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K.imae Today's Tips 1104『不遇の名作(4)』

類稀なるトーナメントセンスを持つ逸材中の逸材。


馬淵。



一昨年、自ら苦渋の決断をし、TOP50の舞台から去った。




今の時代、日本で「純粋なバスプロ」として一生を全うできる者はまずいない。




どっぷりとバスプロに染まったまま、老いれば、
もしくはTOP50がなくなれば、社会復帰すら難しい。




「すっぱりと捨てられること」、それが馬淵の強さの源だった。




過去や実績、夢や憧れに執着することなく、
今時分の置かれている状況を俯瞰して見る様に冷静に判断できるやつ。




それは釣りだけでなく、人生観もそうだった。








道具に関しても、ルアーに関してもそう。




彼の選択には一切の迷いや無駄がない。
飾りも邪念も商売っ気もさらさらない。




ただ、その時、その場で一番確実に釣れると判断したものしか使わない。




メーカーとしてはやっかい。
メディア取材を載せて尚、ヤマセンコーで表彰台…。




それ以降、メーカーとしての採算は無視して
馬淵の使いたいものは、馬淵に自分で作らせた。




それだけ彼には期待していた。




マブリーチ、プロストレート、イール、そしてマブクロー。




プロストレートは正直、負けだった。
究極にシンプルなヤマセンコーにエコ素材で勝てない。




だが、イールは地味だが唯一無二と思う。




素材にバリに、硬さに、比重に、全てに馬淵のコダワリが詰まっている。




あの安定の南が異常に溺愛していることからも、
その威力はスワンプ以上と思う(値段以外)。



そして、自分がこれはパワーホッグに並ぶ、
歴史に残る名作になると思ったのが馬淵が一番、拘ったマブクロー。




形状、大きさ、動き、セッティング、キャストのし易さ、
すり抜け、シェイク、フッキング、全てに独創的工夫があり、
全く無駄なく考えつくされている。




ワッキー掛けにも近い、その腕から肘への独特の水受け角度をもつデザイン。




マブクローの爪と形はパクリだらけの「爪型ワーム」の中で、
まさに唯一無二の形と動きを備えていた。








実際に物凄く釣れる。




今も常に自分のVS3080下段内部保管の超一軍。




しかし、自分は自社製品なのに、これを公に宣伝したことがない。




それは馬淵のルアーであり、仕事であり、
それで馬淵が喰っていかなけらばならないから。




それが日本のバスプロが自らの力で生き残れる唯一の道だから。




これほど優れたワームでも、宣伝ナシには
追加オーダーは来ないし、定番化もしない。




へたすりゃ、金型の採算も取れないで赤字で終わり。




それが今の世の中、世の常。




逆もまたしかり。




しかし、馬淵はその「才」にだけは不遇だった。




今の世の中、その「才」は釣りの才能にはるかに勝る。




TOP50プロより、オカッパリのメディアプロのほうがはるかに儲かる。




かけた経費をさっぴけば、ケタ違い。




不遇の名作という意味で、マブクローはその究極たるものだろう。




もう市場で手に入れることは難しいが、
それなりのアングラーなら使えばすぐに解るはずだ。





そしてもう1つ、今まで一切、自社製品ながら宣伝した事はないのに、
常に隠して使ってきた秘密のワームがある。




それはまた次の機会に。

 

 

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