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TOP50最終戦遠賀川ビッグフィッシュパターン詳報の巻

遠賀川は全域が整備された観戦ステージ。
気が付くと真上に人がいっぱいいたりする・・・。

ビッグマウスのジャンプ。
バークレー・バタフライクローの
50アップ率は凄まじい!!

さて、ようやく遠賀川のとんでもない疲労困憊からやや回復したので、今回は私が遠賀川で実践したパターンについて話そう。

まず、プリプラはTSRの取材と同時進行で6日間行った。この時はトーナメントエリア外の上流も取材でやったのだが、そのときのビッグベイトパターンの模様は間もなく発売のバスワールド、及びイマカッチャンネルでじっくり見てください。

プラで出た50アップは全て中流。
でも一番リスキーなのも中流。
詳しくは今月号、バスワールドにて!!
さてさて、ではトーナメントのプリプラで掴んだことと言うのは、クランクメインの取材も兼ねていたため、状況に合わせるというよりはまずはクランクで釣ってみるという感じの展開だった。しかし、正直いって本命と考えていたIK400Rでは、なんとか50アップは出たものの数は極めて少なく、実に1日引きまくって数本のバイトしかなかった。結局、本番もメインになるかと期待していたクランクは最後まで不調に終わった。その原因は今回優勝した江口君のウィニングパターン(最上流堰の落ち込み狙い)を見ても解かるように、まさに「サマーパターン」がまだ生きていたのだ。

「江」の付く人は釣りがうまいのでしょうか?
最上流で粘りきり優勝した江口選手。今期2勝目。
遠賀川ではこの1ヶ月、ほとんど雨が降らず、最下流の水門は殆ど全閉状態に近く、10月とは思えない暑さも手伝って、トーナメントエリアは川と言うよりも完全に止水プールのような状態となり、水質は強い風が吹かなければ非常に劣悪な状況になっていった。
それゆえ最上流は堰の強い流れがあるので水が動き酸素も餌も豊富、バスの数は圧倒的で、プリプラではサイズこそ伸びないがキーパーは簡単に釣れた。
しかし、スケールが狭く誰でも簡単に釣れたので、間違いなくまた大船団、ライトリグ合戦になることは容易に想像できた。しかも昨年のクラシックでは初日のリリースフィッシュも加わって、2日目は大フィーバーになったとの情報が流れ、最上流の人気は明白だった。

スタート風景。
上か下か一度決めればスローエリアが長く、
簡単には戻れないのが遠賀川の怖さ。
プリプラで圧倒的に効いたのはイマカツスタッフ誰に聞いてもダイナゴンだった。使い方はそれぞれ違っていたが、本当に圧倒的に、それこそ異常なほどに効いた。私自身もダイナゴンの2パターンで本番メインを考えていた。

フロリダリグにして更にゴム止め。
真っ直ぐにセットするとエビのようにスライドして岩穴に入る。
これが第一メイン。ロッドはスタリオン使用。
そのほかには遠賀のようなマッディーな所では臭いの強いワームが間違いなく効くと私は信じている。視覚が鈍くなれば、嗅覚や側線で感じる波動知覚が発達するからだ。マッディーになればなるほどクランクやバークレーが強いのはそれゆえ理解できる。パワーと臭いのあるファットドーバーは今回絶対的なキーパーキャッチャーだった。その効果は他の如何なる同系統のワームより間違いなく釣れると感じた。しかもスピニングにする必要性はなんら感じなかった。霞ヶ浦や北浦で定番のショートヘビーダウンショットが風の強い遠賀本流では最も効率が良かった。

絶対的にマッディーでは強いファットドーバーHDS。
リーダーは20cmほどのショートでリアクション狙い。
パンテラ・10lb、モスキート1/0に10gシンカー使用。
そしてこの時はよもや本番のメインになると考えていなかったのが「バタフライクロー」だった。たまたま取材ではクランクがイマイチなので、フロリダパンチリグでジャバテキ風にマキマキしていて、ラッキーにも1本50アップが釣れたが、サンプルが数本しかなく、しかもダイナゴンが圧倒的に釣れていたので、この時はサブのワーム程度にしか考えていなかった。
メインはダイナゴンテキサスの岩穴穿りと風コロガシ。バックアップはファットドーバーとガルプ・ドーバーのワッキーリグ。これがプリプラの結論だった。

流れを利用してコロガセ釣り用リグ。
シンカーは1/16oz、フリーでセット。
順付けがキモ。
ロッドはエアドライバに14ポンド。
そして本番直前プラ。プリプラから2週間、またしても雨は全く降ることはなかった。そして10月とは思えない残暑…。中流〜下流の水質はひと目で霞ヶ浦以上に悪化し、赤茶色の恐ろしい水色になっていた。この状況に多くのプロが中〜下流を切り捨てたようとしたのは明白だった。そこに隙があった。

公式プラ初日、上流は相変わらず釣れた。しかし、中流へ下れば下るほど明らかにバイトはなくなっていった。遠賀川中〜下流は全域護岸だが、特に中流は浅く広大なフラットが多く、沈みゴロタやハンプ、ブレイクが無数に存在する。下流はやや深いが、岸沿いには沈みテトラや捨石が多く、見た目以上に沈みストラクチャーの豊富な河川なのだ。
GPSにメモリーした場所をダイナゴンでチェックしていくが、赤茶色に濁った中流ロックフラットからは全くといって良いほど反応がなくなっていた。これには参った。結局、初日は下流まで回るも上流以外はからっきしの結果となってしまった。

水門は僅かにたまに1つ開くだけ・・・
全く雨がなく水質最悪の最下流域。
何故ダイナゴンが効かなくなったのか?。その夜はそればかり考えていた。仮説は透明度5cmもない恐ろしい水質の悪化と濁りによってバスの視覚が奪われたのではないか?
水をすり抜けるように滑るダイナゴンのスライド系アクションは水押しではなく、水滑りだ。フォールで侵入させてステイのボリュームと存在感で視覚にアピールするのがダイナゴンなのだ。いくら濁ったからといって、他に濁っていない場所など中〜下流にはない。もしかして、見えないのか?バスに気が付いてもらえてないのでは?、ならば確実にバスにルアーを発見させられるビッグストラクチャー、「橋げた」か?でもそれはチョロ過ぎる…。明日はもっと波動の強い、集魚力のあるワームを試すことを考えた。それがギリギリで最終量産サンプルがホテルに届いた「バタフライクロー」だった。ブルーザーやジャバロンも考えたが、出来るだけ短距離で激しくアピールし、岩の隙間も狙えること、マッディーのメインフード、手長エビそっくりであることを主眼に置くと、バタフライクローが最適に思えたのだ。

大活躍したバタフライクロー。
これも10gフリーシンカーがキモ。
ジャバテキ風に探って、落として食わせる感じ。
エアドライバに14lb使用。
そしてその狙いは見事に的中する。
公式プラ2日目、昨日とほぼ同じ天候、場所にも関わらずバタフライクローにバイトが続出した。
10gのテキサスで1〜1.5mのロックフラットをスイミング気味にボトムに当てながらロッドストロークで泳がせ、ロックフラットを抜けたブレイクでカーブフォール。ボトムでステイさせているとバイトが出るという感じだ。キモはバタフライを生き生きとバタつかせる為に10gのシンカーを使うこと、そしてフォールの後に自然なエビを演出するためにぺギングしないことだった。
しかし、それでもタフなバスの食い込みは浅く、ビッグフィッシュのバラシが連発した。そこで、今回はバタフライに昔、ファットイカにしていたようなスリットを入れることでこの問題を完全に解決できた。バスはプリプラと同じところに居たのだ。ただ、ルアーを認識しにくく、しても喰うまでにプリプラ以上に時間が掛かることがキモだった。派手な波動、ファットな存在感、強烈な臭い、バタフライはまさに3拍子揃っていたのだ。

呑み込ませるとデッド率が高いので、ハサミでスリットを入れて電撃気味に仕留める。
フックはセカンドバイトモンスター4/0。スリット無しなら5/0。
そしてこの作戦は初めて朝から曇り空となった本番初日、見事に功を奏した。コンディションの悪さから50人の大半が上流域か中流JR橋げた付近に集結、中〜下流のロックフラットやハンプはがら空き状態になった。
まずは朝一そのロックハンプをバタフライで丁寧に狙い1680g(約48cm)を含めキッカーを2本キャッチ、ファットドーバーヘビダンでリミットメイク。その後、橋げたでキーパーを入れ替え初日4080g5位。余力を残して2日目に備えた。

初日はバタフライクロー炸裂。
2本のキッカーで5位スタート。
2日目、この日は朝から快晴無風、しかし、昼まえから風が吹いたことが幸いした。朝一は風が全くなくバタフライが不発で苦戦、しかし、なんとかファトドーバーで2本キーパーを下流で取り、風が吹き始めたタイミングで中流ロックフラットへ、ここでプリプラですら使わなかった意外なルアーが遠賀川で初めて爆発した。
中流のフラットでバタフライを試すがノーバイト、ファットドーバーを入れてもノーバイト、初日釣れた場所では全く反応がない。そこで何の気なしに「遠賀バスもこれはまだ見たことないだろう」と半分冗談でモジャオ(ヘアリーホグ)をファットドーバーのヘビダンに付け替えた。その一投目から先ほどまで沈黙していたハンプから次々と700g、800gをキャッチ。そして遂に今大会ビゲストフィッシュとなる53cm2006gを河川敷から見守る多くのギャラリーの目の前で仕留めることに成功した。

自分が一番ビックリしたモジャオの底力。
今期4試合中、2試合のビッグフィッシュ賞を獲得。
ロッドはパンテラ、10lb、モスキートモンスター1/0使用。
その後、翌日を考え、ラスト1時間前に最上流の堰に入った。予想通り大混雑の堰下だったが、そのど真ん中でなんとバタフライのジャバテキ風マキマキに1600gがストライク、遂に遠賀川公式ウエイトレコードとなる5425gをマークした。

2日目、モジャオで53cm2006g、バタフライで1600gを
仕留め、5425gの遠賀ウエイトレコード。
本音で言ってモジャオは計算外だった。自分の中でモジャオは「ウィードエリアのワーム」という決め付けがあり、ウィードのない遠賀川ではプリプラでも一切使わなかったのだ。しかし、考えてみればモジャオほど水押し水絡みが強く、存在感を持ちながらなおかつ水に溶け込み、咥えたら離しにくいワームはない。しかも10gというヘビーダウンショットでもフォール速度を抑えられる、まさに喰わせのワームだったのだ。

これは最近、セッキーがモジャオで釣った50アップ。
1オンスにしているところが解かってますね!!
詳報はまた後日。
プリプラと本番は激変する。まさにその事実を証明するような出来事だった。

そして最終日、ここまでギリギリの勝負で最もリスキーな中流狙いをし、かろうじてその賭けに勝ってきたが、ここで私の運も尽きたのだろう。最終日は11時まで粘るも全く頼みの風は吹かなかった。生命感の尽きた水は死んだように淀み、バイトは一度もなかった。
最上流部までいけば流れはあるが、スローエリアを含めると30分はロスする。もう中流に戻ることは出来ない。それでも意を決し、最上流に賭けるが、ここで私の06年シリーズは幕を閉じた。
ラスト15分、ノーフィッシュを覚悟した。ガルプドーバークローラーの付いたライトリグを祈るような気持ちでキャストした瞬間、弱弱しいバイトの感触が初めてロッドに伝わった。

ラスト20分、ノンキーパーと思った僅か330gのバス。
勝つためにはディフェンス(ライトリグ)を絶対に軽んじてはならないのだ。
そのバスは僅か25cm330g、昨日までなら相手にもしなかったバスだろう。しかしこの一尾がなければノーフィッシュ、ポイントは5点しか付かない。もしこのバスがいなければ年間総合3位も、今回のお立ち台5位入賞もなかったのだ。
「ビッグフィッシュ、ビッグサックを狙う」、それはプロとして確かに男らしく、派手で格好良いパフォーマンスだ。しかし、この僅か300gそこそこのバスが釣れなければ、どんなストロングパターンを貫こうとも、結果はただの負けにしか過ぎないのだ。時として2キロオーバー以上の価値を持つ25cmのバスを決して軽んじてはならないのだ。
このシーズンラストとなる小さなバスは自分にそのことを改めて教えるために釣れてくれた気がする。

3日目はこれ一匹・・・・。
しかし2キロオーバーに匹敵する価値のあるバスです。
振り返ってみれば今年はストロングパターンで奇跡的にこのランキングに帰ってくることが出来た。しかし、それは自暴自棄と背中合わせの危険な橋を偶然、運よく渡れただけなのかもしれない。このラストフィッシュが思い出させてくれた1尾の大切さ、来シーズンはその価値を常に忘れずに最高レベルのバスフィッシングスキルを追求していきたい。

大勢のファンの応援があるからこそ、まだまだ強い現役でいたい。
残るはエリートファイブ2連覇。
来週からの投票、よろしくお願いします!!

 

 

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