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K.imae Today's Tips 1136『ジャバロンギル開発ストーリー(ルアーニュースディレクターズカット)』
ジャバロンギルの開発は、約2年前に遡る。イマカツの代表作とも言え、特許も取得した多関節スナッグレススイムベイト「ジャバロン」が生誕10年を迎えたことで、現在のイマカツの最新技術を再結集しもう一度「ジャバロン」を更に優れた唯一無二のものにアップデートしたくなった。正直、ジャバロンは旧作でもとてもよく釣れるロングセラーだが、最近の進化したルアー事情から考えると、デッドスロー能力に物足りなさを感じ、そして集魚力に関してもパワーの不足が不満に思えた。その弱点とも言える場所を改良することで産まれたのが異形のジャバロンネオ135である。






そして、このネオの開発段階で派生的に試作していたのがフラットタイプのジャバロン、即ち今流行の「ギル型」のジャバロンだった。本音を話すと、実は最初は「ギル型のステルススイマー」を先行開発していたのだが、これが超難関の上コストが高く、もっと安く出来ないかと試しにギル型のジャバロンを試作してみたのが始まりだった。最初は奥村君とこのブルフラットを参考に、ヒラメのような横泳ぎを想定して作ったのだが、仕上がって泳がせて見ると意外なことが起こった。ジャバロンの多関節は水をボディー全身で掴むうえ、ジャバギルは体高があったおかげで、最初はヒラメ泳ぎだったジャバギルが、なんと水の抵抗で早く巻くと縦に立ち上がって泳ぎ始めたのだ。真横にセットしたフックの重さより、ジャバロン特有の全身で水を掴む特徴と、体高がある故に水の抵抗から縦向きの方が泳ぎが自然に安定したのだ。






そして、ステルスの「鰭ネイルチューン」のノウハウを活かして、ネイルシンカーをフックと反対側の鰭に刺し入れると、姿勢制御は簡単に出来た。「縦に泳ぐオフセット式ギル型ジャバロン」、これは間違いなく2017年最大の隠し玉になると確信した瞬間だった。その後、この開発に一番熱が入り、姿勢を更に安定制御するため、頭部上面に「フォーム樹脂」と言うJBのFECO認定が取れる高浮力マテリアルをインサート成型し、鰭を姿勢制御のネイルを入れやすい位置と形に再調整。このJBエコ認定の取れる高浮力フォーム樹脂の「脳みそインサート成型」が最大の難関で、当初は「脳無し中空構造」も考えたが、水がすぐに入ってしまい縦泳ぎが安定しなかった。湖底では水圧で浸水し頭が重くなりスローに泳がすと横になる、湖底で縦に立たない、重さがなくなるため、100mmの大きさだと投げにくくなる…などの問題点が在った。







と、そうこう四苦八苦している最中に大事件が勃発する。なんと8月、ルアーニュースRで、極秘開発中のジャバギルそっくりのワームが一誠のプロトとして紹介されたのである。しかも、ジャバラ構造の間隔の幅以外を除けば、ほとんど全く同じ形に同じコンセプト。これには大ショックを受けた。何故ならかつて、ジャバロンを寸分たがわず完全コピーし、パクって販売した日本の某メーカーを、特許権抵触で裁判所に訴え、その金型を目の前で全て破壊させた一件は、業界では有名な話だけに、まさかジャバロン構造を真似してくるメーカーはいないと高をくくっていたからだ。







当然、ブチキレ寸前で村上君に連絡したところ、この年のショーで、自分が村上君のブースを訪ねた折、「トリプルフック仕様」の多関節スイムベイト・「ギルフラット」が展示してあったのだが、この手の多関節スイムベイトは既に海外でも見受けられたため、「いいね~コレ」と振って、ジャバラ構造に関する昔話をしていた。
しかし、内心はオフセットフック式でない以外、極秘開発しているジャバギルそっくりだったため、ヒヤヒヤしての「指摘」だったのだが、その会話の流れから村上君は逆に「ジャバロン構造のスナッグレス式でも構わない」と勘違いして受け取ってしまったようだった。
そして、オフセットフック式のギルフラットがルアーニュースRでスクープされたときは正直、隠しに隠していた17年の大本命「ジャバギル」が、何も知らない若い人達に「今江が村上さんのをパクった」と思われてしまうことだけは屈辱の極みだった。オフセットフック仕様のスナッグレス多関節スイムベイトは、今もジャバロンだけが日本唯一無二の存在であり、開発に何日も何日も徹夜したイマカツの原点でもあり、誇りでもあるからだ。







これが、既に17年ショーでの衝撃的発表に向けて満を持していた秘中の秘「ジャバギル」の全貌を、ルアニューRの翌月のルアマガで8月と言う中途半端極まりない時期にやむなく、突然紙面公開しなければならなくなった経緯である。と、同時に、大本命を中途半端に公開しなければならなかった事、あまりにもソックリだったことで、自分のジャバギルに対する熱意は一気に冷めてしまった。最終的に村上君が友人であること、また既にある程度カタチになっていたことも考慮し、彼との友人関係にヒビが入ることだけは裂けたかったのでギルフラットの販売に関して差し止め等の手段はとらず、お互いのオリジナリティーを追求しようと言うことで話を決着させた。







そして、暫く自分はジャバギルの開発に興味を失っていた。そんなある日、ひょんなことから渡辺がジャヤバギルを変な形にリグっていたのを見て、ハッと閃いた。それはまさにコロンブスの卵的発想の転換だった。昨年ジャバギルで一番悩んでいた事は、フッキングの悪さだった。肉厚を薄くすればフッキングしやすいが軽くなって投げにくくなる。それ以上に、運悪くジャバラ下半身がフックポイント側に巻き込むように吸い込まれると、フックポイントがボディーでカバーされてしまいスッポ抜けることが判明した。こりゃダメかな?と思っていたとき、渡辺が思わぬ針の刺し方をしていたのだ。この偶然の出来事が再び一気に消えかけたジャバギル開発心に火をつけてくれた。






そして遂に開発した世界初の「襷掛けフックセット」、これが全てを劇的に進化させた。







下半身がどちらに折れ曲がっても、フックはポイントは隠れない。この工夫によってフッキングとスイム姿勢の安定度は劇的に向上した。







そこからは発想の集中力が復活、スローでも大きく動く「耳付きジャバラ」デザインへの変更、エコフォーム樹脂の特殊なインサート成型によって、DSやTXを問わず、「常に縦になるボトム着底姿勢」を完璧に実現した。この姿勢からのヒラウチ効果は絶大である。







そして、これまた発想の転換で、特別何かを用意せずとも現場の簡単なチューンで完全な「フローティングとしても使える画期的方法」を開発することに成功した。






その安定した泳ぎと、世界初の表層、ボトムを問わず縦姿勢を完全意地し、フッキング力も劇的に向上したギル型多関節スイムベイト最終形態「ジャギル(仮)」。
結果論、村上君のギルフラットのとてつもない衝撃がイマカツ独自の「ジャギル(仮)」を生み出したと思う。あの衝撃がなければ、中途半端な完成度に終わっていたかもしれない。
その世界初の驚愕のアクションは是非、ルアニュー動画でご覧になってほしい。


 

 

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