルタイムで
探す方法がとても重要なコンセプトになる。

毎日のように変化するウィードは、リザーバーや霞ヶ浦のように
ピンスポットやカバーの固定化がないため、日に日に変化していく
「変化を釣る能力」が最も要求される。固定化されたスポットで、
フィネスの極み、繊細な釣技で喰わせる釣りではなく、
毎日刻々と変化する生きたカバーをいち早く把握し、
正確に魚の位置を特定できるかの「ハンティング能力」が実力差になってくる。

それゆえに琵琶湖は今でも広範囲から魚の反応を素早く得られる
「サーチベイト」の必要性は他のウィードのない湖に比べ、遥かに重要になってくるのである。













そんな琵琶湖、特に南湖の性格から、春のステルス、
夏のモグチャモンスター、秋のクランク、冬のソルソニと言ったサーチが早く、
しかもビッグフィッシュも同時に狙えるルアーは非常に重宝する。

しかし、この手のルアーは少なからず巻き手の力量によって、
ゴミにもなれば宝になるルアーでもある。
昔、自分が琵琶湖に通い始めた頃、何も解らなくなって
最後にヤケクソで投げたらボーズを回避できたのが「バイブレーション」だった。
当時からバイブレーションは琵琶湖の定番だったが、
今ではもはや普通の大きさでは琵琶湖のバスには物足りなくなったもの事実だろう。

30数年前、まだ学生で初めて自分がJBオープントーナメントに参戦し、
準優勝した時に使ったルアーが「バンゴB(DBO6)」と言う6インチのビッグクランクだった。
そして次のJBプロ戦で菊元プロが同じバンゴB(DBO6)で優勝し、
第一次ビッグクランクブームに火がついた。

既に当時から自分はビッグクランクや、コーデルのビッグバイブレーション
「マグナム・スポット」を実戦投入していたが、当時はデカ過ぎ、
重過ぎて専用タックルも無く、3m以浅のウィードエリアでは
使い難過ぎて結局は一般化しなかった思い出がある。















また、同時に当時、ラリーニクソンの来日と共に大ブレイクした
サスペンドロングビルの影響もあって、密かにTDバイブレーションの
サスペンドモデルを同様の使い方やジャークを織り交ぜて、
シークレットメソッドとしていた時期もあった。

しかし、このTDのサスペンドモデル、余りに軽くて琵琶湖では
バイブレーションの最大の武器である飛距離がまったく出せなかった。
風の強い日ほど、バイブレーションの強みが生きるのに、
結局、「風に弱いバイブレーション」と言う決定的弱点があり、
陽の目を見る事はないシークレットになった。

それでもその時のサスペンドバイブのシークレットは、
イマカツ設立後に「ピラーニャSSS(スーパースローシンキング)」
と言うカタチで復刻したが、これもごく限られた条件でのシークレットでしかなかった。
今思えばルアーを巨大化させればこの難題はいとも簡単に解決できるのだが、
当時はむしろルアーは軽薄短小の一途をたどったフィネス全盛の時代で、
プラグの巨大化などまだ誰も考えもしなかった時代だったのだ。













そして2016年、アメリカで大流行したマグナムクランクベイトが
琵琶湖でも大流行した時、遂にこの時代がやってきたと確信した。
マグナムルアーが平然と受け入れられる今の時代ならば、
今こそ長年のシークレットだったサスペンド・バイブレーションの
唯一の弱点だった飛距離を巨大化で解決し、琵琶湖で試せる機会だと。

そして、そのテスト担当に選んだのが、2017年春、秋田の
八郎潟から琵琶湖へ居を移した元TOP50プロである藪田ガイドだった。
八郎育ちで巻物が大好きな彼のスタイルも重視したが、
「琵琶湖ド素人」、これが彼をメインテスターに選んだ最大の理由だった。

琵琶湖初心者、ウィード素人の藪田ゆえ、最もバスを探すための
簡単な漁具(サーチベイト)としてこのマグナム・ギルソニックの能力を、
シーズンを問わずに必要とすると予想できたからだ。
ベースのハードベイト理解能力はもともと極めて高いプロだけに、逆に先入観の
ない琵琶湖でのマグナムバイブレーションテスターとしては文句なしの条件だった。











その大抜擢は春のガイド開始から少々、驚かされる結果になった。
一番難しい3月4月の南湖で、ギルソニ初期プロトで、
誰もやらない葦前シャローでロクマルを連発。
マグナムバイブレーションは衝撃的なデビューを飾った。

この当時はサスペンド機能が狙いだったが、藪田の意見で
逆にハイシーズンには潜りすぎることが発覚。
季節の進行と共にギルソニはサスペンドから、
より使いやすいハイフロートへと変貌し、
トップから2mをワンタッチで深度変化させられるダブルアイ仕様に進化、
ラトル音もその大きさから逆に派手過ぎないギルポップの
パチパチ音へと実戦進化した。もちろん、バスロイド同様、
クイックハンガー機能でワンタッチでシンキングや、
サイト仕様にもチャンジできる機能を付加している。

7月の三原との共同テストでは、三原はマニアックな使い方で50アップを連発したが、
それ以上に重要なテストは藪田ガイドでのゲストが
簡単に使えて、サイズを問わずバスが簡単に釣れる事。
春から真夏の盆を過ぎても、ギルソニックは今や藪田ガイドの
「ストレス発散ルアー」として、ゲストと一緒に簡単に使えて、
簡単に誰でもバスと出会える琵琶湖必須のプラグになった。
もはやこのギルソニをデカいと言うゲストは皆無だろう。
逆に琵琶湖のバイブレーションなら、もはやこのギルソニが標準サイズなのだ。

20年近い歳月を経て、陽の目を見なかったサスペンド・バイブレーションのシークレット。
その本当の真価が琵琶湖で発揮されるのは晩秋から早春である。
3~4mラインの攻速攻略も可能なファーストシンキング仕様も控えた
この秋冬、果たしてそれに藪田がその威力に気付けるかどうか、とても楽しみである。

 

 

TOP OF THIS PAGE