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パワーフィネス新次元・その2の巻
今年のバスフィッシングテクニックの最先端を見ていると、従来、パワーフィネス(初めはJBの琵琶湖戦でデスアダー6をイレイザーで使うテクニックで私がネーミングしたのが“パワーフィネス”。完全な造語)と呼ばれていたコンセプトが
非常に多岐に亘って応用されていることがわかる。

オカッパリでもスピコブは不可能を可能にしてくれる。
「激浅爆弾!」はオカッパリアングラーに是非見て欲しい。
パワーフィネスとは文字通り「最軽量にして最大パワーを使いこなす工夫」のことだ。言ってみればフライ級のボクサーがヘビー級ボクサーに勝利できるようなテクニックみたいなもの。それだけに結構紙一重な面もあり、タックルの重要性が何よりも重要になる。このコンセプトは専用タックルなくして成り立つことは極めて少ない。

普通、このサイズはスピニングでは取り込み不可能・・・・
これをゴボウ抜きできるのがスピコブ。
(「激浅爆弾!」より)
今回の桧原湖で私が使ったのはスピンコブラに4.5ポンドのロングリーダー(2/3ヒロ)ヘビーキャロライナである。
ウエイトは6〜8mを7g中心に展開し、10m前後では10gまで使っている。
ラインを考えなければこれは只のキャロなのだが、4.5ポンドにタングステンの7gシンカーは正直言って限界ギリギリのヘビーウエイトになる。10gは限界を超えているかもしれない。

スピンコブラヘビーキャロでキッカーを仕留めた瞬間。
今回、カメラの前でも次々に仕留め続けた。
このセッティングをベイトのコブラやエアライドでやったのでは一撃でアワセ切れすることはほぼ間違いない。フッキングだけでなく全ての操作面でスピニングはベイトをはるかに上回る操作性を持つ。ストラクチャーをより丁寧に、時間をかけて自然に攻めるにはスピニングの繊細さはずば抜けてバイト数を増やす。
ラインが細いことによって深場での感度操作性は飛躍的に増し、カバーを抜いた後の自然なフォーリングや視覚的メリット、水きり音の少なさも飛躍的に向上する。

しかし、ベイトが優れている点にルアーやバスのコントロール性、とっさのフッキングに対するシャープさ、障害物感知・回避能力などがある。この能力はティップ〜ベリーがベイトに比べ劇的に細いスピニングでは、特徴に全て吸収され失われてしまう。このベイトにしかない特性と、スピニングにしかない操作性を併せ持つ唯一のスピニングロッドが「スピンコブラ」になる。逆にスピニングにしかない個性を併せ持つ唯一のベイトが「クオッドツイスター」になるのだ。この2機種は表裏一体なのだ。

旧吉野川決勝でクオッドツイスターを使い
テトラの穴へワッキーリグをフリップするロック前山。
この使い方もまさしくパワーフィネス。
クオッドツイスターはプロの評価が非常に高い。
どちらを選ぶかはアングラーの好みにもよるが、この2本を使いこなすことによって生まれる戦略の幅は、普通のアングラーの比ではなくなる。スピニングで使うべきものをクオッドツイスターで、ベイトで使うのが当然と思うものをスピンコブラで使うのが私流だ。たとえばキラービルやファットイカ、ジャバロン140をスピコブで使うのは既に当たり前の裏テクである。不思議なことにベイトロッドでは喰わないバスがあっさり喰ってしまうから不思議である。その原因はスピニングならではの「ラインスラック」の自然さにあると考えている。

フリップしたワッキーリグを穴の中でロングシェイク。
100%嗤いのないティップが、一気に引き出すブレのない
パワーと繊細さを併せ持つ。
この日、ロックは6180gでトップウエイトを記録。
さて、今回桧原湖で私が実践した方法は、スピンコブラのヘビキャロで水深8〜12mバンクに点在する桧原湖特有の沈み巨大切り株(高さ3〜7m・直径70cmクラス)をロングキャストでクイックに探して、シンカーが木を感知した瞬間が試合開始のゴング、意図的なリアクションで一撃必殺の勝負を決める釣り方だった。

詳しい釣り方に関してはまだ本音で明かしたくないのでここでは書かないが、当たりが出るタイミングが必ず「ここ!!」と言うポイントがある。そのポイントをシンカーが通過する時に全神経を集中し、次の瞬間バイトが来ると仮定して予めフッキング体勢に入っておかなければ、このショートバイトはまず取ることが出来ない。これがリアクションキャロの最大最高のキモだ。重いシンカーのクイックな沈下速度と着底後に漂うワームのスピード差が大きく出れば出るほどリアクションバイトは発生しやすいと考えている。
しかし、基本的に反射で口を使う行動だけに即掛けしなければ一瞬で吐く。その速さは並みの反射神経では絶対に反応できない。「神速電撃アワセ」と冗談で呼んでいるが、予め来る瞬間が予測でき、なお且つそれに対応できるロッドがないと合わせられないか、ラインが切れてしまう超高度な電撃である。これが出来れば桧原湖のスモールを短時間に20〜30本釣ることは何時行ってもさほど難しくはない。逆に出来る人が少ないから釣ることも出来るのだ。

この見事なスモールもスピコブリアクションキャロで
プラ中にキャッチ。
スピコブパワーフィネスはまだまだこれだけではない。

このリアクションキャロの法則はジグやその他のリグでも応用可能なのだが、トリックを使う何かが湖中にあることが大前提になる。それゆえカバーの豊富な桧原湖や立ち木の多いリザーバーは打って付けの場所になるのだ。
とにかく、ロッドは絶対に硬く張りがある高感度専用設計であることが絶対条件。喰わせるロッド全盛の現在において、
今後、再び神速電撃の復活の気配がある。

チーム船団に打ち勝つパワフル且つ斬新な試合を求めた1年だったが、本当にチーム船団は手強い。
でも性格上、船団は絶対無理・・・
その昔、私のデビュー戦、琵琶湖で始めて開催されたJBトーナメントでバグリーバンゴB6インチを使い衝撃的な準優勝を飾ったことがある。
その直後、バンゴB6インチは琵琶湖で大流行したが、使い手が増えると同時に効果も薄れ忘れ去られていった。
そして20年後、再びビッグベイトが大流行する。歴史は繰り返すと言うが、もしそれが正しいのなら、さらに磨かれた
神速のニュータイプがそろそろ現れてきてもいい頃なのかもしれない。

 

 

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